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2016年08月20日  - No.8 - 2

ウィルデンシュタイン家の事業縮小に伴う処分セール(アイルランド)【生産】


 ゴフス社(Goffsアイルランド・キルデア州)は、ウィルデンシュタインステーブル(Wildenstein Stables Ltd.)の処分セールの担当セリ会社に指名された。美術商のダニエル・ウィルデンシュタイン(Daniel Wildenstein)氏が創立し、子息のアレック(Alec)氏が引き継いだ国際的に有名な競馬・生産事業体は、縮小しつつある。

 この処分セールにより、ウィルデンシュタイン家の名前が競馬界から完全に消えるわけではない。英1000ギニー(G1)の優勝馬ミスフランス(Miss France)を所有したバリーモアサラブレッド社(Ballymore Thoroughbred Ltd. ウィルデンシュタイン家の所有会社)の代表アンソニー・ストラウド(Anthony Stroud)氏は、「私たちはウィルデンシュタイン家の競馬・生産事業を継続し、競馬界における同家の伝統を守りたいと思います」と語った。

 ウィルデンシュタインステーブルの110頭(繁殖牝馬27頭、当歳馬20頭、1歳馬19頭、現役馬44頭)は、キャッスルブリッジコンサインメント社(Castlebridge Consignment)により、ゴフス社のオービーセールと11月セールに上場される。

 1歳馬と現役馬はオービーセール2日目に上場される。一方、繁殖牝馬と当歳馬は11月セールで上場される。

 処分セールは、長く培われ成功を収めてきたファミリー(牝系)を手に入れる千載一遇の機会を提供する。

 仏1000ギニー(G1)優勝、仏オークス(G1・ディアヌ賞)2着のビューティーパーラー(Beauty Parlour 父ディープインパクト)が、上場馬の中でも一番の人気となるだろう。7歳のビューティーパーラーは現在キングマン(Kingman)の仔を受胎しており、同馬が出産した当歳のダンシリ牝駒とともに11月セールに上場予定である。また、ビューティーパーラーの半妹で勝馬のブルーキモノ(Blue Kimono 父インヴィンシブルスピリット)も、オーストラリア(Australia)の仔を受胎した状態で上場される。

 さらに、ビューティーパーラーが出産した1歳のドバウィ牡駒はオービーセールの目玉となるだろう。

 ダニエル・ウィルデンシュタイン氏の優秀な凱旋門賞(G1)優勝馬パントルセレブル(Peintre Celebre)の半妹でG2勝馬のパンチュールラール(Peinture Rare)も、注目されるだろう。同馬はダンシリ(Dansili)の仔を受胎しており、同馬が出産した1歳のオアシスドリーム牡駒も上場される。

 また、BCクラシック(G1)優勝馬アルカング(Arcangues)や優秀な牝の競走馬アクワレリスト(Aquarelliste)と同じ有名なファミリーから出た馬も多く上場される。

 上場される現役馬の中には、リステッド勝馬でG2・3着内の牝馬レディーオブキュウシュウ(Lady Of Kyushu 父スマートストライク)や、勝馬であり最近ヴァントー賞(G3)で4着となった牝馬アステリナ(Asterina 父ダラカニ)がいる。

 ダニエル・ウィルデンシュタイン氏の孫でありアレック氏の甥であるダヴィッド氏はこう語った。「私たち一家は、競馬界・生産界において最高レベルの成功を収めてきました。これらの傑出した馬は祖父の遺産です」。

 「祖父は多くの偉大な馬を所有しました。凱旋門賞馬は、アレフランス(Allez France)、オールアロング(All Along)、パントルセレブル、サガス(Sagace)の4頭です。祖父はフランスで9回リーディングオーナーとなり、1976年には英国でリーディングオーナーおよびリーディングブリーダーとなりました」。

 「私たちの処分セールは、優良馬を送り出した素晴らしいファミリーを目玉としています。これらの馬の新しい馬主が世界中で幸運に恵まれることを願っています」。

 ダヴィッド氏は、ゴフス社が2013年のポーリン社(Paulyn)処分セールを成功させたことから、同社に処分セールを依頼することになったと述べた。

 そしてこう続けた。「新たな道に進む時は今です。私たちはゴフス社の積極性や信頼性、それに、このような処分セールで達成したこれまでの業績に良い印象を持っていたので、同社を選びました」。

 ゴフス社のCEOヘンリー・ビービ(Henry Beeby)氏はこう語った。「ウィルデンシュタイン家の処分セールには、今年世界中で開催されるどのセリの中でも一番ワクワクするような馬の数々が登場します。そして、弊社がこのセールの担当会社に指名されたことは、大変名誉なことです。このセールは2016年において、世界中のすべての主要なサラブレッド購買者を引き付けることになるでしょう」。

 「このビジネスに携わって34年になりますが、超一流の有名馬主に協力してきました。たとえば、ロバート・サングスター(Robert Sangster)氏、アガ・カーン殿下、カリド・アブドゥラ殿下、マクツーム一族、クールモア牧場、ニアルコス一族(Niarchos family)などですが、それにウィルデンシュタイン家が加わります」。

 ゴフス社オービー1歳セールは9月27日と28日に開催される。カタログは今週発表される。

By Martin Stevens

(関連記事)海外競馬情報 2013年No.12「チキータの落札額、アイルランドの記録を更新(アイルランド)

[Racing Post 2016年8月8日「Goffs to host Wildenstein Stables dispersal」]


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