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海外競馬情報
2016年06月20日  - No.6 - 1

牝馬を出走させることを奨励する計画が発足(イギリス)【開催・運営】


 BHA(英国競馬統轄機構)とサラブレッド生産者協会(Thoroughbred Breeders Association:TBA)はニューマーケットにおいて、"牡馬・牝馬の平等"を目指す新しい計画を発表した。

 この活動は、ツイッターのハッシュタグ『#thisfillycan(ディス・フィリー・キャン)』を使い、牝の平地競走馬を購買・所有・調教することの利点を広く知らせて奨励する。過去10年間の牝の競走馬の状況をよりよく把握するためにBHAが実施した広範な再調査を受けて、この計画は発足した(訳注:ハッシュタグとはキーワードに記号"#"を付けること。ツイッター上でそのキーワードが入ったツイートを一覧できる。これにより、同じ興味を持つ人々のさまざまな意見が閲覧しやすくなる)。

 牝馬は現在、現役競走馬の40%を占めている。この活動の目標は、牝馬の出走機会が増え牡馬と競う能力が向上していることを強調し、牡馬・牝馬の割合が同等となるように促すことである。

 牡馬と牝馬の出生頭数の割合は五分五分である。しかし、牝馬は競走馬にしたり売却したりせずに繁殖入りさせる傾向があり、それゆえ現役馬頭数における牡馬・牝馬の割合に不均等が生じている。BHAとTBAはこの傾向を反転させることに意欲的である。

 この計画はニューマーケットのジョッキークラブルームで発表され、そこには競馬・生産界の多くの重要人物が出席していた。競馬界からは、サー・マイケル・スタウト(Sir Michael Stoute)調教師、ウィリアム・ハッガス(William Haggas)調教師、レイ・ゲスト(Rae Guest)調教師。生産界からは、カースティン・ロージング(Kirsten Rausing)氏、フィリッパ・クーパー(Philippa Cooper)氏、テディ・グリムソープ(Teddy Grimthorpe)氏。また、長年スタウト調教師を支援する馬主フィリップ・ニュートン(Philip Newton)氏はTBA理事会のメンバーであり、この活動の実現に大いに関与した。

 ニュートン氏はこう語った。「これは素晴らしい計画であり、牝馬に現役を続けさせることについての認識を一変させます。現在牝馬限定戦は多く、今年はリステッド競走が2つ増えるので、牝馬を出走させることによるデメリットは少なくなるでしょう」。

 BHAが実施した再調査の結果によれば、英国では今年、牝馬限定戦が700レース近く施行される。これは2006年から40%増加している。加えて、一旦平均的なレーティング75を獲得すれば、牝馬は平均的な牡馬よりも1シーズン当たりの獲得賞金が多くなる。また、牝の競走馬の能力は向上しており、レーティング85以上の牝馬は現在650頭以上に上り、10年前よりも58%増加している。

 2016年にエア競馬場とバース競馬場で牝馬限定のリステッド競走が新設されるのに加え、賞金総額65万ポンド(約9,750万円)の欧州生産者基金フィリーズシリーズ(European Breeders Fund Fillies' Series)も開催される。このシリーズは、ブラックタイプのレベルにわずかに届かない牝馬を対象とした20レースから構成される。競走距離は様々である。

 ハッガス調教師は近年、2011年英オークス(G1)優勝馬ダンシングレイン(Dancing Rain)など、優秀な牝馬を出している。

 同調教師は「牝馬限定戦のプログラムを強化することに賛成です。牝馬で賞金を獲得する可能性を高めるために複数の計画が実施されることは、素晴らしいことです」と語った。

 ハッシュタグ『#thisfillycan(ディス・フィリー・キャン)』は、女性が積極的にスポーツを楽しむことを奨励して人気を博した"ディス・ガール・キャン(This Girl Can)キャンペーン"に敬意を表したものである。競馬界における牝馬支援のキャンペーンは、特に1歳馬のセリが開催される秋にソーシャルメディアや広告を通じて行われる。

 ニュートン氏は、「秋のセリでは大胆な企画を考えています。また、メッセージを伝えるために、フェイスブックその他のソーシャルメディアでの存在感を高めていきます」と付言した。



再調査の結果

・ 現在、牝馬限定戦は約700レース。10年前よりも40%増加した。

・ 牝馬限定戦に拠出できる平均賞金基金額は、過去10年間において毎年オープン競走に拠出できた平均賞金基金額を上回る。

・ 平均的なレーティング75を獲得すれば、牝馬は平均的な牡馬よりも1シーズン当たり高額な賞金を獲得する。レーティング75を下回る場合、牡馬・牝馬の獲得賞金額はほぼ同じ。

・ ブラックタイプを獲得する牝馬は増加しているが、それらの牝馬の平均的なレーティングは98前後にとどまっている。

・ 牝の競走馬の能力は向上している。レーティング85以上の牝馬は650頭以上であり、10年前よりも58%増加。なお、レーティング85以上の牡馬は39%増加。


By David Milnes

(1ポンド=約150円)

[Racing Post 2016年6月2日「Campaign launched to promote benefits of owing a filly」]


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