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2017年04月20日  - No.4 - 4

2017年ドバイワールドカップデーのG1優勝馬の血統背景(国際)【生産】


ドバイワールドカップ(G1 2000m ダート)

優勝馬:アロゲート(Arrogate)

 3月25日のドバイワールドカップ(メイダン競馬場)において、ゲートで大きく出遅れたにもかかわらず、アロゲート(4歳 父アンブライドルズソング)はその戦績に新たな1勝を加えるために、道中常に幸運を拾おうとしていた。

 マイク・スミス(Mike Smith)は最終コーナーに差し掛かったときに、アロゲートを戦う気にさせるために軽く叩き、ガンランナー(Gun Runner 父キャンディライド)とネオリシック(Neolithic 父ハーランズホリデー)をかわして最終段階でリードを奪った。

 クリアスカイファーム(Clearsky Farms)が生産したアロゲートは、G3・3着馬バブラー(Bubbler 父ディストーテッドヒューマー)を母とし、最優秀2歳牝馬メドウスター(Meadow Star)を3代母とする。

 1歳のときに2014年キーンランド9月セールに上場されたアロゲートは、ジャドモントファームにより56万ドル(約6,160万円)で落札された。

 父アンブライドルズソングは、2013年に死ぬまでの13年間、ケンタッキー州のテイラーメイドファーム(Taylor Made Farm)で供用されていた。これまでに22頭のG1馬を送り出しているが、現在のところペガサスワールドカップ(G1)、BCクラシック(G1)、トラヴァースS(G1)も制したアロゲートが最も高額の賞金を稼いでいる。

ドバイシーマクラシック(G1 2410m 芝)

優勝馬:ジャックホブス(Jack Hobbs)

 ジャックホブズ(5歳 父ホーリング)は、ドバイシーマクラシックで6頭のライバル馬を下し、2着馬セブンスヘブン(Seventh Heaven)に2¼馬身差をつけて、再び頂点に立った。

 ジャックホブスはいささか不完全燃焼のキャリアにおいて、今や通算10戦5勝を果たしている。デビューから2連勝したものの、2015年のダンテS(G1)と英ダービー(G1)で、傑出した才能をもつゴールデンホーン(Golden Horn)の後塵を拝し、両レースとも2着に敗れた。その後、同年の愛ダービー(G1)で5馬身差の勝利を収めてG1初勝利を果たし、再び勝利の道を歩み始めた。

 ウィリー・カーソン(Willie Carson)氏のミンスタースタッド(Minster Stud)が生産したジャックホブスは、勝馬スウェインズゴールド(Swain's Gold 16歳 父スウェイン)を母とし、G3・3着内馬ナイスオブユートゥテルミー(Niceofyoutotellme)の半弟である。 また、メイヒルS(G2)優勝馬ポルネーター(Pollenator)やファースオブクライドS (G3)2着馬ローズブライド(Rosebride)と同じく、3代母をゴールデンブルーム(Golden Bloom)とする。

 母スウェインズゴールドは、2014年にメイソン牡駒、2015年にセポイ牝駒を出産しており、それらの仔はまだ競走年齢に達していない。同馬は2017年、英ダービーでジャックホブスを負かしたゴールデンホーンと交配する予定である。

 ジャックホブスは、2013年タタソールズ社10月1歳セール・ブック2においてブランドフォードブラッドストック社(Blandford Bloodstock)により6万ギニー(約882万円)で購買された。その後、2015年5月にゴドルフィンがプライベート取引で購買する前は、ジョン・ゴスデン(John Gosden)調教師の妻レイチェル・フード(Rachel Hood)氏の勝負服でデビューした。

 2016年2月に25歳で死んだ父ホーリング(Halling)は、長距離で活躍したキャヴァルリーマン(Cavalryman)やガネー賞(G1)優勝馬カトラスベイ(Cutlass Bay)など4頭のG1馬を送り出している。

アルクオーツスプリント(G1 1000m 芝)

優勝馬:ザライトマン(The Right Man)

 アルクオーツスプリントの写真判定で優勝馬に確定したザライトマン(せん馬5歳)は、ロペデヴェガ(Lope De Vega)の3頭目のG1優勝産駒となった。2着はロングオンバリュー(Long On Value 父バリュープラス)、3着はエルティジャール(Ertijaal せん馬 父オアシスドリーム)であった。

