英国の小規模生産者がますます減少(イギリス)【生産】
最新の経済影響調査によれば、この5年間において、英国の350以上(全体の8%)の小規模生産者が生産界から去っている。
調査結果の完全版は秋に公表予定だが、サラブレッド生産者協会(Thoroughbred Breeders' Association: TBA)の年次総会(7月19日 ニューマーケットで開催)において、その概略のプレゼンが行われた。TBAの理事会メンバーであるフィリップ・ニュートン(Philip Newton)氏は、「2回目となる今回の調査報告は、より一層重要です。なぜなら、それは生産界のトレンドを検討する機会を我々に与えるからです。憂慮すべき事柄がいくつかあります」と語った。
2014年3月に発表された前回調査では生産者の45%が「不採算状態」だったが、最新調査によれば、その数字は66%に上っていると、ニュートン氏は明らかにしこう語った。
「大多数の生産者が慢性的に利益を出せないようです。投資に対する利益が上がらないのであれば、多くの小・中規模の生産者は消滅の危機に晒されるでしょう。これは大げさな話ではありません。ただ、この調査結果には反論できません。セリで売却された馬の採算性に著しいギャップがあることからも分かるように、小規模生産者と大規模生産者の間の格差は開く一方です。タタソールズ10月1歳セール・ブック1で平均的な牝馬を売却した場合、11万8,000ポンド(約1,652万円)の利益がもたらされると推計されます。一方、ブック3で平均的な牝馬を売却した場合は、2万3,500ポンド(約329万円)の損失が出ると見込まれます」。
小規模生産者の減少が競馬開催日程にもたらし得る影響について、ニュートン氏はこう述べた。「生産界で極めて重大な亀裂が生じています。英国の競馬開催日程を維持するためには、2万頭の出走馬が必要です。中でも英国産馬は、すべての現役競走馬の50%近くを占めています。小規模生産者を含め、いかなる規模の生産者も、その数が減り続ければ生産頭数は減ってしまい、競馬開催日程に悪い影響が及ぶでしょう。その上、サイマルキャスト賭事およびコミングリング賭事プールの進展により、海外市場からの英国のレースへの需要が高まっているので、問題は深刻化するばかりです」。
ニュートン氏はこう付言した。「過剰生産を支持しているわけではありません。ただ、競馬界が必要としている素材をもたらすために、英国生産界を堅実で継続できるものにしなければなりません。それに、まずは身内で思いやりを持たなければなりません」。
TBAのジュリアン・リッチモンド-ワトソン(Julian Richond-Watson)会長は、今回の調査を歓迎してこう語った。「とても重要な調査です。英国生産界がどのように、またどの分野で支援を必要としているか明らかにするために、この調査結果は今後活用されるでしょう」。
By Howard Wright
(1ポンド=約140円)
[Racing Post 2018年7月20日「Alarming trends for small breeders as'seismic crack'develops in industry」]