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2017年03月20日  - No.3 - 1

南米競馬を発展させるための取組み(南アメリカ)【開催・運営】


 3月5日にバルパライソ競馬場(チリ・ビニャデルマル)で施行されるラテンアメリカ大賞(G1)は、南米で最も注目を集めるレースである。芝1½マイル(約2400m)で競われる総賞金50万ドル(約5,750万円)のこの競走は、南米大陸の最高レベルの馬が世界ランキング入りする際の基準となることが期待されている。

 これは、南米競馬機構(Organización Latinoamericana de Fomento del Pura Sangre de Carrera:OSAF)が掲げる目標の1つである。OSAFは、南米大陸の競馬の国際化を促進しながら、その水準を向上させることを目的に設立された。そして、ラテンアメリカ大賞を高額賞金レースとして施行している。

 OSAFはスポンサーであるロンジン社およびIFHA(国際競馬統括機関連盟)と共に取り組むことで、この数年間で南米競馬の国際的な立場を著しく変化させることができている。

 IFHAのルイ・ロマネ(Louis Romanet)会長は、ジャドモントファームのアロゲート(Arrogate)が首位に立った『2016年度ロンジンワールドベストレースホースランキング』に、これまでで最多の23頭の南米産馬がランクインしたことを報告した。中でも、シックスティーズソング(Sixties Song アルゼンチン産)は最高レーティングの南米産馬となった。同馬(父シックスティーズアイコン、母Blissful Song、母父アンブライドルズソング)は、12月のカルロスペレグリーニ大賞(G1)の優勝馬で2代父がガリレオであり、ラテンアメリカ大賞の上位人気馬の1頭である。そこで優勝すればアスコット競馬場から与えられる出走権を利用し、このレースの優勝馬として初めてキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)に出走するかもしれない。

 バルパライソ競馬場のオーナーであるカルロ・ロッシ・ソフィア(Carlo Rossi Soffia)氏は、数日前にOSAFの理事長に再選されたばかりである。理事会メンバーには、チリのサンティアゴホースクラブ(Club Hípico de Santiago)のオーナーで、ドンアルベルト社(Don Alberto Corp.)を所有するカルロス・エレル・ソラリ(Carlos Heller Solari)氏がいる。ドンアルベルト社はケンタッキー州のヴァイナリー牧場(Vinery Farm)を購買し、3歳のスター牝馬ユニークベラ(Unique Bella)を所有している。

 ソラリ氏はこう語った。「OSAFの目標は、南米におけるサラブレッド競走を向上させ、南米競馬の発展に尽力し、薬物規制について取り組むことです。ここでは、2歳戦や重賞競走での薬物使用を禁止しました」。

 ただし重賞以外のレースや3歳上戦では、ラシックス(降圧利尿剤フロセミドの製剤名)とビュート(非ステロイド抗炎症剤フェニルブタゾンの別名)の使用が認められている。

 ウルグアイの記者であるエクトル・ガルシア(Hector Garcia)氏は、「南米においてはチリとアルゼンチンで最も質の高い競馬が施行されていると評価されがちです。しかし、ウルグアイの競馬もペルーやブラジルと同様に発展しつつあります」と述べた。

 ラテンアメリカ大賞について、ガルシア氏は出走馬の中でもチリダービー(G1)の1着馬フルオブラック(Full Of Luck チリ産)と2着馬ティンク(Tinkuチリ産)を地の利があることから有力と見ており、ウルグアイのG1優勝馬ガンディディジョブ(Gandhi Di Jobブラジル産)にも分があるとしている。

 南米のスター馬の中では高額賞金を求めて北半球に拠点を移す馬もいる。中でもすぐに思い出されるのは、インヴァソール(Invasor アルゼンチン産 2006年BCクラシック&2007年ドバイワールドカップ優勝馬)とキャンディライド(Candy Ride アルゼンチン産)である。

 OSAFの長期的な目標は、ラテンアメリカ大賞のようなレースに出走するために、南米に世界中の有力馬が遠征してくることである。1981年から施行されているラテンアメリカ大賞は、アルゼンチン・ブラジル・チリ・ペルー・ウルグアイの中で持ち回りで開催されている。同レースは来年、ウルグアイのマローニャス競馬場で開催される予定である。

ラテンアメリカ大賞はシックスティーズソングが優勝

 シックスティーズソングは2着馬に大差をつけてラテンアメリカ大賞を制覇した。アルフレッド・ガイタン・ダシー(Alfred Gaitan Dassie)調教師が管理する同馬には、ホアン・ビラグラ(Juan Villagra)騎手が騎乗し、勝ち時計は2分24秒88であった。

 シャトル種牡馬ルッキングアットラッキー(Looking At Lucky)の産駒フルオブラックは2位で入線したが、最後の直線で走行妨害があったとして3着に降着となり、同じくルッキングアットラッキー産駒であるティンクが2着となった。

 シックスティーズソングは、アルゼンチン最大のサラブレッド事業体であるフアン・カルロス・バゴ(Juan Carlos Bago)氏のフィルマメント牧場(Firmamento)で生産された。バゴ氏はこの牧場を40年前に設立し、南米大陸のトップクラスの競走馬を生産・育成してきた。また、同牧場はシャンハイボビー(Shanghai Bobby)、ハーランズホリデー(Harlan's Holiday)、シックスティーズアイコンなど、多くの北半球の種牡馬を供用してきた。

By Evan Hammonds

(1ドル=約115円)

[bloodhorse.com 2017年3月5日「OSAF Raising South America's Profile」、「Sixties Song Strikes in Latino Americano」]


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