賦課金の収入減少で、競馬開催日数と賞金に影響が及ぶ可能性(イギリス)【開催・運営】
競馬賭事賦課公社(Levy Board 賦課公社)は、2016年度の拠出金を400万ポンド(約7億6,000万円)削減する計画を発表した。2017年度も、さらに削減する可能性があるとのことである。このことを受け、BHA(英国競馬統轄機構)は2016年度の開催日数と賞金水準を精査する必要があると警鐘を鳴らした。
今年の賞金総額は、過去最高の1億3,000万ポンド(約247億円)以上に達すると予測されている。一方、今回の賦課公社の発表は、2016年以降の賞金額を圧迫することになるであろう。
昨年12月、賦課公社は賦課金の納付額が予測を下回っているため、拠出金を削減する可能性があると警告していた。
どのように来年の400万ポンド(約7億6,000万円)の削減を実施するかに関し、競馬界が賦課公社の役員などの関係者と議論すべきとの点では、意見が一致している。
賞金額は確かに精査されるべき分野である。しかし、BHAは従来の競馬運営は継続できない可能性があるというメッセージを送っており、競馬の開催日数に影響を及ぼす可能性もある。
BHAのCEOニック・ラスト(Nick Rust)氏は、次のように語った。「この削減がどの分野に影響を及ぼすか、競馬界で引き続き議論されています。多岐にわたる分野に影響が及ぶことから、困難な決定を下さざるを得なくなるでしょう。単に一律案分して賞金額を削減すればよいというものではなく、競馬界の活動水準に影響が及ぶ可能性があります」。
5月21日発表の賦課公社の最新事業計画において、第52回賦課金計画(2013-14年)において7,850万ポンド(約149億1,500万円)であった総収入は、現行の第53回賦課金計画(2014-15年)では7,140万ポンド(約135億6,600万円)、2015-16年では7,050万ポンド(約133億9,500万円)にまで落ち込むと予測している。
これらの総収入の中で、2013-14年に7,020万ポンド(約133億3,800万円)であった賦課金の納付額は、2014-15年には5,990万ポンド(約113億8,100万円)に減少した。ベット365社(bet365)のジブラルタルへの移転と、7.1%のベッティングショップ競馬賭事の売上げ減が、一因となっている。また、BHAは「賦課金が課されない方法によって賭事を運営しようとする動きが、継続している」と指摘している。
ベット365社は同時期に、ベットフェア社(Betfair)や32レッド社(32 Red)のように、任意の資金提供を開始した。この提供額は790万ポンド(約15億100万円)から1,070万ポンド(約20億3,300万円)に増加した。
ラスト氏は、次のように付言した。「賦課金収入がこのようなダメージを与える水準にまで落ち込んだ根本的な原因は、賦課金が大半のオンライン賭事に課されていないことにあります。競馬界は、この問題に対処するために団結し、懸命に取り組んでいます。さらに、成長を実現するために自助努力を行っています」。
賦課公社は、「2014-15年の財政赤字410万ポンド(約7億7,900万円)に加え、2015-16年も650万ポンド(約12億3,500万円)の財政赤字で運営することになりますが、いつまでも赤字の状態で運営するわけにはいきません」と述べた。なお、賦課公社は準備金に関する方針を見直し、これまで3,000万〜4,000万ポンド(約57億〜76億円)としてきた最低準備金額を、2,400万ポンド(約45億6,000万円)に引き下げた。
賦課公社のポール・リー(Paul Lee)会長は、次のように語った。「賦課公社は原則として、2016年の拠出金を400万ポンド(約7億6,000万円)削減することに合意しました。2016-17年に現在予測されている以上の高収入が望める理由がない限り、2017年は暦年ベースで大幅な削減が必要となるでしょう。これらを考慮した場合、2016年の400万ポンドは、実際必要とされているより小幅な削減です」。
リー会長は、「2016年と2017年の拠出計画も見直されることになるでしょう」と付言した。
By Bill Barber
(1ポンド=約190円)
[Racing Post 2015年5月22日「BHA warning in face of £4m levy blow」]