ハービンジャーの半弟、今年の1歳市場世界最高価格を記録(イギリス)【生産】
タタソールズ社10月1歳セール・ブック1(Tattersalls October Yearling Sale Book1)の3日目(10月9日)、クールモア牧場のジョン・マグニア(John Magnier)氏が長い競り合いの末にキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)優勝馬ハービンジャー(Harbinger)の半弟(父ガリレオ)を260万ギニー(約4億9,140万円)で獲得したとき、記録破りの価格でセリは活気づき、クライマックスに達した。この馬は、この日に7桁(100万ギニー(約1億8,900万円)以上)で購買された3頭のうちの1頭であり、2014年に世界中で落札された1歳馬の中の最高価格馬となった。
この3月生まれの1歳馬の入札は奇妙にも5,000ギニー(約95万円)から始まり、10月8日(セリ2日目)にドバウィ(Dubawi)産駒が140万ギニー(約2億6,460万円)で落札された時と同じように徐々に価格が高騰し、記憶に残る競り合いとなった。7年前に同じセリで1歳馬ハービンジャーを購買したジョン・ウォレン(John Warren)氏は、この牡駒を巡り長々と競り合ったが、マグニア氏の落札額よりも高い値を付けることはできなかった。
マグニア氏の息子M・V・マグニア(M.V. Magnier)氏はセリ終了後、次のように語った。「非常に動きが良く、魅力的な馬で何よりも並外れた競走馬の半弟です。これほどの価格が付けられるのに相応しい馬です。競り合いが5,000ギニー(約95万円)から始まったのには驚きました」。
生産者アニタ・オオイ(Anita Ooi)氏の代理でこの牡駒を上場したアッシュブリトルスタッド(Ashbrittle Stud)のジェームズ・ロウセル(James Rowsell)氏にとって、これは忘れられない結果となった。ロウセル氏はセリ終了後、この牡駒の母ペナンパール(Penang Pearl リステッド勝馬)は今年すでにこの最高落札馬の全弟を出産したが、現在は受胎していないと語った。
この日はそれまでに、米国の有名なシェフで馬主のボビー・フレイ(Bobby Flay)氏が、英ダービー馬プールモワ(Pour Moi)の3/4妹を125万ギニー(約2億3,625万円)で購買したことで、セリに国際色が加わった。その日2番目にリングに登場したこのガリレオの牝駒は、フレイ氏の代理人ジェームズ・デラフーク(James Delahooke)氏が獲得した。
デラフーク氏は次のように語った。「ティミー・ハイド(Timmy Hyde)氏のカマスパークスタッド(Camas Park Stud)が上場した牝駒を獲得できたのは今回のセリでの大きな収穫です。私たちはキーンランドでバーナーディニ(Bernardini)の牝駒(母ムシュカ(Mushka))を購買しようとしましたが、120万ドル(約1億3,200万円)の値を付けたジョン・ファーガソン(John Ferguson:モハメド殿下の生産アドバイザー)氏に競り負けました。今回獲得した牝駒はそれ以来見た中で最高の牝駒です。それはセリのカタログのページを見れば明らかです」。
「ボビーはこの馬を欧州で走らせるのではないかと思っています」。
「この最高価格の付いた牝駒の母グウィン(Gwynn)は、未出走のダルシャーン(Darshaan)産駒であり、ラムタラ(Lammtarra)やボスラシャム(Bosra Sham)を出したファミリー(牝系)の出身である。バリードイル勢所有の英ダービー馬プールモワに加え、重賞勝馬ガニョア(Gagnoa)やリステッド勝馬のキスト(Kissed)を生んでいる。
10月8日(セリ2日目)に800万ギニー(約15億1,200万円)以上を支出したジョン・ファーガソン氏は、パークヒルS(G2)勝馬ミーズナー(Meeznah)の初仔を100万ギニー(1億8,900万円)で落札し、出費を抑える兆候はほとんど見られなかった。
ラバブラッドストック社(Rabbah Bloodstock)が生産し、ヒルウッドスタッド(Hillwood Stud)が上場した中で初めて7桁の値が付いたこの牡駒は、9月に死亡したダーレーの種牡馬ストリートクライ(Street Cry)の産駒である。
「ミーズナーはサイフ・アリ(Saif Ali)氏とサイード・アル-タイヤー(Saeed Al-Tayer)氏に所有されていたので、私たちはずっと注目してきました。これは彼女の初仔で、信じられないほど見栄えの良い馬です。ミーズナーはとりわけダイナフォーマー(Dynaformer)産駒であるため並外れた気質を持っており、この仔馬が歩き回るのを見て、ミーズナーと今年残念ながら死亡したストリートクライを思い出しました」。
またファーガソン氏は、今週唯一セリに登場したウォーフロント(War Front)産駒でG1馬アイコンプロジェクト(Icon Project)を母とする牝駒を7桁に手が届きそうな95万ギニー(約1億7,955万円)で落札した。ウォーターシップダウンスタッド(Watership Down Stud)が上場したこの牝駒は、G1馬ラゲリエール(La Gueriere)の孫でもある。
その3つ前のセリでは優秀な2歳馬ハイランドリール(Highland Reel)の全弟であるガリレオ産駒がM・V・マグニア氏により75万ギニー(約1億4,175万円)で落札された。一方ファーガソン氏は、このセリのリーディングコンサイナーとなったハイクレアスタッド(Highclere Stud)が上場したチェリーヒントンS(G2 現ケンブリッジ公爵夫人S)勝馬ミシール(Misheer)の牝駒(父ドバウィ)を同額で落札した。
3日間のセリにおいて、ファーガソン氏は38頭に1,746万5,000ギニー(約33億89万円)を費やし、4年連続でリーディングバイヤーとなり、9頭に688万5,000ギニー(約13億127万円)を費やしたM・V・マグニア氏を上回った。
10月9日(セリ3日目)の売上げは3,015万9,000ギニー(約56億9,930万円)となった。そして、3日間全体の売上げは7,927万4,000ギニー(約149億8,298万円)で、欧州のセリでは最高売上総額を記録した。100万ギニー超えの上場馬が史上最高の6頭となり、全体売上総額は2013年と比較して13%増加した。平均価格は23万5,935ギニー(約4,459万円)、中間価格は15万ギニー(約2,835万円)で、前年と比べるとそれぞれ14%および15%上昇した。
By Katherine Fidler
(1ポンド=約180円、1ドル=約110円)
[Racing Post 2014年10月10日「2.6m gns」]