TOPページ > 海外競馬情報 > 明るい2015年を迎える米国生産界(アメリカ)【生産】
海外競馬情報
2015年01月20日  - No.1 - 3

明るい2015年を迎える米国生産界(アメリカ)【生産】


 種牡馬マネージャーと2015年の新種牡馬について話すと、しばらくなかったある程度の熱狂が見られる。彼らが外交員で、新種牡馬への種付予約を一杯にするために巧みに売り込んでいることをつくづく実感するのだが、供用1年目の種牡馬を話題にすれば“より明るい日がやって来る”というのが彼らの一致した見解である。

 生産頭数の水準は安定しており、2015年の繁殖シーズンの最終集計に増加が見られても驚きはしないだろう。1歳市場は2013年に順調に上昇した後、2014年も堅調を保っており、秋の繁殖セールで当歳馬と繁殖牝馬の需要が高まったことは、種馬場がいっそう好調な年を迎える兆しである。

 サラブレッド市場は、供給が極端に多くなったり少なくなったりするという特徴を依然持ち続けているが、生産者に早目の種牡馬選びを促したことで、2014年は大成功が多くの失敗を償うことになったのかもしれない。

 ケンタッキー州ヴァーサイルス近郊のレーンズエンド牧場(Lane’s End Farm)のビル・ファリッシュ(Bill Farish)氏は、次のように語った。「今年は種付予約を早くするかしないかが、種付料と種牡馬によって左右されています。しかし、好調が期待される種牡馬は昨年とかなり一致しています。予約が大きく減少した時期がありましたが、繁殖牝馬の出産後には種牡馬について電話で問い合わせてきた古き良き時代に生産者は戻ってきました。間違いなく逆方向へ揺り戻してきました。人々は再び積極的になりつつあります。世の中では保証の無いマーケットが再び興っていますが、サラブレッド市場はそれに比べはるかに有望です」。

 ケンタッキー州レキシントン近郊にあるB・ウェイン・ヒューズ(B. Wayne Hughes)氏のスペンドスリフト牧場(Spendthrift Farm)で種牡馬販売マネージャーを務めるマーク・トゥーセイカー(Mark Toothaker)氏は、同牧場の種牡馬のラインアップを強化すべく忙しい日々を送っている。

 トゥーセイカー氏は次のように語った。「すでに多数の種付契約書を郵送しました。生産者はまず何よりも、自身の繁殖牝馬と非常に相性が良かった種牡馬など同じ種牡馬に行き着きます。雰囲気は良く、私たちは大きな成果を挙げました。4年前とは対照的に、生産者は繁殖牝馬のことをよく考えているようです。生産事業から離れていた、あるいは控えめになっていた生産者はいますが、今では繁殖牝馬に目を向け市場に戻ってきています」。

 「1歳馬の価格は落ち着きましたが、当歳馬を手に入れることは困難です。生産者は完全に生産を需要に追いつかせる方向に進んでいると思います」。

 ヒューズ氏が発足させた“シェアザアップサイド(Share the Upside)”プログラム(訳注:種牡馬の供用開始から2年間の種付けシーズンに前金支払いがあれば生涯の種付権利を与えるプログラム)は、種牡馬のビジネスモデルを再構築し、同牧場のチームは年間を通じて積極的な販売アプローチを行った。

 トゥーセイカー氏は、「私たちの種牡馬数頭の種付予約がすでに一杯になっていることにショックを受ける生産者もいます。ヒューズ氏は確かに、いくつかの点を変えました。私たちは8月に積極的にシーズン(訳注:1シーズン牝馬1頭に対する種付権利)を販売していました」と語った。

 カリフォルニア州のような地域市場も活気づいている。同州は(ジョッキークラブの繁殖牝馬報告によれば)2009年から2014年の間に繁殖牝馬が16.1%減少し、種牡馬が28.8%減少したが、今では新種牡馬がある程度集まりつつある。

 カリフォルニア州ボンソール近郊のトミータウンサラブレッズ(Tommy Town Thoroughbreds)の牧場マネージャーであるマイク・アレン(Mike Allen)氏は、次のように語った。「優良繁殖牝馬は今や高額となっていますが、生産者はそれを購買しカリフォルニアに戻ってきています。以前は低質な繁殖牝馬が多数いましたが、不況のせいで削減されました。現在焦点が当てられているのは繁殖牝馬の質です。私たちの牧場も見直しを行い、繁殖牝馬の数を減らしましたが、毎年徐々に質を上げるよう努めました。ケンタッキーで数頭の繁殖牝馬を購買し、当歳馬や1歳馬までも購買しましたが、他の生産者も同様のことを行っています」。

 メリーランド州においては、2013年に繁殖に供された牝馬はたったの647頭だったが、再活性化奨励策が実施されたことで、事態は良い方向に進んでいる。2014年に同州で繁殖に供された牝馬は751頭で、16.1%増加した。

 カントリーライフ牧場(Country Life Farm)のジョシュ・ポンス(Josh Pons)氏は、次のように語った。「これは、他州の同業者が我々を痛めつけるのを10年間目の当たりにした末に、長く待ち望んだスロットマシン収入の影響がついに私たちにまでたどり着いた結果です。やっと公平な競争環境を得ることができました。メリーランドには多くの素晴らしいホースマンと、経験豊富な生産者がいます。昔から強い馬を生産する州です。10年間2対8というスコアに甘んじていたフットボールチームがついに逆転したようなものです」。

By Evan Hammonds

[bloodhorse.com 2014年12月9日「What’s Going On Here―Looking Forward to '15」]


上に戻る