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2017年02月20日  - No.2 - 2

ヨーロッパ・パターン競走委員会、長距離レースを強化(欧州)【開催・運営】


 2月1日、ヨーロッパ・パターン競走委員会(European Pattern Committee:EPC)は2017年欧州競馬番組の変更点を発表した。ステイヤー向けのレースを強化する計画の一環として、14ハロン(約2800m)のグッドウッドカップ(8月1日 グッドウッド競馬場)はG1に昇格した。

 EPCのブライアン・カヴァナー(Brian Kavanagh)会長は声明においてこう述べた。「世界の他のどの競馬施行団体もステイヤー路線を確立しておらず、完全にそれを諦めてしまった競馬施行団体もあるようです。欧州の競馬番組には重要な長距離レースがありますが、ロイヤルアスコット開催(6月)と凱旋門賞開催(10月)の間に施行される14 ½ハロン(約2900m)以上のレースにはG1格付けがされていません。欧州で夏に長距離のG1が施行されるのは理に適っているということで、私たちは合意しました。歴史あるグッドウッドカップは今年ちょうどその時期に開催されるので、明らかにその対象になると思われました」。

 同会長はこう続けた。「また、ステイヤー向けのレースは全体的に、つながりを持たせる必要があることについても合意しました。私たちはこれまで、他の様々な調整を行ってレースの充実に取り組んできました」。

 また、2017年の変更点の中で、クイーンズヴァーズS(ロイヤルアスコット開催)はG2に昇格するだけではなく、その競走距離が16ハロン(約3200m)から14ハロン(約2800m)に短縮された。

 カヴァナー会長はこう語った。「EPCは数年前、クイーンズヴァーズをG3に降格させました。このレースはステイヤーにとって大切な役割を果たしていますが、基本原則の下、自動的に降格が要求されました。それは私たち全員にとって腑に落ちない結果でしたが、若いステイヤーをもっと活躍させる必要性に私たちの注意を向かせました。クイーンズヴァーズの距離短縮は、より多くのステイヤー素質がある若馬を引き付ける一助となるはずです」。

 1月23日のEPCの会合では以下の変更も決定された。

G3→G2

(独) 5月14日  オレアンダー-レンネンS(ホッペガルテン競馬場 4歳以上 3200m)

リステッド→G3

(愛) 9月24日  ローブラウンS(カラ競馬場 3歳以上 約3200m)

(愛)10月28日  エアフィールドS(レパーズタウン競馬場 2歳 約1800m)

新設リステッド

(愛)5月20日  (レース名未定)(ナヴァン競馬場 3歳 約2600m)

(独)4月 6日  (レース名未定)(開催場未定 4歳以上 2800m)

(独)8月13日  (レース名未定)(開催場未定 4歳以上 2800m)


 これらの昇格あるいはレースの新設は、欧州で優良ステイヤーを生産・所有・管理することを奨励するEPCの長期計画を支援する。英国・アイルランド・フランスの代表者で構成される小委員会がこの取組みを主導し、2016年に多くの会合を開いてきた。今年もその取組みは続行され、とりわけ牝馬に重点を置いた長距離レースのさらなる強化を目標としている。

 また、EPCは降格に猶予期間を設けることで、既存の長距離レースを保護する対策を講じた。欧州の13ハロン(約2600m)以上の重賞競走は、(自発的でないかぎり)2022年まで降格させられることはない。これらのレースは5年の猶予期間を経たのちに、格付け評価のために見直される予定である。

 さらに、EPCは長距離G1レースの賞金額引上げを可能な限り進めようとしている。グッドウッドカップの総賞金は30万ポンド(約4,200万円)から50万ポンド(約7,000万円)に引き上げられ、愛セントレジャー(G1)の総賞金は40万ユーロ(約4,800万円)から50万ユーロ(約6,000万円)に引き上げられる。欧州のすべての長距離G1競走の総賞金ができるだけ早く50万ユーロ(約6,000万円)に到達することを目標としている。

 EPCは他に、重賞・リステッド競走3レースの昇格、リステッド4レースの新設を承認した。それは以下のとおりである。

G3→G2

(愛) 5月 1日  ムーアズブリッジS(ネース競馬場 4歳以上 約2000m)

リステッド→G3

(愛) 4月 9日  アレッジドS(ネース競馬場 4歳以上 約2000m)

(英)9月 29日 プリンセスロイヤルS(ニューマーケット競馬場 牝3歳以上 約2400m)

新設リステッド

(愛) 5月14日  (レース名未定)(カラ競馬場 3歳以上 約1000m)

(英) 6月 3日  (レース名未定)(マッセルバラ競馬場 牝3歳以上 約1400m)

(英) 9月22日  (レース名未定)(エア競馬場 牝3歳以上 約1100m)

(愛)10月 8日  (レース名未定)(ナヴァン競馬場 2歳 約1100m)


 一方、以下の重賞4レースとリステッド6レースは降格となった。これにはイタリアのG1競走3レースが含まれる。

G1→G2

(伊) 9月 24日  ヴィットリオディカプア賞(サンシロ競馬場 3歳以上 1600m)

(伊)10月 15日  ジョッキークラブ大賞(サンシロ競馬場 3歳以上 2400m)

(伊)11月 5日  ローマ賞(カパネッレ競馬場 3歳以上 2000m)

G3→リステッド

(伊)11月 12日  チウスラ賞(サンシロ競馬場 2歳以上 1400m)

リステッド→ステータスなし

(英) 6月 2日  ウッドコートS(エプソム競馬場 2歳 約1200m)

(仏)7月 15日  リオンダンジェ大賞(リオンダンジェ競馬場 3歳 2000m)

(独)7月 15日  ザクセン賞(ドレスデン競馬場 3歳以上 1900m)

(独)10月 15日  ジルベルネスバント(ケルン競馬場 3歳以上 3850m)

(西)8月 20日  ゴビエルノバスコ(サンセバスチャン競馬場 3歳以上 1600m)

(西)10月 12日  イスパニダード大賞(サルスエラ競馬場 3歳以上 1600m)


 カヴァナー会長は、イタリア競馬について言及し、"残念なことに負のスパイラルに陥っている"と述べた。

 同会長はこう語った。「私たちは、他の欧州諸国がどのようにイタリア競馬に協力できるか、あるいは助言できるかを確認するために、イタリアの所管省庁と会合を持つつもりです。イタリアが競馬と生産に関して長い豊かな歴史を持っていることは明らかであり、4年間でG1競走が7レースから1レースに減ってしまったのは大変悲しいことです。将来この状況が好転し、イタリアができるだけ早く90日の賞金支払期限を順守してくれることを切に望んでいます」。

By Blood-Horse Staff

(1ポンド=約140円、1ユーロ=約120円)

[bloodhose.com 2017年2月1日「Europe Focused on Growth, Promotion of Staying Races」]


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