アフリカ馬疫に効果的なワクチンの開発が大きく進展(国際)【獣医・診療】
国際馬スポーツ連盟(International Horse Sports Confederation: IHSC)は、アフリカ馬疫(African Horse Sickness:AHS)に効果的なワクチンの開発が著しい進展を遂げたと発表した。
AHSは、心臓あるいは肺、もしくはその両方に症状が現れる重篤な疾病であり、致死率は高い。アフリカの様々な地域で発生するエンデミック(風土病)であり、吸血昆虫を媒介として蔓延するウイルス疾患である。
この疾病はとりわけ南アフリカにおいて、馬の国際間移動に障害を与えている。そのため、IHSCはこの3年間 AHSに関する研究プロジェクトを支援してきた。IHSCのワーキンググループは、ある不活化・多価・DIVAワクチンを、潜在的な候補ワクチンとして特定した。「DIVA」は、AHSワクチン接種馬とAHSに自然に晒された馬を区別できることを意味する。この区別は輸出馬の検査の際に大変重要となる。エンデミックの状況でも、この疾病が大流行している状況でも、この候補ワクチンは効果的であることが示されている。
IHSCはこのワクチンの商業的開発のための計画表を準備している。その計画表には、AHSの9種類の血清型に対するワクチンの効果を立証するためと、このワクチンの規制登録を後押しするために避けては通れない手順である「攻撃試験」も含まれている(訳注:攻撃試験とは、ワクチンが特定のウイルスに対して持つ有効性を確認するために、ワクチン注射を施した動物にウイルスを接種する試験のこと。接種後は動物の生死を観察し、体内からウイルスが検出されるかどうかを調べる)。
IHSCとIFHA(国際競馬統括機関連盟)の会長であるルイ・ロマネ(Louis Romanet)氏は、こう語った。「IHSCは、AHSに効果のある新たなワクチンの開発・製造が重要な功績となることを確信しています。このワクチンは、世界中の馬スポーツにプラスの効果をもたらすでしょう。私たちは、IHSCとOIE(国際獣疫事務局)の良好な協調関係を通じてこれまで積み上げた研究成果を誇りに思っています。実際、この協調関係を通じて特定された候補ワクチンは、世界中の馬スポーツ機関とOIEとの間の官民連携の真価を強く示すものです」。
「FEI(国際馬術連盟)とIFHAは、AHSに効果のあるワクチンの開発を支援するために、これまで長い年月と多額の資金を費やしてきました。私たちは今や、候補ワクチンの効果を立証するために、とりわけ南アフリカの競馬産業と協力することを楽しみにしており、このワクチンの開発・製造・広範囲の普及のために取り組みたいと思っています。それにはさらに多額の投資と長い時間が必要となります。しかしながら、非常に長い間AHSの影響を受けてきた南アフリカにおける馬の輸出入に、新たなワクチンが革新的な変化をもたらすことを、私たちは確信しています」。
By Blood-Horse Staff
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[bloodhorse.com 2019年5月14日「Progress Made Toward New African Horse Sickness Vaccine」]