賦課金制度の新しい時代の幕開け(イギリス)【開催・運営】
すべての賭事販売チャンネルから賦課金を徴収する新しい制度が4月25日に発効した。英国競馬界のリーダーたちは、これによって競馬界に新しい時代が訪れるとして、大歓迎している。
政府は4月24日夕、トレイシー・クラウチ(Tracey Crouch)スポーツ大臣が、今後オンライン賭事も対象とする新しい賦課金制度を制定する命令に署名したことを発表した。これにより、英国競馬界における中心的な財政収入制度を改革するための長年の探求が終了する。
競馬界の賦課金収入は、オンライン賭事が急増した結果、この10年間で年間約1億ポンド(約145億円)から5,000万ポンド(約72億5,000万円)以下に減少している。
BHA(英国競馬統轄機構)のニック・ラスト(Nick Rust)氏は4月24日夜、「今日は英国競馬界にとって非常に重要な日です。新しい賦課金制度は今後、競馬の長期的な健全性と成長を確かなものにするために大きく貢献することでしょう」と語った。
そしてこう続けた。「この件について、まだ取り組むべきことは多くありますが、賦課金制度を新しい制度に転換したこと自体大きな成果です。クラウチ下院議員と文化・メディア・スポーツ省の献身的なチームが示した決意とリーダーシップなしでは、成し遂げられなかったでしょう」。
ラスト氏は、賦課金制度の改革のために尽力したBHA会長のスティーヴ・ハーマン(Steve Harman)氏と競馬界全体の人々に感謝した。
そして、「英国競馬界は、競馬が質の高い魅力的な賭事商品としてその地位を高めるために、賭事産業とともに前進することを強く望んでいます」と付言した。
新しい賦課金制度の下、これまで海外を拠点としていたために賦課金が課されていなかったオンライン賭事業者は、今後英国競馬を対象とした賭事収入から英国競馬界の財政に貢献しなければならない。
賭事業者は英国競馬を対象として50万ポンド(約7,250万円)以上の賭事を受け付けた場合、その粗利益の10%を支払わなければならない。
競馬界のリーダーたちは、海外に拠点を置く賭事業者のためにできてしまった収入の抜け穴のために、年間3,000万~4,000万ポンド(約43億5,000万~58億円)の損失があったと考えている。
しかしながら、これまで賦課公社(Levy Board)は賭事産業から得られる収入以上に支出してきたために、その準備金を使い込んできており、賦課金収入がすべて利用可能となるわけではない。
賦課金収入の増加分は、競馬界の中級・下級レースの賞金分野、人馬の福祉分野などに利用される予定である。
ホースメングループ(Horsemen's Group)のフィリップ・フリードマン(Philip Freedman)会長は、このニュースを英国競馬に関わる全ての人々にとって"素晴らしいこと"と称賛した。
そして、「長年苦境が続きましたが、新しい賦課金制度は、馬主の投資回収率を改善し、生産者のサラブレッドへの投資に対する信頼を回復させるでしょう。また、調教師・騎手・厩舎スタッフが手にする賞金を増やして、彼らが競馬界で生計を立てていくための一助となるでしょう」と付け加えた。
競馬場協会(Racecourse Association)のCEOスティーヴン・アトキン(Stephen Atkin)氏もこのニュースを歓迎し、こう語った。「競馬場は英国全体において、雇用の場として、また人気のアトラクションとして、経済に大きく貢献しています。英国の至る所にあるコミュニティーは、競馬場がこの重要な賦課金収入により支援されることで、恩恵を受けることになるでしょう」。
新しい賦課金制度については、国内の司法審査および欧州において、異議申立てが行われる可能性が依然としてある。
By Bill Barber
(1ポンド=約145円)
[Racing Post 2017年4月24日「New era for racing as levy reforms come into effect from Tuesday」]