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海外競馬情報
2017年10月20日  - No.10 - 1

パリ会議:改築中の2競馬場の最新情報が注目される(国際)【開催・運営】


 第51回IFHA(国際競馬統括機関連盟)年次総会(通称:パリ会議)は10月2日、フランスギャロ(France Galop)本部で開催された。今年は、歴史上重要な改築工事を行っているカラ競馬場(アイルランド)とロンシャン競馬場(フランス)の最新情報が注目を集めた。

 ホースレーシングアイルランド(Horse Racing Ireland)のCEOブライアン・カヴァナー(Brian Kavanagh)氏(IFHA副会長)とカラ競馬場のCEOデレク・マクグラス(Derek McGrath)氏は、カラ競馬場の改築工事についての最新情報を伝えた。また、フランスギャロのCEOオリヴィエ・ドロワ(Olivier Delloye)氏とマーケティング担当理事のファブリス・ファヴェット・ボン(Fabrice Favetto Bon)氏は、リニューアル後のロンシャン競馬場についてプレゼンを行った。

 改築後のカラ競馬場では、最高級の企業用施設・レストラン・バー・展望エリアがあるグランドスタンドが特に注目されるだろう。また、受付エリア・パドック・検量室も改築される。

 カヴァナー氏はこう語った。「競馬ファンはカラ競馬場に多くのことを期待しています。彼らを楽しませて引き付けるために、より多くのレース・体験・イベントが必要です」。

 一方、ロンシャン競馬場は完成間近で、2018年4月8日に正式にオープンする予定である。こちらも新しいグランドスタンドが注目されるだろう。顧客の満足度を高めることを意図したこのグランドスタンドは、各階からパドックとコースを見下ろす360度の眺めが楽しめる。また同競馬場はリニューアル後、"パリ・ロンシャン競馬場"に改名される。

 ドロワ氏はこう語った。「ロンシャン競馬場は唯一無二の競馬場です。傑出馬が最高のパフォーマンスを見せてきました。また、それらの馬は血統に長く続く影響を残しています。このリニューアルはフランス競馬に再び活気を取り戻すのに寄与するはずです。パリ・ロンシャン競馬場は、フランスの競馬界と生産界の価値を高めることでしょう」。

 この日の午前中に開催された討論会では以下の内容が話し合われた。

・ 国際馬スポーツ連合(IHSC)と国際獣疫事務局(OIE)の関係についての経過報告[IHSCはIFHAとFEI(国際馬術連盟)で構成される]。

・ 2018年5月にソウルで開催される第37回アジア競馬会議について

・ 認定検査施設戦略(Reference Labs Strategy)の進展・実施についての最新情報

・ 第2回馬アフターケア国際フォーラムの最新情報。IFHA副会長のジム・ギャグリアーノ(Jim Gagliano)氏(米国ジョッキークラブ理事長)が司会を務めた討論会「競走馬のアフターケア」。

 IFHAのルイ・ロマネ(Louis Romanet)会長は認定検査施設戦略のプレゼンにおいて、こう発表した。「IFHA執行協議会は、禁止薬物が検出されて競馬統轄機関が失格とした馬は"ロンジンワールドベストレースホースランキング"の対象とならないという方針を承認しました」。満場一致で承認されたこの方針は次の通りであり、2017年以降に施行されるレースに適用される。

 「競馬と生産および賭事に関する国際協約(International Agreement on Breeding, Racing and Wagering: IABRW)の第6条Eで禁止されている薬物が検出された結果、違反行為があったとして失格となった馬は、その年のランキングから除外される。もし調教師が特別なケース(混入など)でその責任が免除された場合には、この措置の例外となりうる。

 午後は、IFHAの副会長が主導した2つの討論会が注目を浴びた。香港ジョッキークラブ(Hong Kong Jockey Club: HKJC)のCEOウィンフリード・エンゲルブレヒト-ブレスケス(Winfried Engelbrecht-Bresges)氏は"国際戦略:地域からグローバル市場への移行"についての討論会の司会を務めた。一方、カヴァナー氏は"欧州の生産界・競馬産業が直面する課題"についての討論会の司会を務めた。

 1つ目の討論会では、"日本のサイマルキャスト賭事"、"PMU2020戦略"、"HKJCのコミングリング戦略"について話し合われた。2つ目の討論会では、ブレキジット(英国のEU離脱)が欧州内の馬の移動に与える影響について検討が行われた。また、欧州・地中海競馬連盟(EMHF)の取組みについての最新情報が報告された。

 この年次総会は、フランス馬種改良奨励協会により1967年10月9日にパリで初めて開催され、9ヵ国から14人が出席した。1994年からはIFHAがフランスギャロ本部で開催しており、今年の年次総会には、約50ヵ国の競馬界の役員やメディア関係者が多数参加した。

 この年次総会を主導したロマネ会長は、「このような会合の重要性はどれだけ評価してもし足りません。各国は競馬についてそれぞれの見解を持っていますが、世界的規模で競馬を向上させるために、互いに学び合っています」と語った。

 IFHAは世界中のサラブレッド競馬のための国際的組織で、サラブレッド競走を施行する国・地域の60の競馬統轄機関で構成される。

 IFHAの活動の主要分野は以下のとおりである。

  • 競馬と生産および賭事に関する国際協約(IABRW)の作成と修正
  • 馬と騎手の福祉・安全に関する方針策定
  • 国際格付番組企画(ブラックタイプ)
  • ワールドランキング
  • 馬に禁止されている薬物・治療
  • 競走当日のルールの統一
  • 競馬産業の国際的な商業的発展の促進

 IFHAはFEIとともに国際馬スポーツ連合(IHSC)の創立メンバーである。また、国際獣疫事務局(OIE)と提携している。

By Blood-Horse Staff

[bloodhorse.com 2017年10月8日「Upgrading Major Tracks a Focus of IFHA Conference」]


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