フランケル、驚異的な成績で種付料上昇(イギリス)【生産】
フランケル(父ガリレオ)はそのファーストクロップとセカンドクロップが活躍していることで、種牡馬としての出だしは好調である。その2018年の種付料は、17万5,000ポンド(約2,625万円)に引き上げられる。
バンステッドマナー牧場(Banstead Manor Stud)で供用されているフランケルは、これまで2頭のG1優勝馬を送り出している。それは、5月に優駿牝馬(オークス G1)を制したソウルスターリングと、10月に英チャンピオンS(G1)を今シーズン最高のパフォーマンスで制したクラックスマン(Cracksman)である。
フランケル産駒は競走年齢に達してから2年で、43頭が勝利を収め(うち31頭はステークス勝馬)、連対率57%という驚くべき成績を残した。
3歳産駒では、エミネント(Eminent)がギヨームドルナノ賞(G2)、モナークスグレン(Monarchs Glen)がダーレークラブS(G3)を制した。2歳産駒でも、エラーカム(Elarqam)、ネルソン(Nelson)、ロストロポーヴィチ(Rostropovich)が重賞を制している。
バンステッドマナー牧場のサイモン・モクリッジ(Simon Mockridge)場長はこう語った。「フランケルは初年度と2年目の産駒が活躍し、種牡馬として驚異的なスタートを切りました。特に2017年シーズンは、北半球で最も優れた種牡馬の1頭であることを示しました。フランケル産駒の重賞勝馬率は、驚くべきことに12%にもなります。現在までに、2014年生まれの産駒から13頭の重賞勝馬が出ています。北半球でこれに匹敵する数字を出している種牡馬はガリレオだけです」。
「これまで出走したフランケル産駒の4分の1はブラックタイプ競走を制しました。2017年シーズンは、ソウルスターリングの優駿牝馬優勝から始まり、クラックスマンの英チャンピオンSでの驚異的なパフォーマンスで締めくくられました。クラックスマンには今や、欧州最高のレーティングが付けられています」。
このようなレースでの好成績により、欧州のセリでのフランケル産駒の需要は急激に高まった。サックビル・ドナルド(Sackville Donald)氏はタタソールズ社10月1歳セール・ブック1で、英オークス馬タレント(Talent)の半妹であるフランケル牝駒を250万ギニー(約3億9,375万円)で購買した。一方、ジャスティン・カス(Justin Casse)氏はゴフス社オービーセールで、母をベレスタ(Belesta)とするフランケル牡駒を160万ユーロ(約2億1,600万円)で購買した。
バンステッドマナー牧場のもう1頭の若くて有望な種牡馬は、キングマン(Kingman)である。その初年度産駒は2018年にデビューする。G1・4勝馬キングマンの種付料は、4年連続で5万5,000ポンド(約825万円)となる。
モクリッジ場長はこう語った。「優秀なマイラーのキングマンの初年度産駒は、セリでとても好意的に迎えられました。それらの産駒は国際的な顧客を引き付けています。キングマンは種牡馬入りしてから数々の優良牝馬に種付けを行っています。私たちは2018年に2歳となる初年度産駒が活躍することを確信しており、それを見るのを楽しみにしています」。
1歳のキングマン産駒では、ジャストルックドンタッチ(Justlookdontouch)を母とする牝駒が、モイグレアスタッド(Moyglare Stud)により170万ギニー(約2億6,775万円)で購買された。また英ダービー馬ウィングスオブイーグルス(Wings Of Eagles)の半妹は、メリディアンインターナショナル(Meridian International)とデヴィッド・レッドヴァース(David Redvers)氏により75万ユーロ(約1億125万円)で購買された。
もう1頭の2018年に種付料が引き上げられる種牡馬は、ベイティッドブレス(Bated Breath 父ダンシリ)である。同馬の産駒の中では、ベックフォード(Beckford)などが早くから結果を出し、強い印象を与えた。その種付料は1万ポンド(約150万円)に戻される。
モクリッジ場長はこう語った。「種牡馬生活の同じ段階で比較すると、ベイティッドブレスは重賞勝馬数やブラックタイプ勝馬数において、父ダンシリを越える活躍をしています。2017年にはこれまで50頭以上の勝馬を送り出しており、7頭がブラックタイプ勝馬となっています。中でも、優秀な2歳馬であるベックフォード、ランドシャーク(Landshark)、ガヴォタ(Gavota)のパフォーマンスが際立っています」。
ベイティッドブレスの来年の種付料は1万ポンド(約150万円)となるが、その1歳産駒は英国とアイルランドにおいて平均価格4万5,585ギニー(約718万円)で購買され、素晴らしい成功を収めている。さらにゴフス社英国プレミアセールにおいて、ナイトスフィア(Night Sphere)を母とするベイティッドブレス牡駒は、ジョー・フォーリー(Joe Foley)氏により最高価格の27万ポンド(約4,050万円)で落札された。
バンステッドマナー牧場の熟練種牡馬ダンシリは引き続き、同牧場で2番目に高い種付料6万5,000ポンド(約975万円)で供用される。一方、オアシスドリーム(Oasis Dream)の種付料は3万ポンド(約450万円)に引き下げられる。
モクリッジ場長はこう付言した。「ダンシリは血統書に強い影響を持つ優れた種牡馬の1頭であり続けています。同馬は2歳のG1優勝馬、英1000ギニー勝馬、凱旋門賞馬、2頭のブリーダーズカップ勝馬を送り出しています。また、ロイヤルアスコット開催で3回もリーディングサイアーに輝きました。2018年は種付頭数を制限しますが、その種付料は6万5,000ポンドです」。
「オアシスドリームはグリーンデザート(Green Desert)のサイアーラインを引き継ぐ種牡馬の中で、最も多くのG1優勝馬、重賞勝馬、ブラックタイプ勝馬を送り出しています。しかし、種牡馬市場は競争が激しいので、2018年の種付料を3万ポンド(約450万円)に設定しました。最高レベルの実績が証明された種牡馬なので、素晴らしい産駒を送り出すことを確信しています」。
By James Thomas
(1ポンド=約150円、1ユーロ=約135円)
[Racing Post 2017年10月31日「Frankel's phenomenal start boosts covering fee to £175,000」]