2021年までに全競馬場でレース中のハロンタイムを提供(イギリス)【開催・運営】
英国の全競馬場においてハロンタイムと追跡データをライブで提供する計画は、実現に向かおうとしている。競馬賭事賦課公社(Levy Board 賦課公社)が、この技術の運営経費に対して今後3年間で90万ポンド(約1億2,150万円)を支出することを明言したのだ。
賦課公社は、メディア権保有者とそれらが選定した追跡データ提供会社とともに取り組むことにしている。また、この計画を実現させるためにBHA(英国競馬統轄機構)と競馬場協会(Racecourse Association: RCA)とも協力する。
賦課公社の声明にはこう記されている。「全レースにおいて正確な高速データを提供することは、新しいファンの獲得に繋がるほか、競争が激化する中でブックメーカーに一層魅力的な賭事商品を開発するチャンスをもたらすと広く考えられています」。
「またこの技術は、馬の福祉・公正確保・規制など競馬産業の優先事項に対して、データを基にした根拠を提供するでしょう」。
レースのタイムやデータを提供するトータル・パフォーマンス・データ社(Total Performance Data: TPD)は、この投資を歓迎している。TPDはすでに、アリーナレーシング社(Arena Racing Company:ARC)が所有する12競馬場においてライブでデータを提供している。そして10月までに、残りのARC所有競馬場へこの技術の導入を完了する予定。
TPDの声明にはこう記されている。「TPDは賦課公社と目標を完全に共有しています。賦課公社の資金提供は、技術の進歩をスピードアップさせ投資を促進させます。それにより、2021年までにこの技術は英国の全競馬場で提供されるようになります。そうなれば、賭事売上げが増加してそれにより新たな賦課金収入が生み出されるでしょう」。
データ共有協定
賦課公社はまた、大手ブックメーカー(ベットフレッド社、ラドブロークス・コーラル社、パディパワー・ベットフェア社、スカイベット社、ウィリアムヒル社)とのデータ共有協定の締結を発表した。
これらのブックメーカーは賦課公社と、2017年1月からの全競馬開催日程におけるレースごとの賭事データ(オンライン・ベッティングショップの両方)を自主的に共有することに合意した。これは、賭事客にとって魅力のあるレースの種類をより良く理解するのに寄与するだろう。
予算が増加した分野
賦課公社は最近、2019年の支出を500万ポンド(約6億7,500万円)削減することを発表している[9,900万ポンド(約133億6,500万円)⇒ 9,400万ポンド(約126億9,000万円)]。しかし、競馬産業への人材採用・教育への予算は100万ポンド(約1億3,500万円)増え310万ポンド(約4億1,850万円)に増加させている。
資金提供を増加させる主な分野には、英国競馬学校(British Racing School)・北部競馬学校(Northern Racing College)・ナショナルスタッド(National Stud)における職業訓練プログラムが含まれる。
By Michael Robson
(1ポンド=約135円)
(関連記事)海外競馬情報 2017年No.2「競馬賭事衰退を止めるためのイノベーション(イギリス)」
[Racing Post 2019年7月9日「Sectional timing aim for all British courses by 2021 after Levy contribution」]