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2020年01月22日  - No.1 - 5

種牡馬アメリカンファラオへの大きな期待(アメリカ)【生産】


 2019年はネガティブな雰囲気に包まれた。それでも現在、2つの話題がサラブレッド競馬界・生産界の将来に大きな希望をもたらしている。新たな年を迎え、少し楽観的になっても罰は当たらないだろう。

 1つ目の話題は競馬に関するものである。10月初旬にメリーランドジョッキークラブとボルチモア市の間で"老朽化の著しいピムリコ競馬場を再建してプリークネスS(G1 三冠競走の二冠目)を今後も開催する"という契約が交わされたことが発表されたとき、メリーランドの競馬コミュニティーだけでなく全米が歓喜した。ストロナックグループのような競馬場運営会社とボルチモア市やメリーランド州議会(州都アナポリス)などの役所が競馬を活性化させるために団結できることを示したことは、競馬の長期的な将来にとって良い兆しである。この合意は既にメリーランド州議会に送られており、2020年の議題に入っている。

 2つ目の話題は生産に関するものである。2019年、アシュフォードスタッドで供用されるアメリカンファラオが種牡馬として成功したことは、多くの人々に希望を与えた。2015年米国三冠馬アメリカンファラオの初年度産駒は2019年にデビューし、その父にリーディングファーストクロップサイアーのタイトルを獲得させるほどの活躍ぶりを見せた。優秀な競走馬が優秀な種牡馬への変身を遂げることは、種牡馬成績(および商業的価値)と競走成績を線で結ぶ上で重要なことである。

 27頭のアメリカンファラオ産駒が勝利を挙げ、合計270万ドル(約2億9,700万円)以上もの賞金を稼ぎ出した。その中には、BCジュベナイルターフスプリント(芝G2)を制したフォーウィールドライブ(Four Wheel Drive)やフランス重賞勝馬がいる。

 アメリカンファラオは日本でも勝馬5頭を送り出したことにより、米国の貿易赤字を減らす役割も果たした。

 アシュフォードスタッドの販売部長であるチャーリー・オコーナー(Charlie O'Connor)氏はこう語った。「日本の馬主と生産者は、アメリカンファラオを最初から信頼して支援してくれました。彼に繁殖牝馬を送り、セリでも彼の産駒を購買したのです。したがって、彼が日本で大きな成功を収めているのを知り大変喜ばしく思います。日本で勝利を挙げた5頭のアメリカンファラオ産駒のうち1頭は母馬が受胎しているときに米国で購買され、1歳セールと2歳セールで2頭ずつ購買されました」。

 近年種付頭数が大幅に増加していることから他の三冠馬とは異なる条件での比較になるが、アメリカンファラオの種牡馬としてのスタートは、シアトルスルーの初年度産駒と比較するのが一番ぴったりくるかもしれない。シアトルスルーは1982年に最優秀2歳牝馬ランダルース(Landaluce)、エクリプス賞を数回獲得することになるスルーオゴールド(Slew o' Gold)、G1馬スルーピー(Slewpy)を送り出したことでリーディングファーストクロップサイアーとなった。また、セカンドクロップ(供用2年目の産駒)からはクラシック2勝馬スウェール(Swale)が出た。

 アメリカンファラオの初年度産駒は1歳のときに飛ぶように売れた。そしてセカンドクロップの1歳セールでの総売上額は820万ドル(約9億200万円)に上った。それが翌年にこれらの産駒が優秀な競走成績を挙げることの保証にはならないが、業界関係者は早い段階でこの状況に満足している。

 オコーナー氏はこう語った。「2019年の早い段階から、2歳産駒の所有者や調教師から報告を受けていました。それは、沢山のアメリカンファラオ産駒が父に似た多くの資質、すなわち素晴らしい身のこなしや穏やかな気性を備えているというものでした」。

 「アメリカンファラオがこれまでに送り出した勝馬の資質・頭数・多様性を見るのは、実に刺激的です。フォーウィールドライブがBCジュベナイルターフスプリントを制しファーストクロップからブリーダーズカップ競走の勝馬が出たこと、そして他にも2頭がブリーダーズカップで出走し優秀な成績を挙げたことには特別な意味があります」。

 アメリカンファラオが2014年最優秀2歳牡馬に選ばれただけでなく、3歳となってクラシック競走で優れた能力を見せつけたことで、種牡馬となった同馬への期待はとても大きい。現役時代の同馬の活躍は、産駒の3歳シーズン以降の競走生活にとって吉兆となる。

 オコーナー氏はこう付言した。「アメリカンファラオはアシュフォードスタッドで種牡馬入りして以来、生産界で最高の支援を受けています。世界中のトップブリーダーが最高級の繁殖牝馬を送り込んでいます。またアメリカンファラオは、受胎した繁殖牝馬が上場される繁殖セール、当歳セール、1歳セール、2歳セールなど、すべてのセリで人気を博しています。彼に次にどのようなテストが待ち構えていようとも、期待はいつも大きいものとなっています」。

 「ファーストクロップが活躍して種牡馬が良いスタートを切ることは常に重要なことですが、2019年にアメリカンファラオが米国にとどまらず世界中で成し遂げたことは期待を上回っています。3歳シーズンを迎える彼の産駒が、父が現役時代に果たしたのと同様に進化するのを楽しみにしています」。


By Evan Hammonds

(1ドル=約110円)

 (関連記事)海外競馬ニュース 2018年No.31「種牡馬アメリカンファラオ、産駒が次々に高額で購買される(アメリカ)」、海外競馬情報 2019年No.10「ピムリコ競馬場とローレルパーク競馬場、取り壊して再建へ(アメリカ)

[bloodhorse.com 2020年1月8日「What's Going On Here―American First」]

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