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2023年10月20日  - No.10 - 5

デットーリ騎手、引退を撤回し米国で現役続行(イギリス・アメリカ)【その他】


 フランキー・デットーリ騎手(52歳)は今年末の引退計画を撤回した。そして米国拠点のフルタイムのジョッキーとしてキャリアを無期延長することになる。
 10月12日(木)朝に本紙(レーシングポスト紙)の取材に応じたデットーリ騎手によると、"さよならツアー"で成功したことによって、輝かしいキャリアに新たな章を書き加えるための時間が残されていることを確信したという。そして今や、ケンタッキーダービー(G1)で有力馬を確保することを第一の動機としてカリフォルニアに移籍しようとしている。
 デットーリ騎手は10月21日(土)の英国チャンピオンズデー(アスコット)で英国競馬界に別れを告げるつもりであると述べたが、ロイヤルアスコット開催や欧州の主要レースでふたたび騎乗する可能性も否定できないことも認めた。
 デットーリ騎手の長年の盟友であるジョン・ゴスデン調教師は10月7日(土)にインスパイラルがサンチャリオットSで優勝した後、リーディングに3度輝いたデットーリ騎手が引退することはないとほのめかしていた。それによりデットーリ騎手から何か発表があるのではないかという噂が流れていた。
 デットーリ騎手は本紙に対してこう語っている。「今年こんなに成功するとは思っていませんでした。すべての力を発揮し切らないといけないと感じていて、米国にフルタイムのジョッキーとして移籍するのは自然な選択でした。昨冬、米国でとてもいい時間を過ごせましたからね。サンタアニタを拠点にするつもりですが、騎乗できる馬がいればドバイやサウジアラビアの国際舞台でも少し乗ってみたいですね」。
 「ここ数週間、この件について考えてきましたが、何かを言う前に細心の注意を払いたかったのです。家のことはもう整理がつきました。子どもたちも落ち着きましたし、我が家は賃貸となりました。それに大変心配だったビザも取得できました。ビザ取得には長い時間が掛かりましたが、ついに手に入れたのです。もう旅立つ準備はできています」。
 デットーリ騎手は、イボア開催(ヨーク 8月23日~26日)での経験が2024年も騎乗を続けることを決意させたと説明した。その開催では、水曜日の英インターナショナルS(G1)で重要な勝利を収め、土曜日にはシティオブヨークS(G2)とイボアHを制したのだ
 「ヨークの後に考え始めたのです。引退を決意したとき、今年がこれほど良い年になるとは思っていませんでした。おそらく2019年以降で最高の年でしょう。騎乗が尻すぼみになっていってゆっくりと黄昏を迎えると思っていたのです。ところがたくさんの騎乗依頼があり、それが今回の決断の引き金となったのです。今年成功したことで、今はまだやめる準備ができていないと感じています」。
 「それでも英国チャンピオンズデーにアスコット競馬場で最後のお別れをするのを楽しみにしています。その後、新しい未来のためにクリスマス直前に南カリフォルニアに引っ越します。フリーランスになるために米国に行くのですが、昨年末に米国に行ったときのようにどのような騎乗も引き受けたいと思っています。3ヵ月になるかもしれないし、3年になるかもしれません。わかりませんね。どのような状態になるかによります」。
 来年のロイヤルアスコット開催で騎乗する可能性はあるかと聞かれて、デットーリ騎手はこう答えた。「そういう質問をされるのは理解できますよ。でも今のところ、ケンタッキーダービーより先のことは考えていないのです。ケンタッキーダービーでまずまずの騎乗をすることを目標としています。だから、その質問にはまだ答えられませんね」。
 「過去には米国人ジョッキーがロイヤルアスコットにやってきて、ウェスリー・ウォード調教師のような人々のために騎乗していたことがあります。米国の競馬日程との兼ね合いにもよるでしょう。米国に行って、そこできちんと活躍できるようになることに全力を注ぐつもりです。ヨーヨーのように米国と英国のあいだを行ったり来たりすることできません。それは不可能ですね」。
 「英国でのふたたび騎乗するかについての質問には、時期が近づいてから答えるつもりです。今のところは分からないので、イエスともノーとも言えませんね。いずれ明らかになるでしょう」。
 デットーリ騎手は英国での最後のシーズンに数々のG1競走で優勝した。カルディーンで英2000ギニー(G1)、ソウルシスターで英オークス(G1)、そしてクラージュモナミでゴールドカップ(G1 ロイヤルアスコット開催)を制したのだ。また、シティオブヨークSではラルフ・ベケット厩舎のキンロスに騎乗して勝利を収めた。
 ベケット調教師は、米国でキャリアを続行するというデットーリ騎手の決断についてこう語った。「もちろん朗報ですよ。フランキーは好調ですし、元気で健康ですから。長く続けるほどよくなっていくのではないでしょうか。彼は今シーズン、素晴らしい騎乗を見せてくれましたね。おかげでうちの厩舎も何勝か挙げることができました。また何度かそういうチャンスがあることを願っています」。
 チャーリー・ヒルズ調教師はこう述べた。「素晴らしいですよね。冬のあいだに米国で見事な騎乗をするでしょうし、良いサポートも受けられるでしょう。彼がいつまで続けるかのは誰にも分かりません」。
 ブックメーカー各社はデットーリ騎手が来年ふたたび英国で騎乗することに低いオッズをつけており、ウィリアムヒル社はデットーリ騎手のロイヤルアスコットでの勝利に3倍のオッズをつけている。
 ウィリアムヒル社の広報担当のリー・フェルプス氏はこう語った。「フランキー・デットーリ騎手は今シーズンを通じて絶好調だったので、引退の決定を覆したのです」。
 「冬に米国や中東に行っても幸運は続きそうなので、英国競馬からの引退を表明しているものの、来年のロイヤルアスコットで勝利を挙げることに3倍のオッズをつけました。ケンタッキーダービーでの優勝経験はありませんが、2024年に達成される可能性もなくはありません。だから、オッズ17倍としています」。
 グレート・ブリティッシュ・レーシング(GBR)のCEOであるロッド・ストリート氏は、デットーリ騎手が来年英国で騎乗しなくてもレガシーはすでに築かれていると述べた。「フランキーは英国競馬界に現れた天賦の才をもつジョッキーです。彼はこのスポーツを超越した稀有な存在です。30年以上にわたってトップレベルで活躍しているのです。アスリートとして40年にわたってトップであり続けることは驚くべき偉業であり、そのような息の長いキャリアを誇るアスリートはほとんどいません」。
 「フランキーは常に競馬場にうっとりとするような魅力をもたらし、競馬が新たな観客に届くように手助けしてくれました。その能力は計り知れません。彼が長年にわたって競馬のために尽くしてくれたことすべてに、心から感謝しています」。


By Lee Mottershead

(関連記事)海外競馬ニュース 2023年No.37「デットーリ騎手の引退は本人の意に反したものではなかろうか?(イギリス)

[Racing Post 2023年10月12日「'It could be three months. It could be three years' - Frankie Dettori cancels retirement plan and will move to America」]


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