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2016年01月20日  - No.1 - 5

2016年の競馬:16の見どころ(国際)【その他】


1. フランケルの初年度産駒が出走

 2013年にシーザスターズ(Sea The Stars)の初年度産駒が2歳となり出走し始めたとき、大きな関心が注がれた。このことを考えると、2年連続でワールドベストレースホースランキングの首位に輝いた無敗馬フランケル(Frankel 父ガリレオ)の初年度産駒が出走すれば、人々は熱狂するだろう。

 フランケルの初年度産駒(牡駒58頭、牝駒50頭)はすべて傑出した血統を誇るので、活躍馬を出さなければならないというプレッシャーがある。しかし、今年の成績だけで結果を判断すべきではない。ガリレオをはじめ多くの種牡馬は3歳産駒が出走するまで、その優秀性は開花しなかったからである。


2.2015年のスター種牡馬ゾファニーの2年目の活躍

 フランケルは、2015年スターフレッシュマンサイアーのゾファニー(Zoffany)のごとく、その2歳産駒で異彩を放つことになるだろう。ゾファニーは2015年ロイヤルアスコット開催で3頭の優勝馬、すなわちワシントンディーシー(Washington DC)とウォータールーブリッジ(Waterloo Bridge)、イリュミネイト(Illuminate)を出した。加えて、ロイヤルロッジS(G2)勝馬ファウンデーション(Foundation)とリステッド勝馬アルジェンテロ(Argentero)も出した。

 しかし、ゾファニーからプレッシャーは消え去ってはいない。今年は、この早い成功が一時的なものではないことを証明しなければならない。それには、3歳シーズンでもこれらの産駒が優れていることを示し、さらに多くの優良2歳産駒を出して、その高い評価と2016年に3倍以上に跳ね上がった種付料が正当であることを示さなければならない。


3. ニューアプローチの2歳産駒に高まる期待

 若き種牡馬ニューアプローチ(New Approach 父ガリレオ)は、最初の2歳産駒が大活躍したことで2013年に種付料が高騰し、一層良質な繁殖牝馬に恵まれた。その結果生まれた産駒は今年2歳となり、“ヴィンテージクロップ(将来が嘱望される産駒)”として期待されるのはもっともなことである。

 ニューアプローチの種付料は、2013年に倍以上の5万ポンド(約875万円)に高騰し、交配する繁殖牝馬のブラックタイプ率は前年から12ポイント上がって55%となった。そのスター繁殖牝馬が出産した中で馬名が登録されている2歳産駒は、牝駒エンブラシーブルユー(Embraceable You 母フォーリンフォーユー)、牡駒バルダン(Buldan 母ミーズナ)、牝駒スペイシャル(Spatial 母スペイシャス)である。


4. ミッデイとザルカヴァの仔

 傑出した牝の競走馬は、いつもその才能を仔に伝えるとは言えない。母馬として、バランシーン(Balanchine)、ボスラシャム(Bosra Sham)、ペブルス(Pebbles)などは失敗し、ミエスク(Miesque)、ウィジャボード(Ouija Board)、アーバンシー(Urban Sea)などは上々の成績を収めている。ミッデイ(Midday)とザルカヴァ(Zarkava)は2頭合わせてG1・11勝を果たしているが、優良繁殖牝馬のほうに仲間入りすると考えられている。なぜなら両馬の2歳産駒は昨年デビュー戦を制し、2016年は前途有望だからである。

 ミッデイの初仔ミッドターム(Midterm 父ガリレオ)はニューベリ競馬場の未勝利マイル戦を制して英ダービー優勝に12-1(13倍)のオッズが付けられている。一方、ザルカヴァの第4仔にして最初の出走馬となったザラック(Zarak 父ドバウィ)は、ドーヴィル競馬場の新馬戦を余裕で制して英ダービー優勝に20-1(21倍)のオッズが付けられている。


