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2016年12月20日  - No.12 - 3

香港国際競走のG1優勝馬の血統背景(国際)【生産】


香港ヴァーズ(芝2400m)優勝馬サトノクラウン

 サトノクラウンは、香港ヴァーズ(G1・シャティン競馬場)でのスリルに富んだゴールで、世界を股にかけるハイランドリール(Highland Reel)から勝利を奪い取った。

 エイダン・オブライエン(Aidan O'Brien)調教師が管理するハイランドリールは、残り1ハロン(約200m)で後続馬を3馬身引き離して勝利を確実にしたように見えたが、最後にサトノクラウンに差し切られた。

 ノーザンファームで生産され、母をジョコンダ(父ロッシーニ)とするサトノクラウンは、チェヴァリーパークS(G1)優勝牝馬ライトニングパール(Lightening Pearl)の全弟である。

 この優勝により4歳のサトノクラウンは、マルジュ(Marju)の最も新しいG1優勝産駒となった(訳注:マルジュは2011年に種牡馬を引退したので、サトノクラウンはラストクロップとなる)。

 デリンスタウン牧場(Derrinstown Stud)で繋養されていて10月に死んだマルジュは、欧州において、G1を5勝した牝馬ソヴィエトソング(Soviet Song)の父として最も良く知られている。

 マルジュが香港で活躍馬を送り出すのは意外なことではない。サトノクラウンの前に、香港でG1を含め多くの勝利を収めたインディジェナス(Indigenous)とヴィヴァパタカ(Viva Pataca)、G3優勝馬サターン(Saturn)を出している。


香港スプリント(芝1200m)優勝馬エアロヴェロシティ

 エアロヴェロシティ(Aerovelocity)は、ラッキーバブルス(Lucky Bubbles)とペニアフォビア(Peniaphobia)の挑戦を退けて、短頭差の勝利を収め、香港スプリント(G1)2勝目を果たした。

 8歳のエアロヴェロシティ(ポール・オサリバン厩舎)は2014年にも、ザック・パートン騎手を背に、ペニアフォビアをクビ差で下し同レースを優勝していた。

 エアロヴェロシティは、ウィンザーパーク牧場(Windsor Park Stud)のネルソン・シック(Nelson Schick)氏とスティーヴ・ティル(Steve Till)氏により生産され、母はエクソダス(Exodus 父カープスタッド)である。オサリバン調教師はNZブラッドストック社カラカプレミアセール(NZ Bloodstock Karaka Premier Sale)で、1歳だったエアロヴェロシティを12万NZドル(約1,020万円)で購買した。

 エアロヴェロシティの父ピンス(Pins 父スニペッツ)は現役時代にカドベリーギニーズ(G1 フレミントン競馬場)で優勝するなど7勝を果たしている。ニュージーランドのワイカト牧場(Waikato Stud)に種牡馬入りしてからは、アンビシャスドラゴン(Ambitious Dragon)、エルセガンド(El Segundo)、レッグス(Legs)などのG1馬を送り出している。


香港マイル(芝1600m)優勝馬ビューティーオンリー

 ビューティーオンリー(Beauty Only)は香港マイル(G1)を制し、ホーリーローマンエンペラー(Holy Roman Emperor 12歳)の9頭目のG1優勝産駒となった。

 5歳のビューティーオンリーは、レース前半は馬群中段に控えていたが、残り3ハロン(約600m)の地点で仕掛け始め、最後は鋭く伸びてヘレンパラゴン(Helen Paragon)を半馬身差で下して優勝した。

 マッシモ・パリ(Massimo Parri)氏が生産したビューティーオンリーは、母をゴールデンデール(Goldendale 父アリロイヤル)とし、リステッド勝馬ディーディードール(Dee Dee D'Or)の半兄である。

 ホーリーローマンエンペラーはデインヒル産駒であり、現役時代はオブライエン調教師に管理され、フェニックスS(G1)やジャンリュックラガルデール賞(G1)での優勝を含む4勝を果たした。

 香港に輸出されたホーリーローマンエンペラー産駒は活躍している。中でもデザインズオンローム(Designs On Rome)は香港で4勝を挙げており、また、香港調教馬リッチタペストリー(Rich Tapestry)はサンタアニタパーク競馬場でG1優勝を果たしている。

 他のホーリーローマンエンペラー産駒には、英1000ギニー(G1)の優勝牝馬ホームカミングクイーン(Homecoming Queen)やクリテリウムドサンクルー(G1)優勝馬モランディ(Morandi)などがいる。


香港カップ(芝2000m)優勝馬モーリス

 日本のスター馬モーリスは香港カップ(G1)で、衝撃的な3馬身差の勝利を収めた。2着はシークレットウェポン(Secret Weapon 父ショワジール、母父モンジューでBCターフスプリント優勝馬オビアスリーと同じクロス)だった。

 ライアン・ムーア騎手の威厳ある騎乗に導かれた5歳のモーリスは、レース終盤に先頭に立って勝利を動かぬものとし、その競走生活を記憶に残るようなかたちで締めくくった。

 戸川牧場で生産されたモーリスは、母をメジロフランシス(父カーネギー)とし、血統を遡ればファミリー(牝系)に桜花賞とオークスの3着内馬メジロボサツがいる。

 モーリスの父スクリーンヒーロー(12歳 父グラスワンダー)はレックススタッドで供用されている。同馬はG1馬ゴールドアクターの父でもある。

By Zoe Vicarage

(1NZドル=約85円)

[Racing Post 2016年12月11日「How the Group 1 winners were bred」]


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