クールモア、種牡馬ディープインパクトから優良馬を生産(アイルランド)【生産】
日本の超優良種牡馬ディープインパクト(2019年没)を支持するクールモアには、再び大きな褒美がもたらされた。自家生産馬ファンシーブルー(Fancy Blue)が7月5日、仏オークス(G1 ディアヌ賞 シャンティイ)で優勝したのだ。
新人のドナカ・オブライエン調教師にクラシック初優勝をもたらした牝馬ファンシーブルーは、クールモアが生産して欧州で活躍するディープインパクト産駒の足跡を辿っている。その中で代表的な馬は、英2000ギニー(G1)優勝馬サクソンウォリアー(現在クールモアで供用)とフィリーズマイル(G1)2着馬セプテンバー(September)である。
ディープインパクト(父サンデーサイレンス 母ウインドインハーヘア 母父アルザオ)は、クールモアの象徴的な種牡馬サドラーズウェルズ(2011年没)の血を受け継ぐ牝馬のアウトクロス馬(異系交配種)として重用されていた。そのためクールモアは毎年、ディープインパクトと交配させるために社台スタリオンステーションに牝馬を数頭送ってきた。しかし、ディープインパクトは2019年に17歳で死んだ。
欧州でディープインパクトを支持する生産者はクールモアだけではない。
ウィルデンシュタイン家はディープインパクトから仏1000ギニー(G1)優勝馬ビューティーパーラー(Beauty Parlour)を生産し、ニアルコス家は仏ダービー(G1)優勝馬スタディオブマン(Study Of Man)を生産した。スタディオブマンは今年から種牡馬としてランウェイズスタッド(Lanwades Stud)で供用されている。
ファンシーブルーはディープインパクトの47頭目のG1優勝産駒となり、輝かしい優良馬リストに名を連ねることになった。G1を制したディープインパクト産駒には、東京優駿(日本ダービー)を制した6頭(コントレイル、ディープブリランテ、キズナ、マカヒキ、ロジャーバローズ、ワグネリアン)、国際舞台で活躍したエイシンヒカリ、フィアスインパクト(Fierce Impact)、ジェンティルドンナ、リアルインパクト、リアルスティール、トーセンスターダム、ヴィヴロスなどがいる。
ファンシーブルーは、チェンチコヴァ(Chenchikova 父サドラーズウェルズ)の第7仔である。チェンチコヴァは、英ダービー(G1)優勝馬ハイシャパラルの全妹で、ダンテS(G2)優勝馬ブラックベアアイランド(Black Bear Island)の全姉。また半姉には、優秀なデヴィッドリビングストン(David Livingston)やハンティングホーン(Hunting Horn)の母である未出走馬モラベイ(Mora Bai)がいる。
チェンチコヴァはファンシーブルーの前に5頭の競走馬を送り出している。その中には、スターアピールS(L)を制してデューハーストS(G1)で3着となったスマグラーズコーヴ(Smuggler's Cove)や、フランスでリステッド競走を2勝したキャスタートン(Casterton)が含まれる。これら2頭の父ファストネットロックは、サドラーズウェルズ系の牝馬と交配させるためにクールモアが重用するもう1頭のアウトクロス馬である。
チェンチコヴァは、現在2歳のゾファニー牝駒も送り出している。ミスチェス(Miss Chess)と名付けられたこの牝駒は、アルカナ社8月1歳セールでフェニックスサラブレッズ社(Phoenix Thoroughbreds)により22万ユーロ(約2,640万円)で購買され、現在エド・ヴォーン(Ed Vaughan)調教師に管理されている。
チェンチコヴァは現在1歳のカラヴァッジオ牝駒も送り出しており、今年はサクソンウォリアーの牝駒を出産した。この牝駒はファンシーブルーとかなり近い血統である。
By Martin Stevens
(1ユーロ=約120円)