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2016年07月20日  - No.7 - 1

2016年ブリーダーズカップ、賞金と出走登録料を引上げ(アメリカ)【開催・運営】


 今年のブリーダーズカップに馬を出走させる馬主の支払う出走登録料が引き上げられる。しかし、ブリーダーズカップ協会(Breeders' Cup Ltd.: BCL)の役員は、馬主が受けている恩恵は今年さらに増大するだろうと語った。

 6月13日、BCクラシック(G1)とBCターフ(G1)の総賞金はいずれも100万ドル(約1億500万円)増額され、それぞれ600万ドル(約6億3,000万円)と400万ドル(約4億2,000万円)になることが発表された。一方、これら2レースと他のブリーダーズカップ競走11レースの出走登録料(予備登録・出馬登録の合計)は引き上げられる。

 BCクラシックの出走登録料は、昨年の10万ドル(約1,050万円)から50%増の15万ドル(約1,575万円)となる。これは同レースの総賞金の2.5%に相当する。同時に、BCターフの出走登録料も、昨年の6万ドル(約630万円)から総賞金の2.5%に相当する10万ドル(約1,050万円)となる。

 ブリーダーズカップ競走13レースの出走登録料は昨年、各レースの総賞金の2%に設定されていた。今年に関しては、BCクラシックとBCターフについては2.5%と設定される。その他のレースについては3%に引き上げられ、レース総賞金と出走登録料は以下のとおりとなる。

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 BCLの理事会は2月の会合で、出走登録料引上げを承認していた。競走・登録担当の上席副理事長であるドラ・デルガド(Dora Delgado)氏は、こう語った。「大半のレースの出走登録料は2013年より前の水準に戻されます。理事会はこの3年間、それまで総賞金の3%であった登録料を一時的に引き下げていました」。

 「2013年以降、大きな招待競走の例などを踏まえて、ブリーダーズカップ開催の出走登録料は3%から2%に引き下げられていました」。

 BCLは近年、出走馬関係者への補助も増加させている。北米からの出走馬への輸送費の補助を1万ドル(約105万円)に、外国(北米以外)からの遠征馬への輸送費の補助を4万ドル(約420万円)に引き上げた。今年、この補助を受ける出走馬は135頭と推測されている。

 さらに、多くの出走馬が"勝てば参加できる(Win and You're In)"条件のブリーダーズカップチャレンジ競走(以下BCチャレンジ競走)において優勝することで、出走登録料を免除されている。今年、BCチャレンジ競走優勝馬として、出走登録料を支払わずにブリーダーズカップに参戦する馬は50頭と推測されている。

 今年のブリーダーズカップ開催では、オフィシャルホテル宿泊費として、各馬主に1,500ドル(約16万円)が提供される(共有やシンジケートの場合は、1人の馬主と見なされる)。また、出走馬1頭につき6人用のテーブルかボックス席と、すべてのオフィシャルイベントに無料参加できる招待状も贈られる。

 BCLは、2大レースの総賞金を引き上げる必要性があったとし、次のように述べた。

 「2つの看板レースの総賞金を引き上げることにより、国内外において知名度を上げることができます。また、これらのレースを目標として馬に長く現役を続けさせる動機づけにもなります。これにより、BCターフとBCクラシックは第1回目のペガサスカップ[訳注:競馬場運営会社ストロナックグループが来年1月に施行を計画している総賞金1,200万ドル(約126,000万円)のレース]が施行されるまで、北米で最高賞金のレースとなります」。

 デルガド氏は、賞金体系も変更されて今後は8着までに賞金が支払われるとし、こう語った。

 「今年、重点的に取り組んだのは、ブリーダーズカップ競走の賞金総額を2,800万ドル(約29億4,000万円)にまで引き上げることだけではありません。8着までに賞金を支払う賞金体系の変更、州外からの出走馬に対する輸送費補助の継続、馬主など出走馬関係者へのおもてなしの向上、そしてファンに世界最高レベルの競馬を提供することにも力を入れました。8着までに賞金を提供する賞金体系の変更により、世界で最も魅力的な競馬イベントであるブリーダーズカップ開催に、関係者はますます馬を出走させたい気持ちになるでしょう」。