5. 最高価格繁殖牝馬の仔

 今年初めて繁殖牝馬としての真価が問われるもう2頭のG1優勝牝馬は、ダンシングレイン(Dancing Rain)とイモータルヴァース(Immortal Verse)である。これら2頭は2013年タタソールズ社12月繁殖セールにおいて、それぞれ、驚異的な価格400万ギニー(約7億1,400万円)と、欧州繁殖牝馬の史上最高価格470万ギニー(約8億3,895万円)で購買された。

 いずれも受胎している状態で購買され、そのときの仔が今年2歳となった。ダンシングレインが出産したフランケル牝駒はダーレーに購買されたが、まだ馬名登録されておらず入厩していない。一方、クールモア牧場が購買したイモータルヴァースが出産したダンシリ(Dansili)牡駒もまだ馬名登録されていないが、フランスのフレディ・ヘッド(Freddy Head)厩舎に入厩したことがウェザビーズ社(Weatherbys)に登録されている。


6. 最高価格1歳馬の活躍

 最高価格馬の話題では、2016年に競走を開始する昨年の最高価格1歳馬への大きな期待もある。

 ラブイズオールユーニード(Loveisallyouneed)が出産したドバウィ牝駒は、2015年の世界最高価格1歳馬となった。タタソールズ社のセリでMV・マグニア(MV Magnier)氏に210万ギニー(約3億7,485万円)で落札されたこの牝駒は、おそらくエイダン・オブライエン(Aidan O’Brien)厩舎に入厩し、やがて近親のオールマイラビング(All My Loving)やイエスタデー(Yesterday)のようにビートルズの楽曲にちなんだ名前が付けられるだろう。一方、ジョン・ファーガソン(John Ferguson)氏が260万ユーロ(約3億3,800万円)で落札してアルカナ社1歳セールの記録を樹立したドバウィ牡駒は、アンドレ・ファーブル(Andre Fabre)調教師に管理されている。


7. 急激に高まりつつあるウォーフロントへの注目度

 エイダン・オブライエン厩舎はガリレオ産駒で一杯であり、ダーレーの驚異的種牡馬ドバウィの産駒はそれほど見られない。クールモア牧場お気に入りのもう1頭の優良種牡馬は、クレイボーン牧場(Claiborne Farm アメリカ・ケンタッキー州)で供用されているウォーフロント(War Front)である。その評価はすでに高いが、2016年にはさらに高まるだろう。ウォーフロントはオブライエン厩舎のG1馬デクラレーションオブウォー(Declaration Of War)とウォーコマンド(War Command)を送り出しており、昨年の2歳シーズンに優秀な成績を残し、今年の英2000ギニー(G1)の一番人気馬エアフォースブルー(Air Force Blue)の種牡馬でもある。

 クールモア牧場は、昨年9月にキーンランドでさらに3頭のウォーフロント産駒を購買した。この中には、115万ドル(約1億3,800万円)で落札したプルピット(Pulpit)の近親が含まれる。一方、ダーレーは、同じセリで2頭のウォーフロント産駒をそれぞれ90万ドル(約1億800万円)と52万5,000ドル(約6,300万円)で購買した。また、チャイナホースクラブ(China Horse Club)は昨年、欧州のセリでG3優勝牝馬リヴァーベル(River Belle)が出産したウォーフロントの1歳牡駒を77万5,000ギニー(約1億3,834万円)で購買した。


8. チャイナホースクラブの飛躍

 テオ・アー・キン(Teo Ah Khing)氏が会長を務めるチャイナホースクラブは、2013年の英ダービー馬オーストラリア(Australia)の共同馬主であったことで有名である。彼らは、レーシングポストトロフィー(G1)2着、クリテリウムアンテルナショナル(G1)優勝のガリレオ牡駒ジョハネスヴァーミアー(Johannes Vermeer)をバリードイル勢と共同所有しているので、2回目の英ダービー制覇のチャンスがある。

