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2019年11月21日  - No.11 - 2

ガリレオ、G1優勝産駒84頭でデインヒルの記録に並ぶ(国際)【生産】


 現代の支配的な種牡馬ガリレオは、これまでデインヒルが保持してきた最多G1優勝産駒数の記録に並んだ。牝駒マジックワンド(Magic Wand)が11月8日(土)にマッキノンS(G1 フレミントン競馬場)で粘り強い勝利を決め、G1優勝を果たした84頭目のガリレオ産駒となったのだ。

 このときマジックワンドの鞍上を務めたライアン・ムーア騎手は、クールモアの偉大な種牡馬に敬意を表して、「ガリレオ産駒はトップレベルです。実直かつ屈強で、素晴らしい気性をしています」と述べた。

 ナイタイム(Nightime)が2006年愛1000ギニー(G1)を制して、ガリレオにとって初めてのG1優勝産駒となった。それ以来、種牡馬の出世街道を絶えず歩んできたガリレオは、G1優勝産駒84頭だけでなくステークス勝馬312頭(重賞勝馬206頭、リステッド勝馬106頭)を世界中に送り出した。

 これらG1優勝産駒には、フランケル、オーストラリア、チャーチル(Churchill)、ジャパン(Japan)、ニューアプローチ、オーダーオブセントジョージ(Order Of St George)、リップヴァンウィンクル(Rip Van Winkle)および今年の凱旋門賞(G1)優勝馬ヴァルトガイストなどが含まれる。

 今年11回目のリーディングサイアータイトル(英国・アイルランド)を獲得しようとしているガリレオは、2008年から1年を除きこのタイトルを独占してきた。2009年だけ、デインヒル産駒のデインヒルダンサー(Danehill Dancer)によりこの名誉を奪取された。

 このようにガリレオは欧州において支配的な影響力を示している。同馬が種牡馬生活の初期に南半球にシャトルされて欧州で収めたほどの成功を果たせなかったことを考えれば、この記念碑的記録を豪州で達成したことを皮肉に感じる者もいるだろう。

 とはいえ、マジックワンドがG1優勝を成し遂げた今がその考えを葬り去るのにちょうど良い時期だろう。マジックワンドは南半球でG1勝利を挙げた9頭目のガリレオ産駒である。他には以下の8頭が豪州のG1を制している。

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 サラブレッド産業の状勢は絶えず変化しており、2頭の種牡馬を直接比較することは困難である。ガリレオとデインヒルの場合、その比較を難しくしている注目すべき変化は、ガリレオが種牡馬としての全盛期を迎えたときには、最高の人気を誇る種牡馬が膨大な種付頭数をこなすことが当たり前となった点だ。

 21歳のガリレオ(父サドラーズウェルズ)は、競走年齢に達した産駒2,713頭を送り出している一方、デインヒル(父ダンジグ)が残した産駒はそれを下回る2,485頭である。

 しかし、17歳で死んだ偉大なデインヒルはこのような数字的な不利にもかかわらず、ステークス優勝産駒数においては依然としてトップに立っている。347頭ものブラックタイプ勝馬を送り出しているのだ(重賞勝馬209頭、リステッド勝馬138頭)。

 さらに、このようなG1優勝産駒数は単にこの部門を比較するには役立つかもしれないが、ガリレオとデインヒルの種牡馬生活が同時に進行しなかったことから、種牡馬としての本質を比較することはできない。ガリレオの記念碑的な成功は、デインヒルの驚異的な功績が織り交ざったものである。

 ガリレオとデインヒル牝駒が交配するときにこそ、この2頭の相補的な関係が一層はっきりと見られる。英国とアイルランドにおいて"父ガリレオ、母父デインヒル"の組合せは、出走馬172頭を送り出し、そのうち120頭が勝馬となっている(勝率70%)。

 ガリレオのG1優勝産駒84頭のうち、以下の15頭(18%)の母父がデインヒルである。フランケルは、リステッド2勝を果たしたデインヒル牝駒のカインド(Kind)を母とする。

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 またデインヒルは、ガリレオのG1優勝産駒のうち14頭の3代前あるいは4代前にその名を見つけることができる。そのうち次の5頭はデインヒルダンサー(父デインヒル)を母父とする。

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 他にも以下のデインヒル産駒がガリレオのG1優勝産駒の母父となっている。

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 最近モイグレアスタッドS(G1)を制してガリレオのG1優勝産駒になった牝馬ラブ(Love)の母はピカブー(Pikaboo)であり、その母はグリームオブライト(Gleam Of Light 父デインヒル)である。さらにG1・4勝牝馬ウィンター(Winter)の母はラディーズポーカートゥー(Laddies Poker Two)であり、その父はショワジールである。すなわち、ラディーズポーカートゥーはデインヒルの曾孫にあたる。

 これらを合わせると、ガリレオのG1優勝産駒84頭のうち29頭(35%)がデインヒルの血を引いていることになる。

 素晴らしい血統を引き継ぐ若いガリレオ産駒が今後も活躍することが期待されるので、ガリレオがデインヒルの記録を塗り替えるのは時間の問題だろう。

 しかし、このような功績は2頭の種牡馬の影響力を控えめに示す見掛けだけの名誉にすぎない。ガリレオとデインヒルは独自のスタイルをもつ偉大な種牡馬であり、そうあり続けると言えば十分だろう。また2頭の影響力が合わされば、優秀な産駒がもたらされる。

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By James Thomas

[Racing Post 2019年11月9日「Galileo matches Danehill's all-time record of 84 Group-Grade 1 winners」]


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