ロイヤルアスコット開催、賞金を大幅引上げ(イギリス)【開催・運営】
アスコット競馬場は、2016年ロイヤルアスコット開催(5日開催)の大幅な賞金引上げを発表した。賞金総額は全体で100万ポンド(約1億7,000万円)引上げられ、過去最高の658万ポンド(約11億1,860万円 前年比18%増)となる。
1開催日につき賞金総額100万ポンド以上が提供されること、さらに全30レースでそれぞれ総賞金8万ポンド(約1,360万円)以上が提供されることは、初めてである。昨年の1レース当たりの最低賞金額は6万ポンドであった。
また、総工費70万ポンド(約1億1,900万円)をかけて脱鞍所を改築し、平地シーズンまでにオープンする計画も発表した。
総賞金が引上げられたレース
プリンスオブウェールズS(G1) | 52万5,000ポンド(8,925万円) | ⇒ | 75万ポンド(1億2,750万円) |
クイーンアンS(G1) | 37万5,000ポンド(6,375万円) | ⇒ | 60万ポンド(1億200万円) |
ダイヤモンドジュビリーS(G1) | 52万5,000ポンド(8,925万円) | ⇒ | 60万ポンド(1億200万円) |
キングエドワード7世S(G2) | 18万5,000ポンド(3,145万円) | ⇒ | 20万ポンド(3,400万円) |
リブルズデールS(G2) | 16万ポンド(2,720万円) | ⇒ | 20万ポンド(3,400万円) |
このほかのG1・5レースの総賞金も、それぞれ2万5,000〜40万ポンド(約425万〜6,800万円)引き上げられる。
他の国際競馬開催との比較
アスコット競馬場の国際・渉外担当理事であるニック・スミス(Nick Smith)氏は、世界中でロイヤルアスコット開催への参戦を勧誘している。この賞金増加が、その交渉に有利に働くことは間違いない。しかし、同開催は他の大規模な国際競馬開催と比較すれば、まだ遅れを取っている。
世界一の賞金を提供するドバイワールドカップナイトは、ロイヤルアスコット開催(5日間)の3倍の賞金総額を誇る。
大まかに比較すれば、プリンスオブウェールズSの総賞金は75万ポンド(約1億2,750万円)に引上げられたが、香港国際競走の四大レースの中で最高賞金を誇る香港カップ(G1)は1着賞金だけで約120万ポンド(約2億400万円)である。
開催 | 賞金総額 | レース数 |
ドバイワールドカップナイト | $3,000万 (36億円) | 9 |
ブリーダーズカップ | $2,600万(31億2,000万円) | 13 |
香港国際競走開催 | HK$8,300万(12億4,500万円) | 4 |
ロイヤルアスコット開催* | £658万(11億1,860万円) | 30 |
凱旋門賞ウィークエンド | €804万7,000(10億4,611万円) | 15 |
*ロイヤルアスコット開催のみ2016年賞金総額。他は2015年賞金総額。
しかし、ロイヤルアスコット開催は賞金額ゆえに国際的な関心を集めているのではない。ロイヤルアスコット開催に出走し優勝することが大きな名誉であり、その壮麗さとセレモニーがとても魅力的であるために、世界中から注目を浴びるのである。
アスコット競馬場のCEOガイ・ヘンダーソン(Guy Henderson)氏は、次のように語った。
「ロイヤルアスコット開催の賞金と施設改善のため、170万ポンド(約2億8,900万円)の追加投資を行うことを発表することができ、とてもうれしく思います。同開催が国内外で、できる限り魅力的であり続けるために、私たちは賞金総額を100万ポンド(約1億7,000万円)引上げました。1レース当たりの最低賞金額が引上げられたことは重要なことです。世界中から出走馬を引き付けるために、この国際的看板イベントを発展させ続けることは不可欠です」。
「2015年は72頭の外国調教馬が出走し、そのうち20頭は欧州以外の国からの参戦でした。彼らの輸送距離は、合計で10万マイル(約16万キロ)以上にもなりました」。
アスコット競馬場によれば、脱鞍所の改築計画により、スペースが広くなり一層多くの馬を収容することができる。出走頭数の多いウォーキンガムSやロイヤルハントカップなどへの出走は快適になり、馬の福祉の改善につながる。
ヘンダーソン氏は次のように語った。「これまでの脱鞍所には改善が必要だったことに気付かされました。この改築により、出走馬関係者は気持ち良くレースを終えることができるでしょう」。
「ロイヤルアスコット開催が引き続き良い実績を上げることにより、本日発表したような競馬への投資が可能になります」。
「幸運にも、ロイヤルアスコット開催は素晴らしい公式パートナーに支援されています。中でもQipco社とギガセット社(Gigaset)は重要なパートナーです。私たちは、これらのパートナーに対し、謝意を表明いたします」。
By Bill Barber and David Baxter
(1ポンド=約170円、1ドル=約120円、1香港ドル=約15円)
[Racing Post 2016年1月11日「Major boost to Royal Ascot prize-money」]