ブリーダーズカップ、競技外検査をチャレンジシリーズにまで拡大(アメリカ)【獣医・診療】
6月1日、ブリーダーズカップ協会(Breeders’ Cup Ltd.: BCL)は、優勝馬にブリーダーズカップの出走権を自動的に与えるBCチャレンジシリーズまで、競技外検査プログラムを拡大すると発表した。
BCチャレンジシリーズを施行する競馬場は、全米統一薬物プログラム(National Uniform Medication Program)などの基準も満たす必要がある。
BCL役員は、「ケンタッキー州競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission: KHRC)は、BCチャレンジシリーズ開催州の競馬統轄機関と協力し、出走登録馬を対象とする競技外検査を実施しやすくします」と語った。米国で開催されるBCチャレンジシリーズのプログラムは、7州の10競馬場で施行される重賞競走50レースで構成されている。
今年のブリーダーズカップ開催は、10月30日と31日、キーンランド競馬場で施行される予定である。
BCLは、「競馬場は最低でも発走8時間前から、保安職員の配置やビデオ監視などで、出走馬の安全性を強化しなければならないでしょう」と述べた。また、競馬場は、NTRA(全米サラブレッド競馬協会)の安全・公正に関する分科会(Safety and Integrity Alliance)の承認を受けなければならない。また、薬物規制標準化委員会(Racing Medication and Testing Consortium:RMTC)と北中米競馬委員会協会(Association of Racing Commissioners International: RCI)が推奨する全米統一薬物プログラム“規制治療薬物・禁止薬物”の条件を採用するか、採用する過程になければならない。
一方、BCチャレンジシリーズの施行競馬場は、次の事項を実施しなければならない。(1) 全出走馬に総二酸化炭素(TCO2)の検査を実施すること。(2) 競走当日の薬物投与は第三者の獣医師によって実施すること。実施しない場合は、薬物投与を監視し、検査のために注射器をすべて回収すること。(3) すべての検査は、RMTCが承認した検査施設あるいは承認審査中の検査施設で実施すること。
BCLのクレイグ・フレイヴェル(Craig Fravel)会長は声明で、「BCLは、競馬の保安と安全性においてリーダーであると認識されています。ブリーダーズカップでは薬物検査を実施しており、この対策をBCチャレンジシリーズまで拡大できることに満足しています。参加競馬場の協力と支援に感謝します」と述べた。
KHRCの馬医療担当理事であるメアリー・スカレー(Mary Scollay, D.V.M.)博士は、「私たちはBCLとともに、競馬の公正確保・安全性・保安を公約しています。これらの対策は、BCチャレンジシリーズとキーンランド競馬場で開催されるブリーダーズカップにおける安全性と保安対策を確実なものにする素晴らしい方法であり、競馬産業にとって模範となるでしょう」と語った。
2015年ブリーダーズカップ開催に向け、キーンランド競馬場とBCLは、包括的なビデオ監視プログラムを開発した。馬は出走馬専用の施設に繋留され、馬房には高解像度の監視カメラ72台と最先端の監視装置が設置される。
ブリーダーズカップ開催において実施される他の安全対策は、次の通りである。(1) 出走馬に対する馬房内での医療行為やその他の行為を記録するため、全厩舎に保安職員を配置する。(2) BCLの馬調査チームは、KHRCの調査員と連携する。(3) すべての出走馬が、その日の第1レース発走時刻の72時間前に、競馬場の敷地内に入ることを義務付ける。
また、BCLの獣医師チームが、KHRCの獣医師と連携して実施するプレレース検査も安全対策の1つである。プレレース検査は、馬が競馬場に到着してすぐに開始され、競走当日まで継続される。
なお、著名な馬場専門家であるミック・ピーターソン博士(Dr. Mick Peterson)は、ブリーダーズカップ開催中、キーンランド競馬場と一緒に馬場の評価と検査を実施する予定である。
By Blood-Horse Staff
[bloodhorse.com 2015年6月1日「BC Expands Out-of-Competition Testing Program」]