スニッツェル、2年連続で豪州リーディングサイアーに(オーストラリア)【生産】
多くの若い種牡馬が存在感を示した豪州2017-18年競馬シーズンの終了時に、スニッツェル(Snitzel)は豪州リーディングサイアーのタイトルを2年連続で獲得した。同馬は父リダウツチョイス(Redoute's Choice)とともにアローフィールドスタッド(Arrowfield Stud)で供用されている。
レッドゼル(Redzel)が総賞金1,000万豪ドル(約8億円)の第1回ジ・エベレスト(ランドウィック競馬場)を制したことが大きな後押しとなり、スニッツェル産駒の獲得賞金は2,924万3,613豪ドル(約23億3,949万円)に上った[今年10月のジ・エベレストの総賞金は1,300万豪ドル(約10億4,000万円)に増額される]。スニッツェルは勝馬173頭、ステークス勝馬26頭を送り出している。
サイアーランキングで第2位のアイアムインヴィンシブル(I Am Invincible)は、スニッツェルに産駒獲得賞金で1,300万豪ドル(約10億4,000万円)もの大差をつけられた。
8月1日に16歳となったスニッツェルは2017-18年シーズンに、多くの優良産駒を出した。今後が楽しみなゴールデンローズS(G1)優勝馬トラピーズアーティスト(Trapeze Artist)をはじめ、メナリ(Menari)、アイアムエキサイティッド(I Am Excited)、ぺラスト(Perast)、スニッツェペグ(Snitzepeg)、スニッツクラフト(Snitzkraft)、ドラカリース(Dracarys)、グッドフェラ(Goodfella)、ショータイム(Showtime)のようなステークス勝馬を出している。
アローフィールドスタッドのジョン・メッサーラ(John Messara)会長は7月31日、スニッツェルを手放しで称賛し、ANZブラッドストックニュースに対してこう語った。「スニッツェルは威厳ある馬で、大将のような風格です。今年の数字は驚くべきものでした。とりわけ産駒獲得賞金はこれまでの記録を大きく超えました。ゴールデンスリッパーやジ・エベレストの優勝がなかったとしても、大差で首位に立っていたでしょう。群を抜いています」。
この成功により、スニッツェルの今シーズンの種付料は22万豪ドル(約1,760万円)とされている。南半球で公示されている種付料の中で最高額である。スニッツェルの初年度種付料は3万3,000豪ドル(約264万円)。供用4年目には2万2,000豪ドル(約176万円)にまで下がっていた。
メッサーラ会長はこう付言した。「すべてに興奮しています。スニッツェルが種牡馬入りしてからずっとここにいることに満足しています。彼は祖父デインヒル、父リダウツチョイスから、脈々と才能を引き継いできました。これら優良種牡馬を3代とも供用できたことは全く光栄なことです」。
英国にもシャトルされる若き種牡馬ズースター
2019年にトゥウィーンヒルズスタッド(Tweenhills Stud)にシャトルされるズースター(Zoustar 父ノーザンミーティア)は初年度産駒が競走年齢に達し、いきなりリーディングファーストクロップサイアーとなった。
ウィデンスタッド(Widden Stud)で供用されているズースターは、優秀な牝駒サンライト(Sunlight)が3戦2勝した後に、高額賞金のマジックミリオン2歳クラシックで優勝したことが寄与し、このタイトルを獲得した。G2勝馬のズーサイン(Zousain)とリーンミーンマシーン(Lean Mean Machine)など勝馬10頭を送り出し、産駒獲得賞金は320万8,694豪ドル(約2億5,670万円)に上った。
第2位のスピリットオブブーム(Spirit Of Boom)も豪州で18頭(うちステークス勝馬5頭)もの勝馬を出すという快挙を成し遂げたが、産駒獲得賞金ではズースターに及ばなかった。
ウィデンスタッドのライアン・マケヴォイ(Ryan McEvoy)氏はこう語った。「ズースターの今シーズンの活躍は"驚異的"と言うほかありません。産駒獲得賞金は320万豪ドルを超え、これまでのファーストクロップサイアーの記録を更新しました。またズースターは産駒獲得賞金による2歳サイアーランキングの上位3頭のうちの1頭となりました(他の2頭はスニッツェルとアイアムインヴィンシブル)。これはまぎれもなく、凄いことが起こる前触れです。マジックミリオンとシルバースリッパー(G2)を制した優秀なサンライトは注目を浴びています。一方で、ズーサイン、リーンミーンマシーン、ズースタイル(Zoustyle)のような将来有望な牡駒も、若き種牡馬ズースターが資質と闘志を産駒に伝えていることをはっきりと示しています」。
サヴァビール、4年連続でNZリーディングサイアーに
ニュージーランドでは、ワイカトスタッド(Waikato Stud)のサヴァビール(Savabeel)が4年連続でリーディングサイアーに輝いた。
サヴァビールは今シーズン、NZ1000ギニー(G1)優勝馬ハザハイロー(Hasahalo)やNZ2000ギニー(G1)優勝馬エンベリッシュ(Embellish)などG1馬6頭を送り出した。勝馬は合計で59頭(うちステークス勝馬12頭)に上り、産駒獲得賞金は339万6,125 NZドル(約2億5,471万円)に達した。
ワイカトスタッドのマーク・チティック(Mark Chittick)氏はこう語った。「サヴァビールは今回も素晴らしいシーズンを過ごしました。産駒が高いレベルのレースで勝利を収め、さまざまな国で賞金を獲得しました。繁殖牝馬にも大きなチャンスを与え、ファミリー(牝系)を繁栄させています」。
「出走した産駒の5%以上がステークス勝馬となれば、"種牡馬として成功だ"という暗黙の了解があります。サヴァビールは、オーストラレーシア(豪州&NZ)で10%以上のステークス勝馬を出しているわずか3頭の種牡馬のうちの1頭だと思います。これは異常とも言える活躍ぶりです」。
By Tim Rowe of ANZ Bloodstock News
(1豪ドル=約80円、1NZドル=約75円)
[Racing Post 2018年8月1日「Back-to-back Australian champion sire titles for Arrowfield's Snitzel」]