ニューマーケットのオールウェザー馬場敷設計画が明らかに(イギリス)【開催・運営】
ニューマーケットへの敷設が提案されているオールウェザー馬場のさらなる詳細が明らかになった。ローリーマイルコースの裏手に右回りコースを設置する計画が発表されたのだ。
この照明付きのオールウェザー馬場の詳細は、3月30日(水)まで続く協議の中で一般に公開されている。ジョッキークラブ(Jockey Club)はこの街の将来のビジョンの一環として、調教場・住宅・公園などもあわせて提案している。
公開されている計画のなかで最も目を引いたのは、調教・競馬施設のレイアウトだった。右回りのオールウェザーコースには、ホームストレッチに6ハロン(約1200m)の引き込み線があり、バックストレッチには10ハロン(約2000m)の引き込み線がある。
このオールウェザー馬場は、ローリーマイルコースの裏手の"サウスフィールズファーム"と呼ばれる調教用地に敷設される。この施設には小型スタンドが建設され、サンタアニタ競馬場(カリフォルニア州)にある有名な"クロッカーズコーナー"になぞらえて"クロッカーズタワー"という見学所が設置される予定である。
このプロジェクトは2024年地方計画に取り入れられたとしても、実現するのは少なくとも4年後になるだろう。また将来、サテライトヤード(滞在厩舎)としての一体利用も見込むスターターヤード(新規開業調教師のための厩舎)を併設するほか、ジョッキークラブ所有のパインウッドスタッド(ハミルトンロード)への住宅建設や、同じエリアへの公園の建造も計画されている。
ジョッキークラブは5年前、このエリアに総工費1,000万ポンド(約16億5,000万円)の坂路コースを敷設する計画許可を取りつけた。それは街の反対側にある有名なウォーレンヒルの走路と同様の傾斜のある調教コースを作り出すためのものである。ただそれ以降、さらなる展開はなかった。
ジョッキークラブ競馬場社(JCR)の東部担当理事であるエイミー・スターキー氏はこう語った。「ニューマーケットはほぼ400年のあいだ、ジョッキークラブの本拠地であり続けてきました。今日は、この街が長期的に繁栄するためにジョッキークラブがどのような役割を果たすかについての新たな対話の出発点です。それは地域としての繁栄、そして世界で最も重要な競馬の拠点としての繁栄でもあります」。
「『letsplayourpart.co.uk』が3日間の協議のあとに立ち上げられ、誰もがプロジェクトを自らの目で見てコメントできます。おそらくクレイヴン開催(4月12日~14日)でもふたたび協議を行います。これは5月のウエストサフォークの地域計画に先立つものであり、"土地開発のための意見募集"の一部です」。
「私たちはまず、地元の人々と会話して彼らの意見を聞いています。それに従い、これらのうちどの提案を今後20年間にわたるであろうプロセスに乗せるのかを決定します」。
サイモン・クリスフォード調教師はこの計画を賞賛しこう語った。「調教の観点からすると、このコンセプトは大きな可能性を秘めています。調教師はいっそう柔軟に対応できるようになり、さらに攻馬手の配置や作業の進め方に関してずっと効率的な調教方法がもたらされるでしょう」。
「より広い観点で言えば、豪州・米国・ドバイで広く採用されている調教モデルが、英国の調教にどのように適用されるのかを確認できるのはとても重要なことです。馬をより良く調教する方法に関し本質的な変化がもたらされるかもしれません」。
ハミルトンロードを拠点としているレイ・ゲスト調教師は、「これが実現すれば素晴らしい調教施設になるように思います。馬を出走させるために移動しなくてもよくなりますから。ハッチフィールドファームが建設される前でさえも街の中心では交通の不便がかなりあるため、住宅開発にはあまり乗り気ではありませんね」と語った。
一方クリス・ドワイヤー調教師は、「この計画が実現すれば間違いなくニューマーケット競馬場に出走馬を集めることができるでしょう。ただ今のところ、まだ先の話になりそうですね」と述べた。
このジョッキークラブのプロジェクトにゴーサインが出れば、英国で7つ目のオールウェザーコースが誕生し、右回りのオールウェザーコースはケンプトン競馬場に次いで2つ目になる。
ジョッキークラブは2017年、ケンプトン競馬場を閉鎖して住宅を建設するための埋め合わせとして、ニューマーケットのリンクス・ゴルフクラブの脇にある土地にオールウェザーコースを建設する計画を提案していた。
By David Milnes
(1ポンド=約165円)
(関連記事)海外競馬ニュース 2017年No.37「ニューマーケットの坂路建設計画にゴーサイン(イギリス)」、2022年No.10「ニューマーケットのオールウェザーコース構想が再浮上(イギリス)」