改修中のカラ競馬場での愛ダービー開催に対する不満(アイルランド)【開催・運営】
一流トレーナーのジム・ボルジャー(Jim Bolger)調教師とガー・ライアンズ(Ger Lyons)調教師は、ホースレーシングアイルランド(Horse Racing Ireland: HRI)とカラ競馬場が行った決定を非難した。その決定とは、2017年と2018年の愛ダービー(G1)を6,000人しか入場できないカラ競馬場で開催するというものである。
2016年愛ダービーの入場者数は1万8,000人以上となったが、2年を要する総工費6,500万ユーロ(約78億円)の改修工事が今まさに開始されようとしている。9月の愛チャンピオンズウィークエンドも入場者は6,000人に限定される予定。
HRIのCEOブライアン・カヴァナー(Brian Kavanagh)氏は、カラ競馬場で競馬を継続する決定についてこう説明した。「アイルランドにはカラ競馬場に代わる理想的な競馬場がなく、選択肢はありません」。
しかし、ボルジャー調教師とライアンズ調教師は、一時的に開催場を代えて施行する方が良いと考えている。
ボルジャー調教師はこう語った。「今シーズンもカラ競馬場で愛ダービーを施行するという決定に、賛成とは言えません」。
「とにかく、今年は開催場を代えて施行する方が良いというのが私の考えです。私はこの決定を変えることはできませんが、レパーズタウン競馬場かネネース競馬場に愛ダービーを移す方が望ましいと思います」。
「カラ競馬場では入場者数が限定されますが、レパーズタウン競馬場はより多くの観客を迎えることができ、愛ダービーにとって理想的な開催場となるでしょう」。
改修工事を進めるために、カラ競馬場の今シーズンの競馬開催期間は短縮され、5月中旬から9月中旬までとなる。工事期間中は競馬開催のために仮設施設が設置される予定である。
ボルジャー調教師は、開催場の一時的な変更にもかかわらず成功を収めたビッグレースの模範例として、昨年シャンティイ競馬場で施行された凱旋門賞(G1)を引き合いに出し、こう語った(今年も凱旋門賞はシャンティイで施行予定)。
「現地で凱旋門賞を見ましたが、フランスでは大成功を収めたと思いました。ロンシャン競馬場でなかったにもかかわらず、うまく運営され、大勢の観客を引き付けました」。
「アイルランドでも、同様のことができないわけがありません。カラで愛ダービーを開催する決定が下されましたが、賛成はしていません」。
カヴァナー氏は、レパーズタウン競馬場でも問題なく愛ダービーを施行できると断言しながらも、質の高い前座レースを施行できないことが大きなネックとなったと語った。
そしてこう続けた。「この決定は慎重に下されました。他場ではいくつかの競馬番組をこれまでどおり施行できないので、カラ競馬場でレースを継続する利点は工事中のために生じる不便に勝ります」。
「愛ダービーは150年以上カラ競馬場で施行されているという伝統的側面もあります。カラ競馬場は世界最高の競馬場の1つであると広く見なされています」。
「どちらの方法を検討するにしても障害はあるでしょうが、私たちは工事期間中もカラ競馬場で競馬を施行し続けることがベストであると考えました」。
ライアンズ調教師は、ロンシャンのように改修工事中はカラ競馬場での競馬を中断すべきであると考えている一方、ネースやナヴァンのような競馬場は過小評価されており十分に活用されていないと述べている。
同調教師はこう語った。「カラ競馬場を1年間閉めて、継続的に工事を行うべきです」。
「レパーズタウン競馬場のコーナーを回る愛ダービーは施行したくないのかもしれませんが、1年限りのことであり、カラ競馬場を閉鎖して工事に集中すべきでしょう」。
「愛ダービーウィークエンドや愛チャンピオンズウィークエンドで、私たちは素晴らしいレースを繰り広げようとしています。入場者数を限定することは良い方法だとは思えません。愛ダービーは他の競馬場で施行すべきであり、ナヴァン、ネース、レパーズタウンのような競馬場は理想的な開催場となるでしょう」。
ライアンズ調教師はこう付言した。「カラ競馬場は今の栄光に満足しており、毎年トップクラスのレースが割り当てられています。他の競馬場ほど大きな努力をする必要がありません。しかし、アイルランドには、この万能なカラ競馬場以外にも競馬場があります」。
By Brian Sheerin
[Racing Post 2017年2月21日「Leading trainers want Irish Derby venue switch]