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海外競馬情報
2022年03月23日  - No.3 - 1

安全加算重量として騎手の負担重量を1ポンド引上げ(イギリス)【開催・運営】


 騎手たちは安全加算重量を1ポンド(約0.45 kg)増やすという動きを歓迎している。BHA(英国競馬統括機構)とのあいだで加算重量(コロナ禍のもとでサウナ廃止に伴い認められた臨時の加算重量)の廃止についての議論が長々と続いた末に、ようやく解決策を見つけたのだ。

 BHAは3月7日(月)、3ポンド(約1.36 kg)の加算重量を廃止して、その代わりに最低負担重量を2ポンド(約0.91 kg)引き上げる計画を認めた。ただし均衡を保つために安全加算重量として1ポンド(約0.45 kg)が追加される。この変更は5月2日に発効する予定。

 騎手たちは現在、3ポンド(約1.36 kg)のプロテクター加算を受けているが、修正案では一般化された安全加算重量として4ポンド(約1.82 kg)に引き上げられる。

 BHA が1月に初めて発表した加算重量の廃止は、当初は平地競走で3月26日、障害競走で4月29日に発効する予定だったが、騎手たちから落胆と怒りの声があがっていた。

 加算重量は、新型コロナの感染防止策として英国の競馬場のサウナが閉鎖されたことを受けて導入された。しかし体重を落とすためのオプションであるサウナが永久に閉ざされてしまったため、加算重量を廃止するという提案に騎手たちは強い反対の声をあげたのである。

 騎手協会(PJA)、BHA、全国調教師連合会(NTF)のあいだで2月初旬から協議が行われ、ベテラン騎手たちは平地と障害でそれぞれ最低負担重量が2ポンド引き上げられることを認めながらも、追加的な加算重量が一部維持されることを願っていた。

 PJAの会長を共同で務めるP・J・マクドナルド騎手はBHAの発表を受けてこう語った。「BHAとNTFがさらなる話し合いに応じてくれたことに満足しています。解決策を見いだすことができました。これで今後1年間やっていくことを楽しみにしています」。

 PJAのもう1人の会長であるデヴィッド・バス騎手はこう述べた。「もちろん加算重量が全体的に維持されることを望んでいました。騎手の健康に良い影響があることを実感していましたから。それでもさらに議論を重ねた結果として、最低負担重量が引き上げられるとともに加算重量の一部が残ったことに満足しています。この新しい体系が最近の騎手の健康の向上を維持しつつ、すべての騎手に同様の機会をもたらすと信じています」。

 BHAによると、新型コロナを機に加算重量が導入されて以降ずっと馬は同じ重量を背負い続けることになるが、レースカードに記載される負担重量は2ポンド引き上げられるため、競馬ファンには負担重量についての正確な情報が提供されることになるという。

 また4ポンドの安全加算重量の存在について、顧客に対してより透明性を高めるための取組みも予定されている。

 BHAのCOO(最高執行責任者)であるリチャード・ウェイマン氏はこう語った。「これらの議論のあいだ、騎手たちは日々おこる自然な体重変動に対応できるという点において加算重量がもたらす心理的なメリットを強調しました。少なくとも一部の柔軟性が維持されることは最低負担重量の引上げと同じくらい騎手の健康にとって重要であると、多くの人が述べています」。

 「しかし、新型コロナを機に一時的な加算重量を導入するという決定がさまざまな結果をもたらしてきたことも認識しています。顧客は当然のことながら透明性と正確な情報を期待しており、この加算重量の導入のために馬はレースカードや過去成績に記されているよりも½ストーン(約3.18 kg)ほど重い重量を背負うことになっていました」。

 「追加的な安全加算重量1ポンドは日々の体重の変動に対応する柔軟性を騎手にもたらすことにもなります」。

 NTFは声明にこう記している。「新型コロナを機に一時的に導入されていた加算重量を元に戻す措置に対しての議論は難しいものになると考えられていました。NTFの内外でさまざまな意見がありました」。

 「皆に広く支持されていると思われるものがある中で、最初の協議で失敗を引き起こしたこの問題についてはよく考えてみる必要があると思います。ただ私たちは最終的に到達した結果を受け入れています」。

 しかしクリス・ドワイヤー調教師は新たな体系に懸念を表明し、こう述べている。「この最低負担重量の引上げは異常です。たしかにプロテクター加算の4ポンドと最低負担重量の2ポンドの引上げは、サウナが閉鎖されてから続けられていることです。しかし、4ポンドを隠して目立たないようにするのではなく、なぜ負担重量を6ポンド引き上げることができないのでしょうか」。

 アイルランド競馬監理委員会(IHRB)はアイルランドの競馬場にある検量室のサウナが5月初旬から永久に閉鎖されることが確認されたため、騎手の安全加算重量を4ポンド(約1.82 kg)に引き上げる予定である。
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By Andrew Dietz

[Racing Post 2022年3月7日「Jockeys receive additional 1lb safety allowance as BHA confirms weights rise」]


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