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2024年01月19日  - No.1 - 1

ケンタッキーダービーの総賞金、500万ドルに増額(アメリカ)【開催・運営】


 第150回ケンタッキーダービー(G1 5月4日)の総賞金は300万ドル(約4億3,500万円)から500万ドル(約7億2,500万円)に引き上げられ、創設以来の最高額となる。チャーチルダウンズ競馬場は1月10日にこの賞金増額を発表した。

 ケンタッキーダービーを4勝しているD・ウェイン・ルーカス調教師は、「ダービーにふさわしい金額に引き上げられたのですね」と述べた。

 この賞金増額によりケンタッキーダービーは、現在北米最高の総賞金600万ドル(約8億7,000万円)を誇るBCクラシック(G1)に最も肉薄することになった。ルーカス調教師は「BCクラシックとケンタッキーダービーは、米国の2大レースであるべきだと思います」と、この動きを喜んだ。

 このケンタッキーダービー(3歳限定 ダート約2000m)の賞金増額は、チャーチルダウンズ競馬場の春開催(43日間:2024年4月27日~6月30日)で施行されるステークス競走50レースの賞金総額を記録的な2,560万ドル(約37億1,200万円)にまで押し上げる。昨年の2,050万ドル(約29億7,250万円)から25%にあたる510万ドル(約7億3,950万円)が引き上げられるかたちだ。ゲーム機"ヒストリカル・ホースレーシング(HHR)"からの資金がケンタッキー競馬を潤し続けているのだ。チャーチルダウンズ社(CDI)は昨年12月、ルイビルの中心地に2軒目のHHRゲーミング施設をオープンした。

 2018年9月にCDIのダービーシティゲーミング(チャーチルダウンズの場外トレーニング施設の近くにある)でHHRが運営開始される前は、その年の春開催でステークス競走は32レース施行され、賞金総額は880万ドル(約12億7,600万円)だった。現在では18レース増え、賞金総額は190%にあたる1,680万ドル(約24億3,600万円)も増加している。

 チャーチルダウンズ競馬場のダービーウィークの発売金が、遠方からの強豪馬の参戦により好調を保ち続けていることも賞金増額に寄与している。
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 CDIのCEOビル・カースタンジェン氏は、「この記録的な賞金増加はケンタッキー競馬の健全性を象徴するものです。CDIは過去5年間でケンタッキーの競馬とヒストリカルレーシングに10億ドル(約1,450億円)以上を投資し、ダービーウィークと通年の競馬番組全体を有効に強化してきました。州議会がケンタッキー州の代表産業の継続的成長を支えるために、パートナーシップを通じて民間企業との緊密な連携に尽力していることは評価できます」と語った。

 ケンタッキー州は2021年初め、HHRゲーミングをパリミュチュエル賭事に該当するものであると明確化する法案を可決した。

 ケンタッキー州ホースマン救済協会(KHBPA)の新たな専務理事であるアレックス・フォーリー氏は、「州議会にとびきりの賛辞を贈らなければなりませんね。 彼らがいなければ、私たちがここまでたどり着くことはなかったでしょう」と述べた。

 2024年春開催(4月27日~6月30日)には38のステークス競走の賞金が大幅に引き上げられ、その中には25万ドルの引上げが行われる以下の競走が含まれる。
joho_2024_01_02.PNG また、ターフクラシックS(G1芝)やスティーヴンフォスターS(G1)を含むG1・7レースの総賞金はすべて100万ドル(1億4,500万円)以上とされる。

 高額賞金により馬がひきつけられ、ケンタッキー州の競馬場は米国最多といえる出走頭数を誇るようになったのだ。

 ルーカス調教師はチャーチルダウンズの出走頭数増加について、「とても堅調に正しい方向に向かっていると思います。賞金体系は間違いなく常に、質の高い馬が残るか去るか、そしてそれらの馬がどこのステークス競走を目指すのかの決め手になります。賞金体系がとても強力なものに保たれているうえに、施設は絶えずアップグレードされていると思います」と語った。

 そして、「ここが米国一のフラッグシップ競馬場になれない理由などどこにもありません。馬のメッカの真ん中にあります。石を投げれば馬の牧場に当たるのです」と付け足した。

 ケンタッキーダービーの賞金増額は競馬界全体から喝采を浴びた。ヒルンデール・アット・ハラパ牧場のオーナーであるジョン・シクラ氏は長年にわたり、ダービーの賞金を引き上げてもっとレースの格に見合ったものにすることを主張してきた。

 「チャーチルダウンズはレースの宣伝とマーケティングで大成功を収めてきました。何年も前からホースマンたちが恩恵を受けるべきだと感じてきました。延び延びになっていたことですが、言うまでもなく感謝しています。来年はケンタッキーオークスの賞金を200万ドル(約2億9,000万円)か250万ドル(約3億6,250万円)に引き上げてほしいですね。このようなビッグレースを勝ったら、高額賞金を支払う必要があります。ダービーの賞金増額はホースマンへの敬意、そしてこのレースに勝つことがいかに難しいかを示すものです。とても素晴らしい意思表示なのです」。

