競馬賭事衰退を止めるためのイノベーション(イギリス)【開催・運営】
レースのタイムやデータを提供するトータル・パフォーマンス・データ社(Total Performance Data: TPD)のCEOウィル・ダフ・ゴードン(Will Duff Gordon)氏は、「競馬賭事のシェアの衰退を食い止めるためにはその提供方法のイノベーション(技術革新)が必要です。我々の商品はそれをもたらすと確信しています」と語った。
エイモン・ウィルモット(Eamonn Wilmott)氏(BHA理事会メンバー)が会長を務めるTPDは、GPS技術を駆使してハロンタイムやレース中の位置取りなどの情報を提供している。
TPDはすでに、オールウェザーチャンピオンシップのハロンタイムを提供している。また、パレルモ競馬場(アルゼンチン・ブエノスアイレス)にハロンタイムとレース中のタイムデータを提供する契約を締結したと、1月中旬に発表している。
以前馬主協会(Racehorse Owners Association)の評議員を務めていたダフ・ゴードン氏は、この商品は競馬賭事の成長に一役買うだろうと述べた。
そしてこう続けた。「ブックメーカーが、賭事客への競馬映像の提供方法を改善するために実施した最近の大きなイノベーションは動画ストリーミングですが、今やそれは10年前の古びた技術として語られています」。
「私たちは、ブックメーカーが競馬賭事事業を強化してその利益を高められる商品の提供を目指しています。この商品により、ブックメーカーは2つのことができるようになります」。
「まず、レース中の時速・ゴールまでの距離・最速ハロンタイムがすべてライブで表示される動画を見せることにより、競馬ファンにアピールできるでしょう」。
「第二に、ブックメーカーは発走後オッズが提供できます。賭事客はレース発走後、オッズが変動している最中に、まさにレースを見ながら賭けることができます」。
ダフ・ゴードン氏は、この商品は"すべての成長の源"であるモバイル端末で使えるように開発されたと語った。
そして、「この2つの強化策は、ブックメーカーがスポーツ賭事における競馬賭事のシェアの衰退を食い止めるための一助となると、私たちは考えています。競馬賭事は、サッカー賭事やゲーム賭事などに押され気味です」と付言した。
ダフ・ゴードン氏は、ブックメーカーは発走後賭事に興味を示してきたと述べ、次のように語った。「現在、発走後賭事を提供しているのはベットフェア社(Betfair)だけです。他のブックメーカーはそれができないので、いつその準備を完了し、どのブックメーカーが最もうまく発走後賭事を提供できるようになるかが問題です。私たちは今や、ライブで賭事を提供できるようにします。それに極めて近いことを実現できる商品があります」。
ダフ・ゴードン氏は、スカイベット社(Sky Bet)のCEOリチャード・フリント(Richard Flint)氏が昨年12月にジムクラックディナーで行ったスピーチについて言及した。フリント氏は「我が社のサッカー賭事の売上げは競馬賭事の4倍にもなります」と述べていた。
ダフ・ゴードン氏はこう付言した。「競馬は、ブックメーカーの店舗で賭事客にアピールし続けるのに非常に苦心しています」。
「私たちは、競馬賭事は本当にエキサイティングで興味深く、サッカーと同じように競技中も賭事ができるので、やってみましょうと呼び掛けなければなりません」。
By Bill Barber
[Racing Post 2017年1月24日「Innovation needed to enhance racing and halt relative decline」]