女性見習騎手が騎手ランキングの首位に躍り出る(フランス) 【開催・運営】
カーニュ-シュル-メール競馬場の1月~2月の開催で、見習騎手のミカエル・ミシェル(Mickaelle Michel)が女性騎手として初めて騎手ランキングの首位に立つという快挙を成し遂げた。
2017年3月、フランスで女性騎手に2㎏の減量特典が与えられた。それから1年間を対象とした統計によれば、少なくとも平地競走において女性騎手の騎乗機会が急増している。これは、調教師たちが新たな現実に注目していることを示している。
ただし今年の3月1日からは、これまで2㎏だった女性騎手への減量特典は1.5㎏に下げられる。またこれまで4.5㎏だった女性見習騎手への最大の減量特典は4㎏に下げられる。
フランスギャロ(France Galop)は女性騎手に減量特典を適用した際、その目標を(1)馬主と調教師が女性騎手を一層頻繁に起用すること、(2)女性騎手限定戦以外のレースにおいてもより好ましい騎乗機会を女性騎手に与えること、と発表していた。
この2つ目の目標は、女性騎手の"プレミアム競走(訳注:インターネット賭事統制機構(ARJEL)が認可したフランスの賭事業者が馬券を発売するレース)"での騎乗回数と勝利数の大幅増加に繋がった。
フランスギャロの2017年3月~12月の10ヵ月間の統計によれば、女性騎手が平地のプレミアム競走で挙げた勝利数は、前年の59勝から279勝に増加した(373%増)。
障害競走においては平地競走ほど大幅な変化はなく、女性騎手の騎乗回数は前年同期比14%増となった。一方で勝利数は前年同期の23勝から48勝に増加した。
今年最初の2ヵ月における女性騎手の見事な活躍は、コートダジュール(フランス南東部の地中海沿岸地域)にあるカーニュ-シュル-メール競馬場において見られた。女性見習騎手のミシェルがギュイヨンとスミヨンを2位と3位に抑えて、たちまちリーディングジョッキーに躍り出たのだ。
現在まで26勝を挙げているミシェル騎手は、今年の騎手ランキングのトップに立っている。さらに193回という目覚ましい騎乗回数で、フランスで最も依頼の多い騎手にもなっている(訳注:3月15日現在もミシェル騎手は32勝で首位をキープ)。
同じく見習騎手のコラリー・パコー(Coralie Pacaut)もこの開催で素晴らしい成績を残した。また経験豊かなデルフィーヌ・サンティアゴ(Delphine Santiago)騎手も騎手ランキングの10位以内に入っている。
ただ、重賞・リステッド競走(準重賞)、そしてカンテプリュス馬券(くじ付き5連単・5連複馬券)を発売するハンデ戦やクラス1など価値の高いレースには減量特典が適用されていないことを忘れるべきではない。
マリリンヌ・エオン(Maryline Eon)騎手は昨年、仏クラシック競走に騎乗した初めての女性騎手となった。仏オークス(G1 ディアヌ賞)でイエローストーム(Yellow Storm)を追い込んでの8着に導いた。しかしそれに反して、同騎手のカンテプリュス馬券発売レースの騎乗回数は、昨年3月~12月において、前年同期の45回から58回へと控えめに増加しただけである。
男性の見習騎手は、多くの騎乗回数を獲得する戦いに敗れたように見える。しかし、フランスギャロは最新の発表において、彼らの騎乗回数・勝利数には大幅な減少は見られないと強調している。
フランスギャロは、見習騎手が減量特典を失う勝利数を引き上げることについて4月初めに議論する予定である(訳注:現在は平地69勝、障害39勝まで)。
女性騎手への減量特典に、異議を唱える者がいないわけではない。騎手のエージェントを務めるブルーノ・バルブロー(Bruno Barbereau)氏は、ジュールドギャロ紙の論説記事において、「この不公平なルールでは、男性見習騎手は"持ちこたえられない"」と述べている。
またパリチュルフ紙の一面では、男性見習騎手の保護者代表グループによる"女性騎手への減量特典を見直す要求"が掲載された。
By Scott Burton
[Racing Post 2018年3月2日「Rides for women double and wins nearly treble in first year of French allowance」]