"ライトアップレーシング（Light Up Racing　以下ライトアップ）"が始動した。これは、競馬界の透明性・認知度・説明責任の道筋を照らすべく、業界関係者の熱意あるグループが主導するイニシアチブである。

　ライトアップは、プライス・ベル氏（ミルリッジファーム社長）、ロドリック・ワックマン氏（ロドリック・ワックマン・ブラッドストック社代表）、ジェイソン・リット氏（リット・ブラッドストック社代表）、ジェフ・バーク博士（セントラルケンタッキーを拠点とする馬獣医師）などの業界関係者が陣頭指揮を執っている。また、キックコレクティブ（Kick Collective）が、マーケティングとコミュニケーションを推進する。キックコレクティブは豪州拠点のイニシアチブ、キックアップフォーレーシング（Kick Up for Racing　以下キックアップ）を支援したマーケティング会社である。

　ライトアップの創設者の1人であるプライス・ベル氏は、「豪州のキックアップのインパクトある取組みに触発され、米国でも同じようなチャンスがあると信じているのです」と説明する。

　そして、「キックアップは草の根レベルの教育と関係構築を通じて、一般の人々に豪州競馬に関する情報を提供しているのです。その成功の基盤には、データと事実に基づいた情報を使って透明性を提供していること、馬にアクセスしやすくしていることがあります。これにより、馬に関する説明責任を果たす文化が生まれました。私たちにも業界関係者の集合的な声を支持して活気づける同様のチャンスがあると信じています」と続けた。

　2022年に発足したキックアップはまたたくまに豪州競馬産業にとって貴重なリソースとなった。そのコンテンツは競馬をめぐる共通の関心事への対処に焦点を合わせている。ウェブサイトやSNSを通じてデジタル空間での存在感を高めていることに加えて、キックアップは競馬に関する誤情報に対処して、前向きなストーリーをネットワークで共有できるコミュニティを育成してきた。

　ゴドルフィン・オーストラリアの社長であり、豪州を代表するレース、メルボルンカップ（G1　フレミントン）を開催しているヴィクトリアレーシングクラブ（Victorian Racing Club）の理事を務めるヴィン・コックス氏はこう語った。

　「競馬に反対する団体は十分な資金を得て、うまく組織されていて、競馬界に対する世間一般のストーリーを形成することが許されてきました。それに異議を唱えられることもなかったのです。キックアップが介入し、このような団体によって広められた誤情報を正すため事実に基づいた記事を提供してきました。これにより競馬支援者に力を与え、勇気づけてきたのです」。

　「メルボルンカップカーニバルをめぐるソーシャルキャピタル（人々のあいだの信頼関係や、地域社会におけるつながりのこと）はかつてないほど強力なものになっています。いくつか聞いた例に基づくものですが、キックアップのチームが達成した仕事はとても大きなインパクトがあると強く確信しています」。

　同じようなテーマにおいて、ライトアップの第一の目標は、透明性のある情報と精選された調査によって業界コミュニティに正確な知識をもたらすことである。

　ライトアップが挑戦する業界のあらゆる課題は、根本的な問いかけ「馬にとっての最高の利益は何なのか？」によって対処される。全米馬臨床獣医師協会（AAEP）の元会長であるJ・R・コフマン博士はこの心情をくみ取り、こう記している。「ある課題に対する答えが馬の福祉に基づいて導かれるかぎり、競馬に従事する人々の基本的な問題の解決にとっても長期的には最良の結果をもたらすことになります。私たちは馬のためにここにいて、そのコンセプトに対応すればするほど、個人としても組織としても伸びていくのです」。

　ライトアップの活動の中心にあるのは、団結することで大きな変化をもたらし、競馬産業の進化を促すことができるという確信である。ライトアップは次のことに尽力している。（1）しばしば業界を取り囲む秘密の壁を取り除くこと、（2）懸念をもつ一般の人々や外部メディアと有意義な会話を交わすための知識と自信を業界関係者に与えること、そして最も重要なこととして、（3）馬の安全を最優先した十分な情報に基づく意思決定が行えるように必要な情報を提供すること。一丸となって積極的に前向きな変化を促し、最良の方法（ベストプラクティス）の採用を推進していく。

　ヘレン・ケラーの言葉を借りれば、"私たちがひとりで出来ることはほとんど無い。私たちが一緒に出来ることはたくさんある"。よりサステナブルで、透明性が高く、いっそう安全な競馬産業を目指す改革の旅に乗り出すにあたり、馬主・競馬従事者・生産者・ファンにかぎらず、競馬に情熱を傾けるすべての人々を歓迎する。

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