2012年の英国の産駒頭数、4年連続で減少(イギリス)【生産】
2012年の英国の産駒頭数は4年連続で減少したが、ウェザビーズ社(Weatherbys)の執行役員であるポール・グリーヴス(Paul Greeves)氏はこの傾向を“憂慮すべき”ものであると表現した。
ウェザビーズ社のファクトブックに発表された数字によると、2012年末の登録頭数は過去20年間において最少の4,366頭であったが、その後の追加登録でこの数字は増加する可能性がある。
この数字は、前年同期に比べ269頭(6%)の減少であり、2011年に誕生した産駒の1歳馬登録を含むと325頭(7%)の減少となる。
これらの数字は、2012年に前年の9,317頭から8,766頭へ6%減となった現役繁殖牝馬数の減少を反映している。これは、2012年に新規繁殖牝馬登録が前年の1,235頭から5%減の1,173頭となったことによるものである。
グリーヴス氏は、「英国競馬産業のこれらの重要な指標からは、現役繁殖牝馬頭数、新規繁殖登録牝馬頭数および産駒頭数が引き続き減少するという憂慮すべき数字が見てとれます」と語った。
そして、「これは明らかに、サラブレッド生産者協会(Thoroughbred Breeders’ Association)にとって懸念すべき事態であり、彼らは現在、英国馬主・生産者奨励計画(British Owners and Breeders Incentive Scheme)など、英国の競馬産業および生産者を直接支援するために行い得るすべてのことに取り組んでいます」と述べた。
一方アイルランドの産駒頭数には良い兆しがあらわれており、産駒頭数は5年連続で低下しているもののわずかな減少率であり、2008年から2010年の間の激しい減少に比べ安定したと思われる。
年末時点のデータによれば、2012年のアイルランドの産駒頭数は2011年末の7,550頭から0.05%減の7,546頭であった。2011年末の産駒頭数に追加登録分を加えると7,944頭となり、これらの数字は生産者たちをいくらか安心させる。
グリーヴス氏は、「たとえ数字が全体としてより大きな減少を示すとしても、それは生産界においては単なる安定ではなく多分わずかに良好な傾向を示すものです」と語った。
産駒総数がより安定したばかりでなく、多くの産業の経済指標も好転している。
グリーヴス氏は、「前年よりも新規繁殖登録牝馬がかなり大幅に増えています」と述べた。
新規繁殖繁殖牝馬数は2009年〜2010年に21%減少したあと、2011年〜2012年には1,486頭から1,634頭へ漸増した。グリーヴス氏は、「これは繁殖牝馬の全体的な減少を食い止めるものではありませんが、回復が見られ始めています」と付言した。
密接に関係する英国とアイルランドの生産界の動きを前提とすると、両国間での繁殖牝馬の移動があると考えられ、前年の種付け頭数から正確な産駒頭数を断定するのは難しい。
産業の健全性をはかる正式な指標ではないが、英国拠点の繁殖牝馬が2012年に英国と海外で出産した産駒頭数は現在のところ5,110頭であり、これに対して2011年の種付頭数は6,883頭であった。海外から種付けのために英国を訪れた繁殖牝馬から生まれた産駒を含む4,366頭という数字に比べるとポジティヴな数字であるが、2011年末の5,336頭からは減少している。
しかし、アイルランドで行われた同じ調査では更なる安定性が明らかになっている。アイルランド拠点の繁殖牝馬が2012年にアイルランドと海外で出産した産駒頭数は6,911頭であり、2011年の6,917頭とほとんど変わらない。
By Katherine Fidler
[Racing Post 2013年2月16日「Worrying drop in British foal crop figures for 2012」]