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2020年08月24日  - No.8 - 4

ペネトロメーターによる馬場状態の測定方法(フランス)【その他】


 熟練した馬券購入者は、マークシートを書く前にペネトロメーター(馬場硬度計)の数値をじっくり見る。その情報を考慮せずに馬券を買うことは不可能である。フランスギャロ(France Galop)の競馬場担当理事マチュー・ヴァンサン(Matthieu Vincent)氏はこの重要な機器、ペネトロメーターについてくわしく説明した。

パリテュルフ紙(以下Q):芝レース開催日の馬場の硬度を決定するのに、どのような機器を使いますか?

マチュー・ヴァンサン氏(以下A):各競馬場の馬場管理者はペネトロメーターを使います。この機器は1970年から存在します。1㎏の重りが1メートルの高さから落下する衝撃を受けたときの杭(断面1cm角の棒)の貫入量(単位はmm)を測定します。その数値は杭の上にある目盛に示されます。

Q:フランスギャロに伝える最終的な数値はどのように決定しますか?

A:馬場管理者は貫入量を60回測定します。それぞれの競馬場において、年間を通じた測定地点10ヵ所が決定されます(ゴール、400m地点、1000m地点、コースの交差地点など)。毎回の開催で同じ場所で測定するために、簡単に分かる地点でなければならず、できるだけ広い範囲を網羅していなければなりません。馬場管理者はそれら10ヵ所において、コース内側から2メートル・4メートルの地点で杭に3回の衝撃を与えるので、60の数値が出されます。その後、20ヵ所での3回の衝撃の合計を基にした計算が行われます(コンピュータ化されています)。フランスのどの競馬場もこのルールを順守し、ペネトロメーターとこの計算方法を用いています。

Q:世界中のどの国でも同じ方法が用いられているのですか?

A:ペネトロメーターは最もよく使われる機器です。英国では、「ゴーイングスティック(GoingStick)」が採用されています。この機器は引き抜くときの抵抗力を測定します。馬場管理者は金属の棒を地面に沈めて前後に動かします。その後、馬場の硬度を示す数値が読み取れます。ドーヴィル競馬場ではこの夏、ペネトロメーターと比較するためにゴーイングスティックの調査を再び行います。

Q:ペネトロメーターによる測定はいつ実施していますか?

A:フランスギャロの競馬場は、登録取消日(競走当日の4~6日前)にその時点での馬場状態と、競走当日の馬場状態予測、天気・風(強さ・向き)予報を発表しています。その翌日以降は毎朝10時に発表を行います。出走取消を考える関係者に情報を伝えるために10時30分よりも前でなければなりません。競走当日は第1レース発走の2時間前にペネトロメーターによる測定を実施します。その後たしかに数値は変わり得ますが、コースを1周して記録を取るのに1時間かかるので、第1レースの10分前や開催中に60回の測定を再び行うのは不可能です。その代り、第1レースの後に適切な数値に変更することはあり得ます。開催委員がジョッキーたちに感触を尋ねる場合もあります。

Q:オールウェザー馬場(PSF)はどのように評価しますか?

A:オールウェザー馬場の基準は数年前に定められました。馬場管理者は、重りを落下させる仕組みの"クレッグハンマー"という機器を使い、馬場の圧密を測定します。3つの基準「遅い(lent)」「標準(standard)」「速い(rapide)」を定めるために、ストップウォッチを持って2年にわたり多くのテストを実施しました。オールウェザーの利点は水はけが良いことで、降雨量が多くても影響がありません。トラクターとハロー車で、砂をならしたり固く締めたりできます。うまく管理すれば、ほぼ毎回標準に近い馬場を整備できます。

Q:散水はどのように行われていますか?

A:散水を管理するのは場長の仕事です。仕様書では、どのような季節でも馬場は最低限の柔軟性を確保しなければならないとされています。もし2週間雨が降らなければ、最低限の柔軟性を得るために散水します。障害競走では、馬の安全を確かなものにするためにかなり柔軟な馬場を整備しなければなりません。それは危険性の評価につながります。馬場状態が「5」を超えると調査を実施しなければなりません。逆に「2.8」を下回れば、馬の走行がいっそう難しくなります。15年前であれば午前10時の馬場状態を「2.9~3.0」と発表することもありましたが、現在ではそのようなことはありません。ますます頻繁に散水をするようになっています。馬の福祉のために「3」を下回るようなことはないようにしています。私が熟知するシャンティイ競馬場を例にとってみましょう。競馬場に雨が降れば、まんべんなく10㎜の水が溜まります。しかし散水する場合、それを一度に行うことができません。競馬場には多くの区域があり、それは15区域に上ることもあります。散水作業の最初と最後が10時間も開くことがあり、レースが始まる重要な瞬間に馬場が不均衡になっていることがあります。

Q:地球温暖化の影響を確認できますか?

A:雨が多い時期と少ない時期のサイクルがはっきりと分かるようになったと言えるでしょう。それは困難な状況をもたらしていますが、腕のみせどころです。馬場管理者は土質を熟知しています(砂を含む、泥土を含む、粘土っぽいなど)。競馬場によって特徴が異なります。水分を含むものもあれば、それほど水分を含まないものもあります。

Q:ある時期、フランスギャロは数値を発表しませんでした。

A:それは、数値が常に物議を醸すからです。しかし、競馬関係者と馬券購入者にこの情報を提供することはとても重要です。馬場状態だけではなく散水についても、完全に情報を公開すべきです。隠すことはなにもありません。

Q:人々が不満を抱き苦情を寄せるようなことはありますか?

A:苦情はときどき受けます。人々の要求は多く、それは当然のことです。しかし、私たちは全体的に良好な馬場を整備しています。馬場の問題に取り組んでいるのは能力とプロ意識が高い人々です。とりわけ問題となるのは馬場状態の伝え方ですが、この方面ではもうすぐ何かを提案できそうです。

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By François Moreau

[Paris Turf 2020年7月11日「Késako le pénétromètre ?」]


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