 ザライトマンはスプリントG1を制したが、中距離で活躍するのに不足のない血統である。父ロペデヴェガが仏クラシック競走を2勝しているだけではない。母である勝馬スリーオウルズ(Three Owls 父ウォーニング)は、ステイヤーのスティーヴロジャーズ(Steve Rogers)や、ブラックタイプ勝馬のスリームーンズ(Three Moons)とブラックベルベット(Black Velvet)を送り出している。

 スリーオウルズの11頭の出走産駒のうち、ザライトマンを含む6頭が勝馬である。ザライトマンは1歳のとき2013年アルカナ社10月セールに上場され、3万2,000ユーロ(約368万円)で購買された。

 ザライトマンの他にG1優勝を果たしたロペデヴェガ産駒は、デューハーストS(G1)とロッキンジS(G1)を制したベラルド(Belardo)、2016年サンタラリー賞(G1 ドーヴィル競馬場)を制したジェマイエル(Jemayel)である。ロペデヴェガ(父シャマルダル)は今年、バリーリンチスタッド(Ballylinch Stud)で自己最高の種付料5万ユーロ(約575万円)で供用されている。

ドバイターフ(G1 1800m 芝)

優勝馬:ヴィブロス

 ヴィブロスはエシェム(Heshem 父フットステップスインザサンド)とリブチェスター(Ribchester 父イフラージ)を下し、リアルスティールに続いてドバイターフを制した2頭目のディープインパクト産駒となった。

 ノーザンファームが生産したこの4歳牝馬は、東京競馬場のヴィクトリアマイル(G1)を2勝したヴィルシーナの全妹であり、ジャパンカップ(G1)と天皇賞(春)(G1)でキタサンブラックの3着となったシュヴァルグラン(父ハーツクライ)の半妹である。

 母ハルーワスウィート(父マキャベリアン)の牝系は、これまでディープインパクトとの組合せで良い結果を残してきた。また同馬は、G3勝馬フレールジャック(父ディープインパクト)とフランスで種牡馬入りしたマーティンボロ(父ディープインパクト)の半姉でもある。

 ヴィブロスはディープインパクトの29頭目のG1優勝産駒である。ディープインパクトは2014年にドバイシーマクラシックを制したジェンティルドンナも送り出している。

 15歳のディープインパクト(父サンデーサイレンス)は、社台スタリオンステーションで供用10年目を迎えており、その種付料は3,000万円である。

ドバイゴールデンシャヒーン(G1 1200m ダート)

優勝馬:マインドユアビスケッツ(Mind Your Biscuits)

 米国のチャド・サマーズ(Chad Summers)調教師に管理されているマインドユアビスケッツ(4歳 父ポッセ)は、ジョエル・ロザリオ(Joel Rosario)騎手を背にドバイゴールデンシャヒーンで優勝し、G1・2勝目を挙げた。

 栗毛のマインドユアビスケッツは、まだロバート・N・ファルコン(Robert N Falcone Jr)調教師に管理されていた昨年12月後半に、マリブS(G1 サンタアニタパーク競馬場)を制して、G1初勝利を果たした。

 2014年キーンランド1月セールにおいて、マクマーホールファーム(Machmer Hall Farm)により4万7,000ドル(約517万円)で購買されたマインドユアビスケッツは、カナダ最優秀3歳牝馬のキムチ(Kimchi)の半妹である未出走馬ジャズマン(Jazzmane 父トセット)の第3仔である。

 17歳のポッセ(Posse 父シルヴァーデピュティ)は、2004年にケンタッキー州のヴァイナリー牧場(Vinery)で種牡馬入りし、最近では2016年の北半球繁殖シーズンにニューヨーク州のロックリッジスタッド(Rockridge Stud)において種付料5,000ドル(約55万円)で供用されていた。

 ポッセは南半球繁殖シーズンにウルグアイのラペッティ牧場(Haras Rapetti)にシャトルされており、2016年後半には今後ずっと南半球で供用される契約が締結された。

 現役時代に優秀なダート馬だったポッセは、BCダートマイル(G1)優勝馬カレブズポッセ(Caleb's Posse)やG1・3勝馬コディアックカウボーイ(Kodiak Kowboy)などの優良産駒を出している。

By Ollie O'Donoghue and James Thomas

(1ドル=約110円、1ポンド=約140円、1ユーロ=約115円)

[Racing Post 2017年3月25日「Delve into the pedigrees of the winners from Saturday's big meeting」]


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