ディープインパクト産駒、1歳の史上最高価格を樹立(日本)【生産】
日本競走馬協会(JRHA)のセレクトセールの初日(7月13日)、1歳の史上最高価格が打ち立てられた。ディープインパクト(2019年没)の牡駒が驚くべき5億1,000万円で落札されたのだ。
セリに上場されるのが最後となるかもしれないディープインパクト産駒をめぐる競り合いは、つねに慌ただしかった。現在の経済情勢を踏まえれば盛況だった今回のセレクトセールにおいて、上場されたディープインパクト産駒13頭のうち12頭が購買され、その平均価格は2億800万円であった。
1歳の史上最高価格馬となった牡駒は上場番号114番として登場した。母シーヴ(未出走 父マインシャフト)はすでに、2016年ケンタッキーオークス(G1)優勝馬キャスリンソフィア(Cathryn Sophia)を送り出している。
購買者である国本哲秀氏は、この牡駒を2015年ジャパンカップ(G1)優勝馬ショウナンパンドラ(父ディープインパクト)を手掛けた高野友和調教師に預けると述べた。
「馬主となって35年以上となりますが、これまで見た最高の1歳馬の1頭だと確信しています。1歳馬を見るためにノーザンファームを3回訪れました。そして今朝ノーザンファームの厩舎に行き、彼を購買することを決意しました。この牡駒については、価格は問題ではありません。それでも彼の素質がこの価格ぐらい高いことを望んでいます」。
上場番号56番のディープインパクト産駒も落札額が4億円に到達した。母フォエヴァーダーリング(Forever Darling)はサンタイネスS(G2)優勝馬である。この牡駒はセレクトセールで爆発的な人気を得ていた。
ノーザンファームに上場されたこの牡駒は、野田順弘氏の株式会社ダノックスにより落札された。これまでディープインパクト産駒が2度打ち立てた最高価格3億6,000万円を超える落札額となった。
野田氏のレーシングマネージャーである岡田良樹氏はこう語った。「セリ名簿に2頭の傑出した1歳馬を見つけ、この牡駒がその1頭です。ディープインパクトの典型的な産駒とは言えない大きくて力強い牡駒です。しかし、非常に良い動きをしています。1歳馬を見るために何度かノーザンファームを訪れましたが、彼はつねに素晴らしく見えました。そして、野田氏は昨日彼を見て購買することを決意しました。2400mを持ちこたえられると思うので、ダービー馬になってほしいです」。
ノーザンファームの吉田勝己氏はこう述べた。「数人の馬主がこの牡駒に興味を示していたので、高い値がつくと予想していましたが、3億円を超えるとは思いませんでした。野田氏は昨日ノーザンファームを訪れ、"今日の収穫物だ"と言いました。現在の困難な状況の下、北海道に足を運んでくださった馬主と調教師の方々に心から感謝したいと思います」。
この日の高額取引馬上位9頭のうち8頭はディープインパクト産駒だった。ラブレアS(G1 サンタアニタ)優勝馬テディーズプロミスの牝駒が3番目に高い2億4,000万円で落札された。
購買者は株式会社キーファーズである。同社の代表取締役であり、エイダン・オブライエン厩舎所属のジャパン(Japan)を共同所有する松島正昭氏は、「買い逃してはならない1頭だと思いました。相変わらず、私の夢は凱旋門賞を勝つことです。この馬は2022年の凱旋門賞を狙う1頭です」と語った。
この牝駒は松永幹夫調教師が管理するだろう。
予想されたように、仏1000ギニー(G1)・仏オークス(G1)優勝馬ラクレソニエール(La Cressoniere)の半弟となるディープインパクト産駒をめぐって激しい競り合いが展開され、金子真人ホールディングスが2億2,000万円で落札した。
この馬を上場した社台ファームの吉田照哉氏はこう語った。「金子氏は今朝厩舎を訪れ、この牡駒に魅了されました。落札額にとても満足しています。今日は予想していたよりも強力な取引が行われたことを嬉しく思っています」。
この日のセリでは合計229頭購買された。総売上額は104億2,800万円(前年比3%減)、平均価格は4,553万7,118円(前年比6%減)。売却率の92%は前年と比較してわずか1%減少しただけである。
ノーザンファームの吉田勝己氏はこの日のセリをこう締め括った。
「驚くべき取引が行われました。日本では6月19日まで移動制限があり、それまでは馬主も調教師もセリ名簿に掲載された1歳馬を見に来られなかったので、取引について心配していました」。
「総売上額についてとても満足しています。1歳セールでは2番目に高い記録です。売却率についても言うことなしです。セリを支えてくださった馬主と調教師の方々に心から感謝を表明したいと思います」。
セレクトセールは7月14日に当歳セールが行われて終了する。
By Tom Peacock