By Frank Angst

BCチャレンジ競走として新たに日本の3競走を指定

 ブリーダーズカップ協会(BCL)と日本中央競馬会(JRA)は6月27日、新たに3競走をBCチェレンジ競走として指定することを発表した。なお、宝塚記念(G1)はすでに2011年からBCチャレンジ競走に指定されている。

 現在、世界で81競走がBCチャレンジ競走として指定されており、それらの優勝馬には自動的にブリーダーズカップ(11月4日・5日 サンタアニタパーク競馬場)の優先出走権が与えられ、出走登録料が免除される。

 BCLの理事長兼CEOクレイグ・フレイヴェル(Craig Fravel)氏は、「JRAの協力を得て、フェブラリーS・安田記念・スプリンターズSをBCチャレンジ競走として新たに指定しました。BCチャレンジシリーズの国際性が高まることに大変満足しており、光栄に思います」と語った。

 新たに指定された3競走のうち2競走は今年すでに施行されているが、遡って適用される。2月21日のフェブラリーS(G1・ダート1600m)の優勝馬にはBCクラシック(G1)、6月5日の安田記念(G1・芝1600m)の優勝馬にはBCマイル(芝G1)の優先出走権が与えられる。両競走は東京競馬場で施行された。

 フェブラリーS優勝馬モーニンは、4歳のヘニーヒューズ産駒で、馬場幸夫氏が所有し石坂正調教師が管理する。米国のエンパイアエクワインズ社(Empire Equines)の生産である。重馬場のフェブラリーSに、16頭中2番人気で出走したモーニンは、2着馬ノンコノユメに1馬身1/4差をつけて快勝した。モーニンのほかに、BCチャレンジ競走で優勝してBCクラシックの優先出走権を獲得している馬は以下のとおりである。

・ スティーヴンフォスターS(G1・チャーチルダウンズ競馬場)優勝馬ブレードスター(Bradester)

・ サンタアニタゴールドカップ(G1・サンタアニタ競馬場)優勝馬メラトニン(Melatonin)

 安田記念優勝馬ロゴタイプは、圧倒的1番人気のモーリスを1馬身1/4差で破った。6歳の黒鹿毛のローエングリン産駒で、吉田照哉氏が所有し、田中剛調教師が管理する。社台ファームの生産である。ロゴタイプのほかに、BCチャレンジ競走で優勝してBCマイルの優先出走権を獲得している馬は以下のとおりである。

・クイーンズプレート(G1・南ア・ケニルウォース競馬場)優勝馬リーガルイーグル(Legal Eagle)

・ドンカスターマイル(G1・豪・ランドウィック競馬場)優勝馬ウィンクス(Winx)

・グランプレミオクルブイピコファラベラ(G1・チリ・サンティアゴ競馬場)優勝馬キットカット(Kitcat)

・シューメイカーマイルS(G1・サンタアニタ競馬場)優勝馬ミッドナイトストーム(Midnight Storm)

 新たに指定された3つ目のBCチャレンジ競走は、10月2日に中山競馬場で施行されるスプリンターズS(G1・芝1200m)である。優勝馬にはBCターフスプリント(芝G1)の優先出走権が与えられる。

 なお、6月26日に宝塚記念(G1・阪神競馬場)を制した5歳牝馬マリアライトはBCターフ(G1)の優先出走権を獲得した。

 BCチャレンジ競走優勝馬は10月24日までに予備登録しなければならない。

By Blood-Horse Staff

(1ドル=約105円)

[bloodhorse.com 2016年6月16日「Breeders' Cup Increases Entry Fees for 2016」、

6月27日「Japan Races added to BC Challenge Series」]


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