BHA、競技外検査と保存サンプル分析を大幅増加(イギリス)【獣医・診療】
BHA(英国競馬統轄機構)は、過去に遡るサンプル検査と調教中の馬への競技外検査(out-of-competition drug test)を増加させることで、進歩した禁止薬物使用方法を完全に掌握する取組みを一段と進めようとしている。
通知なしで厩舎を訪れて行う競技外検査の実施件数は、2017年は1,400件に増加する予定である(2015年は700件)。
さらにBHAは、新しい競走能力向上薬物の開発について情報を得た場合、保存サンプルに対して追加的な分析を実施する。
BHAのメディア担当理事であるロビン・マウンジー(Robin Mounsey)氏はこう語った。「BHAは競馬施行規程の中に、過去に遡って検査を実施するためにサンプルを保存しておくルールを定めています。これは、禁止薬物使用に対する抑止力として、また出走馬が公平な条件で競走する権利を守り、馬の健康と福祉を確かなものにするために、BHAが用いているアプローチです」。
「BHAは禁止薬物を検出するために、引き続き調査を実施して新技術を開発します。これらの新技術を最大限に活用し、サンプルを収集した時点では検出が不可能あるいは困難だった禁止薬物の使用を阻止するために、BHAはサンプルを時々保存して再検査しています」。
「このアプローチは、今後一層頻繁に用いられるでしょう。我々のサンプリングの方法は全体的に一貫しており、サンプルはリスクや情報に基づいて、あるいは無作為に保存されています」。
全国調教師連合会(National Trainers Federation:NTF)によれば、主要な競馬開催に先立ち、多くの競技外検査が実施されている。検査員は通知なしで厩舎を訪問するが、調教師たちはこのような検査を受け入れている。
NTFのCEOであるルパート・アーノルド(Rupert Arnold)氏は、「追加的な薬物検査が調教師たちの懸念となるとは考えていません。競技外検査は、すべてのレースが公平な条件で競われることを確実にすることで、調教師たちを保護します」と語った。
そして、「競技外検査の実施は厩舎に実際的な影響を与えますが、大半の調教師はこれを受け入れています。なぜなら彼らは、競走の公正性を確保することは、人々の競馬に対する信頼を得る上で必須であり、そのためにしっかりとした検査方法が不可欠であると理解しているからです」と付言した。
By Jon Lees
[Racing Post 2017年3月22日「BHA to step up efforts with more testing of samples」]