仔馬の誕生30日以内の出生通知を義務化(イギリス)【生産】
英国の生産者は2018年1月1日から、仔馬の誕生の通知に関しての大きな方針転換に直面する。この方針転換は、競走させるために生産された馬の所在の透明性を求めるBHA(英国競馬統轄機構)の新しいポリシーの下で行われる。
方針転換により、生産者は競走させるために生産した仔馬の誕生を、出生後30日以内にウェザビーズ社(Weatherbys)のジェネラルスタッドブック(英国とアイルランドのサラブレッド血統書)に通知しなければならない。
しかしこの通知作業は、パスポートを発行するためやマイクロチップを埋め込むために要求される血統登録とは別のものである。血統登録に関するルールの変更はない。
競走のために生産された仔馬が調教場に入る前の居場所について、より高い透明性と情報を提供するために、この新しい方針が取られることになった。英国はこの措置により、他の多くの主要競馬国と足並みを揃えることなる。
BHAの最高規制責任者であるジェイミー・スティア(Jamie Stier)氏はこう語った。「得られた情報は、生産者と馬主が育成段階において馬に対して行っている医療行為についての透明性とトレーサビリティ(追跡可能性)を高めるでしょう。これは、競馬産業が高い動物福祉水準を維持するためにとても重要な意味を持ちます」。
「そして、競馬産業と生産界の両方において説明責任を向上させ、BHAが今や競走生活だけでなく育成段階にも及ぶことになる競走馬の福祉において義務を果たす一助となるでしょう」。
生産者と馬主は、2018年1月22日に運用開始となるウェザビーズ社のジェネラルスタッドブックのオンラインシステムを通じて、出生通知を行うことになる。同システムではプロセスが異なる血統登録も同時に行うことができ、2回登録する手間を省くことができる。
30日以内に出生通知が行われれば料金は発生しないが、30日を過ぎた場合は累進的な料金体系が適用される。
出生通知の義務化は、英国競馬界・生産界がこれに関連するEU法を熟考する意図を持っていることを示している。このEU法は、英国がEUを離脱した後のEUとの取引関係を確立し、馬の自由な移動を可能にするために、重要であることが判明するだろう。
サラブレッド生産者協会(Thoroughbred Breeders Association: TBA)のジュリアン・リッチモンド-ワトソン(Julian Richmond-Watson)会長はこう語った。「馬の一生のあらゆる段階での適時のトレーサビリティを保証するので、TBAは30日以内の出生通知の導入を支持しています」。
「出生通知の義務化は、英国がEU加盟国の中でも馬のトレーサビリティにおいて最高水準であることを確かにし、欧州内でのサラブレッドの自由移動を継続させようとする私たちの取組みに役立ちます」。
「また、高い福祉水準を目指す生産者の献身ぶりも明らかにするでしょう。トレーサビリティを実現するこの有効なシステムは、感染症に対処するときや、英国のサラブレッドを良好な健康状態に保つうえで役立ちます」。
「TBAはこの重要な新制度の実施にあたり、BHAと長期間にわたり広範な協議を重ねてきました。その理由は、この制度をバランスが取れたものにするとともに、生産者に管理上および規制上の負担をあまり掛けず、さらには無料にするためです」。
ウェザビーズ社のコミュニケーション担当理事であるニック・クレイヴン(Nick Craven)氏はこう付言した。「ウェザビーズ社は早期の出生通知の重要性を十分理解しており、最近開発したオンライン血統登録システムを、出生通知に適応させるために強化しました」。
「今年、英国で生まれた仔馬の75%以上がオンラインで血統登録されました。出生通知は、生産者がすでにうまく利用しているオンライン基盤を使ってスムーズに行われるでしょう。もちろん、弊社の血統書チームはいつでも生産者の手助けを行いますし、彼らが抱く質問に答えます」。
By James Thomas
[Racing Post 2017年11月30日「BHA targets transparency on horse welfare with major new policy」]