トルコ人実業家がランボーンでハイテク調教システムを導入予定(イギリス)【その他】
トルコ人実業家メフメット・カート(Mehmet Kurt)氏によってバークシャー州ランボーンで新しい投資が行われることになり、建設許可が下りれば、まもなくモノレールシステムという革命的な形での独特な調教の手法が実現される。
母国のトルコでほとんどの主要レースを制した65歳のカート氏は、1年前にランボーンのキングウッドスタッド(Kingwood Stud)を買収し、英国で調教を行うために3歳の自家生産馬6頭を最近搬入した。
これらの馬のうち最初にカート氏の青と白の勝負服を背負って出走したクロニックフレーム(Chronic Flame)は、1月28日にリングフィールド競馬場で6着となった。同馬はキングウッドスタッドの道の反対側にあるマーカス・トレゴニング(Marcus Tregoning)厩舎で管理されている3頭のうちの1頭である。
その他の1頭はヘザー・メイン(Heather Main)調教師に、残る2頭の牝馬はニューマーケットでマルコ・ボッティ(Marco Botti)調教師に管理されている。
カート氏はロンドンとバークシャー州を行き来するために、馬と家族全員でトルコから転居した理由を次のように説明した。「英国はサラブレッド発祥の地であり、英国馬は世界中で活躍しています。それが調教テクノロジーを利用する最善の場所を英国に求めた理由です」と語った。
「他の地区も検討しましたが、天候条件と土壌の質からランボーン地区が適しており、そしてその景観と優秀な調教師のいる有名な調教センターである事実から、キングウッドスタッドは最適でした」。
カート氏は父親の急死により、21歳で家業と不動産業の経営を引き継いだが、競馬への強い関心のため調教の新たなシステムの開発にとりかかった。このシステムは、イスタンブール近郊の同氏の牧場において考案され、約10年間にわたって使用され改良された。
“カートシステムズ(Kurtsystems)”と商標登録されたこのハイテクシステムは、馬を1頭あるいは2頭立てで、頭上のレールからぶら下がるキャビンに騎乗者なしで繋ぎ、人工馬場の上をさまざまなスピードで走らせる。
それぞれのキャビンには、馬が常歩からより激しい運動に切り替わるときに各馬の健康状態や適応の状況を知らせる内蔵のコンピュータソフトウエアと結合された、心拍数や呼吸状態を測定する科学機器が装備されている。
カート氏は次のように説明した。「他の調教方法ではこのようなモニタリングを行うことは不可能です。これはとりわけ馬の筋肉と腱を発達させ、トルコにおいてこのシステムを使用した馬は100%の成功を収めました」。
「私たちはトルコで、調教用に毎年20頭の若い馬を購買していましたが、そのうちの80%は、調教が馬にとっての自然な方法でなかったために精神的あるいは肉体的に駄目になりました」。
「そこで私たちは、調教事業そのものを諦めるか解決策を見つけるかの決定に迫られました。そしてこのシステムが私の解決策であり、使い始めて早い段階から馬の目が喜んでいるのがわかりました」。
「このシステムを使っていない馬は、ストレスを感じ、満足しておらず、気が変になりそうになっている印象を受けました。非常に大きな違いがあります」。
計画の進み具合に応じて、このキングスタッドにおける最新のデザイン、構造、テクノロジーを持つシステムは来年の早い時期に完成するだろう。
カート氏とレーシングマネージャーのアンソニー・ストラウド(Anthony Stroud)氏は、今年の秋に最初の調教馬となる1歳馬を最高で20頭購買することを検討している。
しかしカート氏は、ランボーン地区の誰でもこのシステムを利用できるようになると強調した。
同氏は、「このシステムは誰にでも開放され、調教だけではなくリハビリや休養を必要としている馬も使用できます」と述べ、長期的にキングウッドスタッドをカートシステムズの展示場にすることがねらいであると説明した。
ストラウド氏は次のように付言した。「異国の地から新しい調教システムをこの国にもたらす人が新たに登場するということが、いかに重要かはいくら説明しても説明しきれません。このことは英国競馬への大きな貢献となります」。
By Howard Wright
[Racing Post 2012年1月29日「Kurt set to introduce new training method」]