2019年各部門のリーディングが決定(フランス)【開催・運営】
2019年平地シーズンは12月30日、マルセイユ-ヴィヴォー競馬場で閉幕した。30回目のリーディングトレーナー(獲得賞金)のタイトルを獲得したアンドレ・ファーブル(André Fabre)調教師は、全ての部門でその影響をもたらしている。マキシム・ギュイヨン(Maxime Guyon)騎手(リーディングジョッキー)を育て、ゴドルフィン(リーディングオーナー)の多くの所有馬を管理し、ヴェルテメール兄弟(リーディングブリーダー)の数頭の馬を管理しただけではない。ベストホース(獲得賞金)に輝いた凱旋門賞(G1)優勝馬ヴァルトガイスト(Waldgeist)を管理したのもファーブル調教師である。
リーディングトレーナー(獲得賞金):
アンドレ・ファーブル調教師
アンドレ・ファーブル調教師は30回目のリーディングタイトルを獲得した。シャンティイを拠点とする同調教師は常に本領を発揮している。それでも2019年は特別な年となった。ヴァルトガイストで凱旋門賞8勝目を挙げただけでなく、自らの獲得賞金記録を塗り替えた[885万3,905ユーロ(約10億6,247万円)]。大きく引き離されて2位となったのはジャン-クロード・ルジェ(Jean-Claude Rouget)調教師[獲得賞金536万2,135(約6億4,346万円)]。そして、キャッスルレディ(Castle Lady)で仏1000ギニー(G1)を制して新たなクラシック優勝を手にしたアンリ-アレックス・パンタール(Henri-Alex Pantall)調教師が3位となった。その次に続くのは、いずれも獲得賞金が200万ユーロ(約2億4,000万円)を超えたジョン・ゴスデン調教師(4位)、カルロス・ラフォン-パリアス(Carlos Laffon-Parias)調教師(5位)、フレデリック・ロッシ(Frédéric Rossi)調教師(6位)である。クリストフ・エスキュデ(Christophe Escuder)調教師(9位)が初めてトップ10に入ったこと、フレディ・ヘッド(Freddy Head)調教師(17位)が2007年以降初めてトップ10に入らなかったことが注目に値する。勝利数ではルジェ調教師が169勝を挙げて断トツのトップに立った。ファーブル調教師(119勝)、パンタール調教師(111勝)、ロッシ調教師(110勝)、ファブリス・ヴェルムラン(Fabrice Vermeulen)調教師(110勝)がそれに続き、2位以下は接戦となった。
リーディングジョッキー(勝利数):
マキシム・ギュイヨン騎手
10年間リーディング 3位内に入っていたものの表彰台の一番高い場所に立てなかったマキシム・ギュイヨン騎手は、年間234勝(自己最多)を果たし、遂にクラヴァッシュドール(Cravache d'Or年間最多勝を挙げた騎手に贈られる金の鞭)を獲得した。ヴェルテメール兄弟の主戦を務めるギュイヨン騎手は2019年、ずっとトップに立ち続けてこの初めての栄誉を手に入れたが、G1優勝には恵まれなかった(G1優勝なしは11年間でわずか2回)。ピエール-シャルル・ブドー(Pierre-Charles Boudot)騎手は2位に甘んじたが、凱旋門賞初優勝以外にもいくつかのG1を制したことが十分な慰めとなった。また、驚異的な1,000万ユーロ(約12億円)以上もの賞金を獲得している。クリストフ・スミヨン騎手が日本に発って一足早くリーディング争いから離脱したことで、クリスチャン・デムーロ騎手とミカエル・バルザローナ騎手は最終日まで3位の座を争った。最終的にはゴドルフィンと契約するバルザローナ騎手がささやかな宝石を手に入れた。それに続く順位には、例年のように100勝近くを挙げたテオ・バシュロ(Théo Bachelot)騎手とステファーヌ・パスキエ(Stéphane Pasquier)騎手が収まった。コラリー・パコー(Coralie Pacaut)騎手(71勝)は実りあるシーズンを送ったが、惜しくも10位内を逃し(13位)、女性騎手の年間最多勝記録にわずかに届かなかった(現在の女性騎手の年間最多勝記録は2018年にミカエル・ミシェル騎手が達成した72勝)。
リーディングオーナー(獲得賞金):
ゴドルフィン
リーディングオーナーに輝いたのは、2018年と同じくゴドルフィン合名会社(Godolphin SNC)である[英国拠点のゴドルフィンもこのランキングの10位に入っている]。獲得賞金は400万ユーロ(約4億8,000万円)に届かなかったが、2位のヴェルテメール兄弟に大差をつけた。これに続いたのは、いずれも獲得賞金が200万ユーロ(約2億4,000万円)を超えた次の3名の馬主である。アメルランド牧場(Gestüt Ammerland ヴァルトガイストを所有)、カリド・アブドゥラ殿下、ジェラール・オーギュスタン-ノルマン(Gerard Augustin-Normand)氏。アガ・カーン殿下は9位となり、トップ10内に返り咲いた。
リーディングブリーダー(獲得賞金):ヴェルテメール兄弟
ヴェルテメール兄弟が3年連続でこの栄誉に輝いた。シャマン(Shaman)、ジヤド(Ziyad)、スラロム(Slalom)などの生産馬が活躍した。高級ブランド"シャネル"のオーナーである同兄弟は、仏ダービー(G1)優勝馬ソットサス(Sottsass)を生産したモンソー牧場(Ecurie des Monceaux)をリードした。3位に入ったのは、スカレティ(Skalleti)が先鋒として活躍したギー・パリエント(Guy Pariente)氏である。コム(Commes)を生産したフランクリン・ファイナンス社(Franklin Finance)は4位となった。
ベストホース(獲得賞金):ヴァルトガイスト
ヴァルトガイストは凱旋門賞を優勝したことでこのランキングの首位に立った。仏ダービー馬ソットサスと凱旋門賞で惜しくも2着となったエネイブルがこれに続いた。
リーディングサイアー(獲得賞金):ガリレオ
ヴァルトガイストの活躍により(もちろん他にも優秀な産駒はいるが)、ガリレオは再びランキングの首位に立った。それに続く3頭がフランス供用種牡馬であることに大いに勇気づけられる。それはシユーニ(Siyouni)、ルアーヴル(Le Havre)、ケンダルジャン(Kendargent)である。
By François Moreau
(1ユーロ=約120円)
[Paris Turf 2020年1月1日「Fabre sur tous les tableaux」]