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海外競馬情報
2012年04月20日  - No.4 - 3

カタールの急速な競馬発展(カタール)【その他】


 ペルシャ湾に面する国カタールでは現在競馬が発展しており、今後競馬主要国になるものと思われる。国際競馬・馬術フェスティバルが閉幕したばかりの今、競馬に対してますます意欲的なカタールの現状を報告する。

「私たちは中東で最高級の競馬・馬術フェスティバルを作り出そうとしています」。カタールはここ数年で平地競走の主要な国の1つとなったが、カタール競馬・馬術クラブ(Qatar Racing and Equestrian Club: QREC)の事務局長であるサミ・ジャシム・アル-ボナイン(Sami Jassim Al Boenain)氏が話すように、現状に満足することを望んでいない。2008年から凱旋門賞のスポンサーを務め、総賞金を200万ユーロ(約2億2,000万円)から400万ユーロ(約4億4,000万円)に倍増させてフランスで莫大な投資を行ったカタールでは、フランスギャロ(France Galop)のカウンターパートであるQRECが、現地の競馬インフラの構築に専念している。そして、この取組みはすでに実を結びつつある。


国際競馬・馬術フェスティバル

国際格付番組企画諮問委員会(International Grading and Race Planning Advisory Committee)が2011年末にステータスを引き上げた3競走の1つが首長殿下トロフィーであった。サラブレッドが目標とするこのカタールのG1競走は3月1日の国際競馬・馬術フェスティバル開催時にドーハで施行され、アルバン・ド・ミユール(Alban de Mieulle)調教師が管理しオリヴィエ・ペリエ(Olivier Peslier)騎手騎乗のランスロ(Lancelot)が優勝した。同じ日に純血アラブ限定の首長殿下スウォード(G1)も施行された。サミ・ジャシム・アル-ボナイン氏は、「今年は、このフェスティバルでさまざまな活動を強調するために、3日間でアラブ馬のショーと多くのレースを開催しました。そしてフェジャントリ(Fegentri 国際アマチュア・女性騎手連盟)の総会も開催しました」と語った。


増加する賞金

 フェスティバル開催時に世界中の競馬関係者の多くがドーハに集まった。新しいフランスギャロ会長であるベルトラン・ベランギエ(Betrand Bélinguier)氏も出席した。英国のサー・マイケル・スタウト(Sir Michael Stoute)調教師やオリヴィエ・ペリエ氏のようなベテラン騎手もいた。サミ・ジャシム・アル-ボナイン氏は、「私たちは来年、レースの賞金の増加に取り組みます。これは競馬を発展させるための取組みの一部です。競馬を構築するに当たり、高額賞金を用意しなければ最良の馬は集まらないでしょう」と述べた。首長殿下トロフィーへの出走馬が欧州のG1ほどの優良馬でなかったことは、おそらく事実である。しかし、優勝馬ランスロはこの後シンガポール航空国際カップへの遠征を予定している。

 サラブレッドのレース賞金額は欧州の賞金レベルに達していないが、競馬のインフラについてはほぼ準備が整っている。「施設の建設は続いています。私たちは400頭の馬を収容することのできる厩舎を有しており、そこには競走馬診療所とプールなどが完備されています。90%準備ができており、来年には100%と言うことができるでしょう」。

 凱旋門賞への関わりからも分かるように、カタールが投資を行うときは中途半端ではない。現在建設中の種馬場はその半端でない規模から次版のギネスブックに掲載されるほどである。サミ・ジャシム・アル-ボナイン氏は、「私たちは繁殖牝馬と種牡馬を合せて600頭の馬を繋養できる種馬場を建設しています。それはカタールの国立種馬場となり、サラブレッドもアラブ馬も繋養することになります」と笑顔で語った。

 カタールの国際競馬・馬術フェスティバルは数年後、世界の平地競走の主要なカレンダーにおいて欠かせない日程となることは間違いないだろう。


アルバン・ド・ミユール氏
(首長殿下トロフィー勝馬ランスロの調教師)
 私は4頭のサラブレッドしか管理していません。したがって、60頭以上管理している他の調教師たちよりも、G1競走を勝つことがいっそう嬉しいのは当然です。もちろん今後、フランスでG1を勝ちたいと思っています。ここでは多くのことが変化しています。15年前のカタールでは女性は車の運転ができませんでしたが、今日では女性騎手のためのレースさえもあります。


オリヴィエ・ペリエ騎手
 カタールで騎乗するようになって3年になりますが、すでに大きな変化を目にしました。騎手の顔ぶれは変わっていないのに対し、馬の質は明らかに改良されています。当初はサラブレッドにしてもアラブにしても下級の馬でしたが、今では特にサラブレッドの質が向上しました。実際、1頭の馬の質が高まれば、他馬はそれに続くことになっていきます。したがって競馬はいっそう興味深いものになります。

ナタリー・ベランギエ(Nathalie Bélinguier)氏
(フェジャントリ会長)
 私たちはカタール国際競馬・馬術フェスティバルに参加できたことを嬉しく思っています。フェジャントリの女性騎手とアマチュア騎手は、カタールの美しさとその温かい歓待ぶりを目の当たりにしました。今年フェジャントリの総会はここで開催され、来年はフランスのカーニュ-シュル-メールで開催される予定です。カタールは2008年に中東諸国の中で初めて女性騎手限定のレースを行い、2010年にはアマチュア騎手クラブが誕生しています。

By Liz Price
(1ユーロ=約110円)

[Paris Turf 2012年3月9日「Les ambitions du Qatar」]


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