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海外競馬情報
2019年03月22日  - No.3 - 2

サンタアニタ競馬場、予後不良多発を受けて安全措置を導入(アメリカ)【開催・運営】


 サンタアニタ競馬場の本馬場(ダート)について綿密な評価が継続されているが、ストロナックグループ(The Stronach Group)は数週間後のレース再開に向けていくつかの新しい安全・福祉措置を導入することを発表した。

 ストロナックグループのCOOティム・リトヴォ(Tim Ritvo)氏はこう語った。「平常に戻ることを望んでいますが、ただ元に戻るだけでは済まされないでしょう。競走馬と騎手の安全性は、常に私たちの最優先事項です。一丸となって取り組み、内部監査プロセスを策定するだけでなく、グループの支援者とオープンで率直な対話を交わし、世界中の競馬場における成功事例を評価しなければなりません」。

 今後、サンタアニタパーク競馬場は調教師に対して、追い切りを行う24時間前までに許可を申請することを義務付ける。これは、競馬場の獣医師が過去成績・調教データ・馬体検査の評価を通じて、リスクがある馬を特定するのに役立つだろう。同競馬場は、毎朝調教される全頭(在厩馬・遠征馬)を観察するために、新たに獣医師を雇用する。

 サンタアニタ競馬場は、一層秩序のある安全な手順で朝調教が行えるようにスケジュール変更を発表していた。今後、本馬場が朝調教のためにオープンしてから最初の15分間と、馬場整備の後は、公式タイムを測る馬だけが本馬場を使用できる。これにより速いペースで走る馬は他馬と接触しにくくなり、それゆえ安全な環境が確保される。

 ストロナックグループはさらに、新しい役職の設置を発表した。それは"馬福祉担当部長(Director of Equine Welfare)"であり、獣医師が就任することとなる。この役職は、馬の健康のすべての面を監視し、怪我に対処する"緊急対応チーム"を統率する。このチームはすべての怪我の原因について透明性のある調査を行い、競馬界と一般の人々にその調査結果を伝える任務を負う。

 サンタアニタ競馬場は現在、獣医診療記録について完全な透明性を要求する"内部規定"を導入しようとしている。これはガルフストリームパーク競馬場で導入されて大成功を収めている。この内部規定では、クレーミング競走や庭先取引などで馬の調教師や馬主が変わっても、当該馬の転厩先に獣医診療記録を送ることを義務付ける。

 リトヴォ氏は、「これはガルフストリームパーク競馬場で非常にうまくいっています。最初は調教師から反対されましたが、馬にとっては最善策です。調教師は現在、馬の治療歴を完全に把握するためのこの情報に関して、自らは受け取る側でもあると分かっているので、誰もがこのプロセスを受け入れています」と語った。

 ストロナックグループはカリフォルニア州競馬委員会(California Horse Racing Board)および競馬界の支援者とともに、競馬場の安全性を評価することに専念している。全ての競馬場において健康と安全を重視する環境を作り出すことを目標に、馬と乗り手のリスク軽減に役立つファクターを特定するために協力して取り組むだろう。ケンタッキー大学のミック・ピーターソン(Mick Peterson)博士、熟練したトラックマンのデニス・ムーア(Denis Moore)氏、そして独立した馬場専門家たちが連携し、ダート・芝の両方の馬場の硬さ・組成・圧縮性を継続的に調査するとともに、怪我の早期発見・予防対策を探究する。

 リトヴォ氏はこう付言した。「会長兼理事長のべリンダ・ストロナック(Belinda Stronach)氏から弊社の従業員、調教師、馬主そして厩舎エリアで働く人々にいたるまで、私たちの誰もが、馬に深い愛情を抱いています。毎朝起床するのも、すべては馬のためです。人間の医療は馬の医療よりも進んでいます。それゆえ、怪我を発症前に見つける可能性を高めるための新しい技術や器具があれば、私たちはそれに投資し、ホースマンに提供します」。

The Stronach Group Press Release


[bloodhorse.com 2019年3月8日「Santa Anita to Institute Enhanced Protocols, Procedures」]


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