 チャイナホースクラブは、欧州のトップクラスの馬主であり続けるために昨年、世界中のセリで高額1歳馬を購買した。この中には、複数のG1を制した牝馬アレクサンダーゴールドラン(Alexander Goldrun)が出産したフランケル牝駒がおり、購買価格はフランケル1歳産駒で最高の170万ユーロ(約2億2,100万円)であった。この牝駒はその優秀な母を管理したジム・ボルジャー(Jim Bolger)調教師に預託されている。


9. 生産界で株が上昇中の若きエージェント、フラナガン氏

 チャイナホースクラブの1歳馬購買を代行するマイケル・ウォレス(Michael Wallace)氏に力を貸しているのは、物腰の柔らかい若きエージェント、ミック・フラナガン(Mick Flanagan)氏である。同氏の株はサラブレッド産業で急上昇している。

 今年はフラナガン氏についてより多くの噂を耳にするかもしれない。なぜなら、米国の前途有望なメリーベル牧場(Merriebelle Stables)が2013年に同氏を介してキルフラッシュスタッド(Kilfrush Stud)の繁殖牝馬を購買し、今年は一層多くの出走馬を出すからである。また、豪州のクリス・ウォラー(Chris Waller)調教師は昨年、フラナガン氏が購買したグランドマーシャル(Grand Marshal)をランドウィック競馬場のG1優勝に導いた。フラナガン氏はピンフッカーとしても評判が高く、クラシック制覇が期待されるレーシングポストトロフィー優勝馬マルセル(Marcel)を出している。


10. 南アのメイフェアスペキュレーターズ社が躍進

 優良1歳馬を発掘するのに熱心で、チャイナホースクラブのためにも数頭購買しているもう1つの国際的な企業は、マーカス・ジュースト(Markus Jooste)氏率いる南アフリカの投資家グループのメイフェアスペキュレーターズ社(Mayfair Speculators 以下メイフェア社)である。

 メイフェア社は2015年、ピーター&ロス・ドイル(Peter and Ross Doyle)親子の協力の下、数十万ギニーの1歳馬を約20頭購買した。その中には、65万ギニー(約1億1,603万円)で落札したヨークシャーオークス(G1)優勝馬シャレータ(Shareta)の半弟(父シーザスターズ)が含まれる。同馬はファーブル調教師に管理される。メイフェア社はフランスで多くの購買を行っており、その購買馬はフランスで出走することが多い。ただし、いずれもガリレオ産駒であるハービンジャーの半弟とセントフロムヘヴン(Sent From Heaven)の半弟は、オブライエン調教師に管理される。


11. 話題を提供しそうな新進気鋭のコンサイナー

 2016年にニュースを再び提供しそうな新進気鋭のコンサイナーは、フランス・ノルマンディー地方に拠点を置くリシャール・パウエル(Richard Powell)氏のリューデシャン牧場(Haras du Lieu des Champs)である。

 パウエル氏は2013年に両親からこの牧場を買い取った。同牧場は、若い優良フランス障害馬ブルードラゴン(Blue Dragon)が誕生し育成された場所として名高かったため、パウエル氏は幸運なスタートを切ることができた。なお、トップクラスの障害馬ミロードトーマス(Milord Thomas)もここで生まれており、才能ある4歳のハードル馬モカラカトハス(Mocalacato Has)もこの牧場により上場された。リューデシャン牧場は、パウエル氏の管理下で平地競走馬の売り手としても名声を得つつある。昨年のアルカナ社8月1歳セールに初めて上場した馬の中には、ファーガソン氏が45万ギニー(約8,033万円)で落札したリダウツチョイス(Redoute’s Choice)牡駒がいた。


12. セリにおける女性鑑定人の活躍

 リューデシャン牧場が将来馬を上場するアルカナ社のセリは、大変珍しい女性鑑定人によって進行されるかもしれない。

 オレリー・ブラネール(Aurelie Branere)氏(父ジャン-ルイ氏は元エージェント)が昨年11月のアルカナ社オータムセールでハンマーを手にするまで、セリの演壇は男性支配の最後の砦であった。そのパフォーマンスは温かい評価を得たので、今年はドーヴィルのセリにおいて彼女を頻繁に見かけるようになるかもしれない。


