香港の共同賭事プールは期待を上回る成長(香港) 【開催・運営】
香港ジョッキークラブ(Hong Kong Jockey Club:HKJC)のCEOウィンフリード・エンゲルブレヒト-ブレスケス(Winfried Engelbrecht-Bresges)氏(以下ブレスケス氏)は、2017/18年シーズンの共同賭事プールに関する中間報告を行った。英国の大手ブックメーカー4社を含む海外賭事業者から地元プールにもたらされる賭金について、同氏は「期待を上回っています」と述べた。
その笑顔は、HKJCの共同賭事開発理事を務めるジョージ・アーヴィン(George Irvine)氏が2016年1月から統率した共同賭事プールの運営が、その言葉以上であることを物語っている。アーヴィン氏は以前、SIS社(Satellite Information Services: 衛星情報サービス)で役員を務めていた。
ブレスケス氏は、「今や、海外からの賭金はたびたび地元プールの12%以上を占め、私たちは共同賭事プールの運営に大変満足しています」と語った。
12月10日の香港国際競走(全10レースのうち4つが国際招待競走)において、この数字は確認された。その日は過去最高の15億9,100万香港ドル(約222億7,400万円)を売上げ、うち12.1%にあたる1億9,300万香港ドル(約27億200万円)が海外からの賭金だった。
ブレスケス氏は2017年香港国際競走を振り返りこう語った。「契約を交わした賭事業者すべてが香港国際競走の馬券を発売したのは初めてです。結果は、香港競馬が国際的に魅力的であることを示しています」。2017年香港国際競走では、欧州最多賞金獲得馬のハイランドリール(Highland Reel)が現役最後のレースを勝利で飾るという快挙があった。
ブレスケス氏はこれより前に、本紙に対してこう語っていた。「英国の賭事市場はとても好調ですが、もう少し成長する余地があります。今回の結果は、固定オッズ賭事が最も人気ある市場においても、プール賭事が成功を収めることができることを示しています。賭事を魅力的にするには、適切な出走頭数・情報・プール規模が必要で、私たちはこれら3つすべてを提供できます」。
共同賭事による売上げは、香港の売上総額のうち、2014/15年シーズンは2%、2016/17年シーズンは6.5%だった。2017/18年シーズンは13%の見込み。
英国の大手ブックメーカー4社(ベットフレッド社・コーラル社・ラドブロークス社・ウィリアムヒル社)は、週2回開催される香港競馬の馬券を発売している。また、パディパワーベットフェア社(Paddy Power Betfair)に対しては来年から共同賭事に参加するように働き掛けが行われており、フランスのPMU(フランス場外馬券発売公社)もターゲットとされている。しかしアーヴィン氏の"欲しいものリスト"はさらに広がっており、豪州・ベルギー・オランダ・カリブ諸国との契約も視野に入れられている。
世界各地からの賭金を増加させるためにSIS社での経験を活かしているアーヴィン氏は、こう語った。「"賭事客たちは、プロモーションもマーケティングもしないのであれば、馴染んでいる賭事しかやらないだろう"ということをSIS社で学びました。だから、香港から魅力ある競馬を完全な形で届けています」。
「英国では香港競馬を売り込むために、活字媒体・電子メディア・テレビを広く利用してきました。レーシングポスト紙(新聞)、アットザレーシズやレーシングUK(いずれも競馬チャンネル)を通じて、家庭やベッティングショップに向けて競馬のプロモーションを行うことが特に功を奏しました。米国ではデイリーレーシングフォーム紙(新聞)やTVG(競馬チャンネル)のほかにラジオやオンラインサイトも利用し、豪州ではスカイレーシングとレーシングコム(いずれも競馬チャンネル)を利用しています。そして、シンガポールとカナダでは、中国語新聞を利用しています」。
「共同賭事プールを発展させる計画の第1段階は共同賭事の開始、第2段階はマーケティングとプロモーションでした。第3段階は、少額で大当たりを演出するエキゾチック馬券(3連単など組合せが多く高額配当が期待できる馬券)の発売となるでしょう。香港の賭事プールはとても堅調です。賭事客は単勝・複勝・馬連でもそれなりに利益を得られます。しかしエキゾチック馬券が発売されれば、世界中のどこでも見たことのないような高額配当となるでしょう」。
By Howard Wright
(1香港ドル=約14円)
[Racing Post 2017年12月19日「Hong Kong co-mingling going better than expected」]