日本人生産者がケンタッキー州で優良牝馬を購買(アメリカ)【生産】
日本人生産者は、ファシグ・ティプトン社11月セール(Fasig-Tipton November sale 11月4日ケンタッキー州レキシントンで開催)において、優良牝馬14頭(うち6頭がG1馬)を購買した。8牧場が合計1,481万ドル(約17億315万円)を支出し、それはその日の総売上額の16.5%に相当した。
ノーザンファームの吉田勝己氏は6頭を購買した。1頭あたりの平均価格は100万ドル(約1億1,500万円)以上。G1馬のフィンリーズラッキーチャーム(Finley'sluckycharm)とフォースタークルーク(Fourstar Crook)を立て続けに購買した。いずれもブリーダーズカップ開催(11月2日・3日)で出走し、フィンリーズラッキーチャームはBCフィリー&メアスプリント(G1)で7着、フォースタークルークはBCフィリー&メアターフ(G1)で7着となっていた。
同氏は、G2勝馬アイビーベル(Ivy Bell 父アーチアーチアーチ)も100万ドル(約1億1,500万円)で購買した。兄弟の照哉氏や晴哉氏も注目を集める購買を行っている。
吉田晴哉氏は、アレイヴィングビューティー(A Raving Beauty 牝5 父マスタークラフツマン)を200万ドル(約2億3,000万円)で購買した。このドイツ産牝馬は、G1・2勝を果たしてから参戦したBCフィリー&メアターフで3着となった。
この取引により、昨年カールスホフ牧場(Gestut Karlshof)からアレイヴィングビューティーを25万ドル(約2,875万円)で購買し、チャド・ブラウン(Chad Brown)厩舎に預託したグループ(Michael Dubb, Madaket Stables LLC & Bethlehem Stables)は大きな利益を手にした。同馬は今年、ジャストアゲームアンドファーストレディS(G1)を制し100万ドル近くの賞金を獲得している。
この馬主グループのためにアレイヴィングビューティーを上場したエリートセールズ社(Elite Sales)のブラッドリー・ワイスボード(Bradley Weisbord)氏は、「今年は素晴らしい一年でした」と述べた。そして自身の推薦に基づいて馬を購買して事業をサポートしてくれたこの馬主グループと、欧州の協力者であるニコラ・ド・ヴァトリガン(Nicolas de Watrigant)氏に感謝の意を表した。
社台ファームの吉田照哉氏は、将来有望な繁殖牝馬として2頭を購買した。G1馬フォールト(Fault 父ブレーム)を120万ドル(約1億3,800万円)、愛国産馬のG2勝馬のマダムダンスアロット(Madam Dancealot 父サープランスアロット)を40万ドル(約4,600万円)で落札。
日本人購買者の中で最も高額の落札を行ったのは、伊藤佳幸氏のグランド牧場である。同牧場は、2017年にBCジュベナイルフィリーズ(G1)を制し最優秀2歳牝馬となったカレドニアロード(Caledonia Road 父クオリティロード)を230万ドル(約2億6,450万円)で購買した。
伊藤氏の代理人を務めるエージェント(馬売買仲介者)のエマニュエル・ド・セルー(Emmaneul de Seroux)氏は昨年、グランド牧場のためにアメリカンファラオの当歳牝駒を100万ドル(約1億1,500万円)で購買している。同氏はカレドニアロードの今後の計画については未定であると述べ、こう語った。
「様子を見ます。米国の種牡馬と交配させて受胎した状態で日本に連れて帰るかもしれませんが、まだ確定していません。伊藤氏は目下のところ、最上級の牝馬を手に入れようとしています」。
他の日本人生産者では、ケイアイファームがG1馬ラコロネル(La Coronel 牝4 父カーネルジョン)を150万ドル(約1億7,250万円)で購買した。同ファームは、現在は種牡馬として活躍している最優秀短距離馬ロードカナロアを生産している。
ケイアイファームは近年、ケンタッキー州でトップクラスの若い牝馬を積極的に求めており、カナダの年度代表馬レキシールー(Lexie Lou)とキャッチアグリンプス(Catch a Glimpse)を購買したことで注目を浴びた。
日本の血統情報によれば、スライゴベイ(Sligo Bay)の牝馬レキシールーは100万ドル(約1億1,500万円)で購買され、2月に栗毛のフランケル牝駒を出産している。
シティジップ(City Zip)の牝馬キャッチアグリンプスは将来有望な繁殖牝馬として見られ、昨年のファシグ・ティプトン社11月セールにおいて300万ドル(約3億4,500万円)で購買されたが、まだ出産していない。
By Michele MacDonald
(1ドル=約115円)
[Racing Post 2018年11月5日「Japanese buyers account for 16.5 per cent of November Sale takings」]