 ケンタッキーダービーの総賞金が過去最高の500万ドル(約7億2,500万円)に引き上げられたことで、優勝馬関係者は誰もが欲しがるゴールドトロフィーと1着賞金310万ドル(約4億4,950万円)を受け取ることになる。また優勝馬は現役引退後に種牡馬としてさらに数百万ドルを稼ぐ可能性もある。
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 チャーチルダウンズ競馬場のマイク・アンダーソン理事長はこう語った。「チャーチルダウンズの競馬開催、そしてケンタッキー州全体の競馬産業と生産界が着実に成功しているのを目にするのはとても喜ばしいことです。これらは世界中の競馬ファンのあこがれの的になってきました」。

 ルーカス調教師は1月10日の発表前にあっても、賞金増額がダービーの出走頭数に顕著な影響を与えるとは考えていなかった。ダービーは毎年20頭近くの出走馬をひきつけてきたからだ。そしてホースマンたちがダービーをスキップして二冠目のプリークネスS(G1 ピムリコ 総賞金150万ドル)などを目指すのには賞金以外の理由があることが多いと考えている。

 今年は三冠目のベルモントS(G1)がベルモントパーク競馬場の工事にともないサラトガ競馬場に移され、総賞金が150万ドル(約2億1,750万円)から200万ドル(約2億9,000万円)に引き上げられる。2014年以来の大幅な増額である。

 スターライトレーシング社(馬主グループ)の共同設立者でありマネージングパートナーであるジャック・ウルフ氏は、チャーチルダウンズのダービーの賞金増額という決定を賞賛した。ただし、この競馬場が殿堂入りトレーナーのボブ・バファート調教師がダービーに参加することを禁止し続けていることに反対している。2021年のダービーでメディーナスピリット(ゼダンレーシングステーブル所有)が1位入線後にベタメタゾンの陽性反応を示して失格となったため、バファート調教師はダービーに管理馬を出走させることを禁じられているのだ。この失格処分については現在も係争中である。

 スターライトレーシング社はこれまで14回のダービーに挑戦してきて、ほかの馬主と組んで2勝している。2018年に三冠馬ジャスティファイで初優勝を達成し、2020年にオーセンティックで勝利をつかみ取ったのだ。

 ウルフ氏はこう語った。「まあ、明らかに権威あるレースではありますね。チャーチルダウンズは世間の評価や批判の観点から増額を迫られていたのだと思います。もし500万ドルに引き上げなかったとしても、ホースマンたちはどうするつもりだったのでしょうか?出走登録しなかったのでしょうか?」

 もちろんホースマンはケンタッキーダービーを常に目標としている。ルーカス調教師はその熱意に見合う賞金が用意されたことに満足しており、こう語った。

 「ダービー制覇の可能性を信じていた人が回避するなんて考えられないですね。妥当なチャンスがあると感じたら、総賞金500万ドルのレースをスキップすると思えません。そのようなことが起こるときは大抵、根本的な理由があるのです。おそらく馬がピークに達していないのでしょう。特別な日に全力を出せる態勢にないのでしょう」。

 5月3日(金)のケンタッキーオークス(3歳牝馬限定 ダート約1800m)の総賞金は150万ドル(約2億1,750万円)となり、米国最高賞金を誇る3歳牝馬限定戦であり続ける。
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 88歳のルーカス調教師は「素晴らしいニュースですね。もっと若かったらよかったなぁ」とジョークを飛ばした。
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 ケンタッキーダービーウィークに施行される芝4競走の出走馬は、欧州で最も権威のあるレースに出走登録できるようになり、遠征補助費が提供される。ロイヤルアスコット開催のレースもその対象に含まれる。現在のチャーチルダウンズの芝コースは2022年から2023年にかけてたびたび問題が生じたために、秋開催が終了した11月に使用を中止せざるを得なかった。日照時間が短く低気温の秋開催では通常より多くの問題が起こる。

 チャーチルダウンズ春開催の最初のコンディションブックは、競馬担当副理事長であるベン・ハフマン氏により最終承認され1月下旬に発行される予定。賞金総額5,700万ドル(約82億6,500万円)以上が提供される見込みである。未勝利戦の総賞金は12万ドル(約1,740万円)、アローワンス競走の総賞金は12万7,000~14万1,000ドル(約1,842万~2,045万円)に設定される。

 フォーリー氏は、ケンタッキーは"米国で馬を出走させるための場所"であると宣言した。

By Eric Mitchell, Bob Ehalt, Byron King and Sean Collins

(1ドル=約145円)

[bloodhorse.com 2024年1月10日「Churchill Increases Kentucky Derby Purse to $5 Million」]


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