国際競馬統轄機関連盟、競技外検査ガイドラインを作成(国際)【獣医・診療】
IFHA(国際競馬統轄機関連盟)の執行協議会は、競走馬の体内にアナボリック・ステロイドなどの禁止薬物が無いか調べる競技外検査の世界的なガイドラインを作成した。10月にメンバー国に承認されることが目指されている。
しかし、執行協議会が満場一致であったにもかかわらず、新たに起草されたIFHAの生産・競走・賭事に関する国際協約第6条にすべての競馬国が批准することは望めそうもない。
馬の生涯のどのタイミングで薬物検査を行うかについては意見が分かれており、誕生時に開始することを望む国もあれば、調教生活に入った時と考える国もあり、また米国のように競馬が連邦政府の規制制度の下で運営されていない国もある。
アジア競馬会議(Asian Racing Conference: ARC)に出席した各代表に対して修正された6条を発表したIFHAのルイ・ロマネ(Louis Romanet)会長は、次のように語った。「どの競馬国においても、調教開始から競走引退まで薬物検査を実施できることが薬物規制の基本要素です」。
「競技外検査プログラムを強化しなければ、競走・生産・賭事の参加者および競馬の利害関係者の利益は、深刻に傷つけられるでしょう」。
しかし、ロマネ会長は不一致の要因について次のように予想した。「規定面の制約あるいは管轄区の慣習のために、競技外検査の実施に当たって困難に直面する競馬統轄機関もあるかもしれませんが、競技外検査をしっかり実施するために各競馬統轄機関が現行の薬物規制と手順を検査すること、あるいは実施に向けて動き始めることは重要です」。
英国は署名する予定であるが、BHA(英国競馬統轄機構)の理事会は、提案されたルール変更、特にアナボリック・ステロイドに関連したルール変更をまだ承認していない。ARCでロマネ会長と同じ討論会に出席したBHAのCEOポール・ビター(Paul Bittar)氏は、最終的な誓約は目前に迫っているが、詳しく述べることはできないと語った。
しかし「私たちの薬物検査の水準は、世界中のどの国よりも高いです」と禁止薬物検出に関する英国競馬界の記録を主張した。
特にアナボリック・ステロイドについて、同氏は次のように付け足した。「最近2件の目立った禁止薬物使用事件がありましたが、競馬界でこの薬物が広範囲で使用されていると信じる理由にはなりません」。
ロマネ会長は薬物に関する競馬界の立場を支持し、「他のスポーツよりも薬物規制について高いレベルにあります」と述べた。
ロマネ会長は、修正された6条が対象とするほかの分野の概要を説明し、それが競技外検査の対象に選ばれた馬に徹底したトレーサビリティーを要求するものであることを指摘した。
そして、次のように語った。「馬主や調教師など責任者は、競技外検査の対象となる馬の正確な居場所を競馬統轄機関に迅速に伝えることができなければなりません。それができなければ、馬が6ヵ月間全レースへの出走資格を失うという結果を招くかもしれません」。
By Howard Wright
[Raicing Post 2014年5月7日「IFHA unveils guidelines for testing out of competition」]