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海外競馬情報
2015年05月20日  - No.5 - 6

連邦議会議員が州間賭事法を廃止する法案を提出(アメリカ)【その他】


 米連邦議会の2議員が、州間サイマルキャスト賭事を終了させ、事実上、パリミューチュエル賭事ビジネスの運営を不可能にする法案の提出を発表した。彼らは、「競馬界に蔓延している薬物使用や不正行為を終わらせるため」と、主張している。

 このような法案が連邦議会に提出されたことも、また、法案や新聞記事が「競馬は薬物使用・不正行為に満ちている」と報じたことも、初めてではない。この法案は、ケンタッキーダービー(G1)の週に発表されたが、提出したのはトム・ユーダル(Tom Udall)上院議員(ニューメキシコ州選出)とジョー・ピッツ(Joe Pitts)下院議員(ペンシルヴァニア州選出)である。

 この2議員の声明には、次のように記されている。「競馬は、連邦法が特別にオンライン賭事と州間賭事を承認している唯一のスポーツであるが、蔓延した不正行為は、競馬産業の評判を傷つけている。競馬界において、競走能力向上薬の慢性的濫用は、ありふれたことになっている。他国では禁止されているが、米国では殆どすべての馬が、競走当日に薬物を投与されている。薬物使用ルールも違反者への罰則も統一されていない」。

 競馬産業は、全米統一薬物プログラム(National Uniform Medication Program)の適用を進めている過程にある。このプログラムは、ルールの統一化と違反者への罰則の厳格化を図るものである。

 ユーダル議員とピッツ議員は、「提出法案は州間競馬法の廃止を求めている」と述べた。州間競馬法は、州境を越えたサイマルキャスト賭事と会員制賭事を統制しているため、パリミューチュエル競馬賭事にとっては不可欠な法律である。

 声明には、「ケンタッキーダービー(5月2日)の出走馬の20頭中19頭は、発走時刻の直前に薬物を投与されるだろうが、投与される合法的治療薬が抗出血薬フロセミド(商品名サリックス、別名ラシックス)であることには言及していない」と記されている。さらに、クォーターホースにデルモルフィン(非合法の鎮痛薬)を使用した事例や、繋駕競走のルー・ペナ(Lou Pena)調教師が薬物検査での陽性反応ではなく、獣医記録を基に3年間の調教停止処分を課された事例があげられている。

 ピッツ議員は、「競馬は“スポーツ・オブ・キングス(sport of kings)”ですが、不運にも、多くの恥知らずの調教師、馬主、獣医師、競馬場職員に苦しめられています。彼らは、何としても勝つために鎮痛薬や競走能力向上薬を過剰に投与し、馬を病気に、怪我をさせながら出走させています。何年も改革が約束されてきましたが、競馬団体は、競馬の公正確保および馬を保護する統一ルールの制定に向けて団結できませんでした」と述べた。

 そして、次のように続けた。「この法案は、競馬賭事に関する連邦法の特例を終了させるものです。米国の競馬場においては、2008年以来、7,000頭以上の競走馬が死亡しています。競馬場での酷使から競走馬を守る措置を講じる時期が、すでに来ています」。

 競馬産業の役員は、4月30日夜、直ちにコメントを出すことができなかった。彼らは、「米国アンチドーピング(United States Anti-Doping Agency)」に、馬の薬物検査を監督する権限を与えるというあまり差障りのない連邦法が、今年提出されると予想していた。しかし、今回提案された法案に従い、州間競馬法が廃止されることはないだろうが。

By Tom LaMarra

[bloodhorse.com 2015年4月30日「Congressmen: Repeal Interstate Simulcast Law」]


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