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2020年11月20日  - No.11 - 3

2020年北米・欧州1歳セールの総売上額は26%減少(アメリカ・欧州)【生産】


 ファシグ・ティプトン社10月1歳セール(10月26日~29日 ケンタッキー州レキシントン)は、タタソールズ社10月1歳セール(英国ニューマーケット)から始まった市場の復活傾向を継続させたまま閉幕し、北米と欧州の主な1歳セリの全日程は終了した。9月までは実質的に、2020年の全てのセリで総売上額は4分の1から3分の1減少していた。しかし10月には、大半のセリでその減少幅は約1015%にとどまった。注目すべきことに、タタソールズ社101歳セール・ブック23の総売上額は2019年とほぼ同等だった。また、ファシグ・ティプトン社101歳セールは、売却頭数が5%減、売却率が1.5%減、総売上額が14%減、平均価格が37,955ドル(約399万円)から34,073ドル(約358万円)への10%減にとどまった。

 それでも全体的に見て、10月の市場の復活傾向は2020年北米・欧州1歳セールの結果をさらに悪化しないようにしただけだ。ブリアン・スタンリー(Brianne Stanley)氏はビル・オッペンハイム・グループ(The Bill Oppenheim Group)の調査のために、セリ市場の数字を以下のようにまとめた。
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 他の多くのエンターテインメント事業で起こっていることを考えれば、競馬界がとにかく事業を営み続けられているのはとても幸運だ。それでもセリ市場の価格がひどい打撃を受けたことはまちがいない。北米では、1歳馬の売却頭数が6分の1減少し、総売上額が3分の1弱減少し、平均価格は5分の1減少した。

 2020年の欧州1歳セールでは総売上額は19%減、平均価格は11%減にとどまった。しかし、それが欧州だからなのか、10月の主要なセリでマクトゥーム一族やクールモアの強い支援があったからなのか、それとも人々の感じ方の違いからなのか、どうだろうか?それでも、10月の市場の盛返しは損失を少なくしたにすぎなかった。

 北米と欧州を全て一緒にするのであれば以下のようになる。売上総額が26%も減少したことがすべてを物語っている。
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 本誌(ブラッドホース誌)は北米の1歳産駒の平均価格によるサイアーランキングを以下のようにまとめた。これにより、1歳産駒の平均価格が40万ドル超の種牡馬は3頭、30万ドル超の種牡馬は6頭、16万ドル超の種牡馬は16頭いることが明らかになった。
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 ガンランナーとアロゲートは今年、いずれも初年度産駒が1歳となった種牡馬として商業的に成功しており、アメリカンファラオは10月に1頭目と2頭目のG1馬を送り出した。そのアメリカンファラオの父パイオニアオブザナイル[売却頭数51頭/平均価格21万7,333ドル(約2,282万円)]も1歳産駒の平均価格が20万ドルを上回っている。ほかに1歳産駒の平均価格が16万ドルを上回るのは以下の種牡馬である。ナイキストはフレッシュマンサイアーとして商業的に最も成功している。

・ スパイツタウン[売却頭数32頭/平均価格18万6,733ドル(約1,961万円)]

・ ゴーストザッパー[売却頭数34頭/平均価格16万6,618ドル(約1,749万円)]

・ ナイキスト[売却頭数64頭/平均価格16万5,773ドル(約1,741万円)]

・ キャンディライド[売却頭数48頭/平均価格16万4,646ドル(約1,729万円)]

 リーディングセカンドクロップサイアーのコンスティチューション[売却頭数37頭/平均価格13万7,351ドル(約1,442万円)]やリーディングファーストクロップサイアーのノットディスタイム[売却頭数47頭/平均価格11万3,821ドル(約1,195万円)]の1歳産駒の平均価格も10万ドルを超えていた。そのほか、以下3頭の種牡馬の最初の1歳産駒の平均価格が10万ドルを上回っていた。カラヴァッジオはアイルランドから新たに輸入された種牡馬である。

・ マスタリー[売却頭数63頭/平均価格12万4,706ドル(約1,309万円)]

・ プラティカルジョーク[売却頭数74頭/平均価格12万243ドル(約1,263万円)]

・ カラヴァッジオ[売却頭数63頭/平均価格11万8,767ドル(約1,247万円)]

11月に上場されるジャスティファイの最初の当歳産駒が注目の的

 10月に市場が持ち直したことで、その推進力がケンタッキーの11月混合セールや、11月や12月に欧州で行われる混合セールで継続されることが期待されている。競走を引退した優良牝馬や、最近の活躍馬の母馬がブリーダーズカップ開催の後も上場され、高値で取引されることはほぼまちがいない。しかし、混合セールの市況は1歳セールとは全く異なっている。キーンランド11月セール全体の上場予定馬の頭数が全体的に20%減少し、タタソールズ12月当歳セール(11月25日~28日開催予定)の上場予定馬の頭数も20%減少していることには驚かされる。優良牝馬がどれだけ堅調に売れようとも、2つの重要な混合セールは始まる前からその上場予定馬が20%も減少していることが明らかになっている。それゆえ混合セールの総売上額に大きな影響があることは必至である。

 しかし、混合セールのハイライトの1つは、スキャットダディの最高傑作であり、2018年に無敗の米国三冠馬となったジャスティファイの最初の当歳馬が上場されることだろう。11月に、ジャスティファイの当歳産駒はファシグ・ティプトン社に9頭、キーンランドのブック1に13頭・ブック2に3頭の合計25頭が上場される予定だ。ジャスティファイの初年度産駒を受胎中の牝馬が2019年~2020年の混合セールにおいて平均価格79万6,419ドル(約8,362万円)で購買されたことを考えれば、同馬はその産駒を当歳市場の頂点に送り込むと考えられる。いくつかの花火が上がるような高額取引が見られることもまちがいないだろう。

 ケンタッキーのセリには、種牡馬24頭が最初の当歳産駒490頭を送り込む。ジャスティファイのほかに、2019年~2020年の混合セールで、以下の種牡馬の初年度産駒を受胎した牝馬が10万ドル以上で購買された。

・ シティオブライト(当歳馬20頭が上場予定)

・ グッドマジック(当歳馬31頭が上場予定)

・ メンデルスゾーン(当歳馬37頭が上場予定)

・ ボルトドーロ(当歳馬35頭が上場予定)

 ほかにケンタッキーの11月セールに最初の当歳産駒25頭以上が上場される種牡馬は以下のとおりである。

・ アクセラレイト(当歳馬31頭が上場予定)

・ タップリット(当歳馬29頭が上場予定)

・ コレクテッド(当歳馬27頭が上場予定)

・ ジャスティファイ(当歳馬25頭が上場予定)

 なお2つの混合セールにおいて、以下の7頭をはじめとする22頭の種牡馬の初年度産駒を受胎中の牝馬(合計286頭)が上場される。
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By Bill Oppenheim

(1ドル=約105円)

[bloodhorse.com 2020年11月1日「North American and European Yearling Sales Down 26%」]


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