13. 新しい大規模なセリの開催

 2016年には、グランドナショナル開催(エイントリー競馬場)においてDBS(ドンカスター・ブラッドストック・セールズ社)の運営により、実績ある障害馬のセレクトセールが新たに開催される。

 グランドナショナル開催初日にウィナーズサークルで開催されるこのセリでは、バンパー競走馬やポイントトゥポイント競走馬も上場される。そして購買馬は臨時にグランドナショナルに出走させることができるかもしれない。ブライトウェルズ社(Brightwells 昨年タタソールズ社が買収)の領域であった障害馬市場で巻き返しを図ることになるで、DBSにとって重要な日程である。


14. 優良障害種牡馬ゲッタウェイの活躍

 ドイツ賞(G1 現ベルリン大賞)とバーデン大賞(G1)で優勝したゲッタウェイ(Getaway)の初年度産駒は4歳となった。したがって、今年はこれらの産駒がポイントトゥポイント競走あるいは未勝利ハードル競走に出走する姿を見られる。中距離で卓越した競走成績を誇るドイツのファミリー(牝系)から出てきたモンズーン(Monsun)の産駒ゲッタウェイは、障害馬の種牡馬として大成するのにあらゆる要素を備えているようだ。クールモア牧場で供用されている同馬は、最初の5年間で1,300頭以上の牝馬に種付けを行っているので、この種牡馬の初期の結果に期待を膨らませている生産者もいるだろう。

 ゲッタウェイほど多くの産駒を出していないが、モンズーンを父とするもう1頭のトップクラスの障害種牡馬はスキャパレリ(Schiaparelli)である。同じく初年度産駒が4歳となる同馬は、オーバーベリースタッド(Overbury Stud ダーレー所有)で供用されている。


15. 種牡馬ゴールデンホーンの活躍

 供用1年目のゴールデンホーン(Golden Horn)は、優秀な競走成績を挙げた牝馬や、繁殖実績のある牝馬、そして素晴らしい血統の牝馬に恵まれるだろう。同馬はダーレーと生産者アンソニー・オッペンハイマー(Anthony Oppenheimer)氏に共同所有されており、ダーラムホールスタッド(Dalham Hall Stud ニューマーケット)で供用1年目を過ごす。

 ダーレーとオッペンハイマー氏以外の生産者は、ゴールデンホーンの英ダービー(G1)、エクリプスS(G1)、凱旋門賞(G1)を制した素晴らしい競走成績、ハンサムな外見、一流の血統(母G1・コロネーションS優勝馬レベッカシャープ、父ケープクロス)に引き付けられるだろう。


16. アメリカンファラオ、種牡馬としてのアメリカンドリーム

 同じく供用1年目のアメリカンファラオ(American Pharoah 父パイオニアオブザナイル)は、37年ぶりの三冠馬でBCクラシックの圧倒的な勝馬として、アシュフォードスタッド(Ashford Stud ケンタッキー州)で優良牝馬に恵まれることだろう。

 アメリカンファラオの種付料は20万ドル(約2,400万円)とされる。2006年にアデナスプリング社(Adena Spring)において種付料30万ドル(約3,600万円)で種牡馬入りしたゴーストザッパー(Ghostzapper)以来最高の初年度種付料である。すでに種付が予約されている牝馬には、BCジュヴェナイルフィリーズ優勝馬ソングバード(Songbird)の母アイヴァンアヴィナロット(Ivanavinalot)、G1を数回制し繁殖牝馬としてG1馬のテイクチャージインディ(Take Charge Indy)とウィルテイクチャージ(Will Take Charge)を生んだテイクチャージレディ(Take Charge Lady)がいる。

By Martin Stevens

(1ポンド=約170円、1ドル=約120円、1ユーロ=約130円)

[Racing Post 2016年1月1日「16 TO WATCH IN 2016」]
 


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