2021年ダーレーの種付料(欧州)【生産】
ダーレーは欧州で供用する優良種牡馬群の2021年種付料を発表した。生産者が"先行き不透明な時期"に直面していることを踏まえ、英国・フランス・アイルランドで供用する種牡馬の種付料の大半は引き下げられた。
名種牡馬ドバウィは引き続き、ダーラムホールスタッドにて25万ポンド(約3,500万円)で供用される。2020年に活躍した産駒には、世界最高レーティングを獲得したガイヤースとプリンスオブウェールズ(G1)優勝馬ロードノースがいる。ガイヤースは競走を引退し、キルダンガンスタッドにおいて初年度種付料3万ユーロ(約375万円)で供用される。
新種牡馬の中で最高の種付料で供用されるのはピナトゥボである。同馬は2歳シーズンにナショナルS(G1)やデューハーストS(G1)など6戦全勝を果たして欧州2歳部門で25年来で最高のレーティングを獲得し、今年もジャンプラ賞(G1)を制した。
今年4月に死んだ偉大なシャマルダルの産駒であるピナトゥボは、初年度種付料3万5,000ポンド(約490万円)で供用される。
ダーレーの種牡馬担当主任であるサム・ブラード氏はこう語った。「今年の世界最高レーティング馬と世代最強の2歳馬はゴドルフィンの名の下で競走して、ダーレーで種牡馬入りするだけではありません。いずれもダーレーの種牡馬を父としています。私たちはそれを大変誇りに思います。さらに、価値あるサービスを生産者に提供していることにより、私たちは将来についてとても楽観的に考えられます」。
「2020年が試練に満ちていたことはまちがいありませんが、1歳市場はいくぶん目覚ましい回復を遂げました。それに購買者は欧州の生産者が作り出した馬に大きな信頼を示していました」。
「生産者や彼らが送り込んでくれる繁殖牝馬によって支えられ、これからもダーレーの種牡馬が将来のスター馬を送り出し続けると信じています」。
キルダンガンスタッドでガイヤースとともに新たに供用されるのは、モルニー賞(G1)とミドルパークS(G1)を制して無敗の2歳シーズンを送ったアースライトである。初年度種付料は2万ユーロ(約250万円)とされる。
アースライトはパン賞(G3 ロンシャン)で優勝した後、最後のレースとなったフォレ賞(G1 ロンシャン)でワンマスターの僅差の2着となった。
センセーショナルな若い種牡馬ナイトオブサンダーは初年度と2年目の産駒から26頭のステークス勝馬を送り出し、その種付料は2万5,000ユーロ(約313万円)から7万5,000ユーロ(約938万円)に大幅にアップする。活躍した産駒には、ダンテS(G2)優勝馬サンダラス(Thunderous)やジャージーS(G3)優勝馬モラサム(Molatham)が含まれる。
同じくキルダンガンスタッドで供用されるテオフィロは今年、クリテリウムドサンクルー(G1)優勝馬ギアアップやメルボルンカップ(G1)優勝馬トワイライトペイメントなどG1馬6頭を送り出した。来年は3万ユーロ(約375万円)で供用される。
2021年の種牡馬リストの中でその不在が目立つのはエクシードアンドエクセル(20歳)である。シャトル種牡馬としてのキャリアを終えた同馬は、今後は豪州にとどまるだろう。最近活躍した産駒には、スプリントクラシック(G1 フレミントン)を圧勝したビバーク(Bivouac)がいる。
牧場・種牡馬・生産担当部長のリアム・オールーク氏はこう語った。「私たちは生産者が先行き不透明な時期を過ごしていると認識しており、それを欧州と米国の種付料に反映させました」。
「私たちは2021年の方針として、生産者の支えとなることを目指しています。これまでで最強の種牡馬が揃っていると思いますが、かなり手頃な種付料を設定しました。生産者がこの機会を利用できると信じています」。
「過去に私たちの種牡馬を交配相手として選んでくれた生産者の皆様に感謝します。そして今後も最高のチャンスを彼らに与えられることを楽しみにしています」。
「とても刺激的な3頭が種牡馬群に加わることが、2021年以降にさらなる成功を遂げられるという自信を与えてくれます」。
By Kitty Trice
(1ポンド=約140円、1ユーロ=約125円)
[Racing Post 2020年11月10日「Pinatubo offered at £35,000 as 'unpredictable times' reflected in trimmed fees」]