英国ジョッキークラブのCEOバザルゲット氏が辞任(イギリス)【開催・運営】
英国ジョッキークラブの舵取りを10年以上行ってきたサイモン・バザルゲット(Simon Bazalgette)氏は、年内にCEOを辞任する。
同氏がCEOに任命されてから11年が経つ。ジョッキークラブは後継者探しは始まっていると述べたが、同氏が何らかの形でグループにとどまることを望んでいる。
バザルゲット氏のCEO任期中、さまざまな出来事があった。とりわけケンプトン競馬場を閉場・売却する可能性について発表したときには物議が醸された。
以前レーシングUK社(Racing UK 競馬専門チャンネル・メディア権管理会社)の会長を務めていたバザルゲット氏は、2008年9月にジョッキークラブにCEOとして迎えられた。その後、ジョッキークラブが英国競馬界最大の商業グループとしての地位を固めるのに尽力してきた。
ジョッキークラブは過去10年間で、売上げを68.2%伸ばし、その賞金拠出額は116.8%増加した。
バザルゲット氏は年内にBHA(英国競馬統轄機構)の会長に就任するのではないかと考えられていたが、同氏はその職への関心を否定していた[BHA会長には、アンナマリー・フェルプス(Annamarie Phelps)氏が6月に就任する予定]。
同氏は、辞任を決断するのは難しかったとし、こう語った。
「10年以上前にCEOに任命されたとき、私は5年間その職を務めてから非常勤になることで合意していました。しかし、いつもやるべきことが沢山あり、仕事に没頭し続けることのできる素晴らしい機会を与えてもらいました」。
「記録的な業績を10回も達成することができたのは、有能なチームが支えてくれたからです。そして、今以上に辞任に最適な時期はないと思われます。年末までにCEOを引退します。しかし、非常勤か顧問として関わり続けることを望んでいます」。
「私の考えでは、ジョッキークラブは英国スポーツ界で最高の経営陣に恵まれ、堅実な理事会とガバナンス体制に支えられています。理事たちと勤勉なチームのおかげで、ジョッキークラブ競馬場社(Jockey Club Racecourses)、ジョッキークラブエステーツ社(Jockey Club Estates)、ナショナルスタッド(National Stud)、競馬福祉協会(Racing Welfare)は成果を出してきました。このグループがますます強化されていくことを確信しています」。
バザルゲット氏の辞任により、2019年はジョッキークラブにとって大きな転換期になるだろう。7月には、サンディ・ダッジョン(Sandy Dudgeon)氏がロジャー・ウェザビー(Roger Weatherby)氏に代わり理事長に就任する予定である。
ウェザビー氏は、バザルゲット氏が任期中に英国競馬界に多大なる貢献をしたと述べ、こう語った。
「バザルゲット氏は、競馬のメディア権料の大変革・賦課金制度改革・ITVとの約100日間の無料放送契約などで重要な役割を果たしてきました。そして最も重要なことですが、好調な業績を背景に、ジョッキークラブが賞金額や英国中の競馬施設への投資に記録的な資金提供を行うことを可能にしました」。
「それにバザルゲット氏は一流の経営陣を結成してきました。私たちはこれから、同氏が築いた強固な基盤の上に、次期CEOがジョッキークラブを確実に発展させていけるように取り組んでいきます」。
「バザルゲット氏は相当な知見と専門的知識をもっています。ジョッキークラブと競馬界がそれを失ってしまうのはとても惜しいと思っています。同氏が今後も何らかの形で関与し続けることを強く願っています。」
ウェザビー氏、ダッジョン氏、副理事長のジュリア・バッド(Julia Budd)氏が、ヘッドハンティング会社のSRI社の助言を参考に、バザルゲット氏の後継者選びを主導する。
ジョッキークラブは、後継者はグループ内から任命される可能性があると述べた。
グループ内の有力候補としては、ジョッキークラブ競馬場社のCEOポール・フィッシャー(Paul Fisher)氏、チェルトナム・南西部地域担当理事であるイアン・レントン(Ian Renton)氏、グループの財務担当理事のネヴィン・トゥルーズデール(Nevin Truesdale)氏が挙げられている。
By Bill Barber
[Racing Post 2019年5月1日「Simon Bazalgette to step down as Jockey Club chief executive」]