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2024年11月20日  - No.11 - 3

フランス競馬界、競馬賭事税引上げに反対するデモ行進を実施(フランス)【開催・運営】


 フランス競馬界のリーダーたちは、競馬賭事税引上げへの懸念は政府に理解してもらっていると考えているが、なりゆき任せにはしなかった。11月7日(木)、数千もの騎手・調教師・厩舎スタッフ・生産者・競馬場職員がパリ街頭をデモ行進したのだ。

 彼らはフランスの各地から駆けつけた。ブルターニュ地方の白と黒の旗が堂々とはためく傍らで、コルシカの競馬関係者もまた旗を掲げていた。スター騎手たちは、馬を世話する厩務員たちとともに1万人もの群衆のなかに混じっていた。

 競馬を運営する人々の姿もあった。彼らは競馬賭事税の引上げを思いとどまるように、ミシェル・バルニエ政権を説得しなければならない。政権は追加収入源を見つけるべく財政のクッキー缶を隅々まで探っているのだ。フランスギャロ(France Galop)、ルトロ(Le Trot フランス速歩競走協会)、PMU(フランス場外馬券発売公社)の会長や事務総長は「税をやめろ」というストレートなメッセージが書かれた巨大な横断幕の傍らに立っていた。

 フランスギャロのギヨーム・ド・サン-セーヌ会長とルトロのジャン-ピエール・バルジョン会長が11月6日(水)にローラン・サン-マルタン予算大臣と会談したことを受け、競馬界には明るいBGMが流れていた。しかしフランスギャロのエリー・エノー事務総長が指摘するように、憲法49条3項の特例を用いて国民議会で採決なしで社会保障予算が可決されるリスクは依然として残っている。

 エノー事務総長はこう述べる。「多くの政府関係者と意見交換を行っています。彼らは農業の状況を把握していて、税負担の増加が業界全体に支障をもたらすことをしっかり理解しています」。

 「会談はとても前向きなものでしたが、それが最終的な形として保証されているわけではありません。それゆえ、この抗議デモが非常に重要なのであって、木曜日のすべての競馬開催を中止するという苦渋の決断を下したのです」。

 デモ参加者については、シャンティイの調教師の場合、姿を見せなかった人を挙げるほうが簡単なほどだ。騎手たちも期待を裏切らなかった。この日、ノエル・ジョージ、フェリックス・ド・ジルズ、ジェームズ・レヴェリー、チャーリー・プリチャードといった英国出身の騎手は全員現れた。英国の国会議事堂では想像しがたい光景だろう。

 クリストフ・スミヨン騎手は国際ポニーアカデミーを設立して、このスポーツを担う次世代への献身をすでに示していた。彼はフランスの競馬の将来がかかっていることで、このデモ行進に参加することを決意した。

 「キャリアが終盤に近づき幸運にも成功を収めることができた私のような者にとって、不安はあまりありません。ただ、この業界では月末のたびに帳簿をにらんで、やっとのことで事業を継続している人がたくさんいます」。

 「現在であっても、そのうちどこかの時点であっても税が引き上げられれば、一部の人々にとって決定的な違いが生じる可能性があります。政府は競馬がフランスにとって大切な産業であること、すでに年間9億5,000万ユーロ(約1,567億5,000万円)を納税していることを認識する必要があります」。

 「わずかな税率でもアップすれば、競馬従事者やその家族は大きな危機にさらされることになります」。

 スミヨン騎手はこう続けた。「イタリア、ベルギー、スペイン、それにドイツでさえも、近年周辺国では状況が変化しています。競馬のレベルが低下しています。それらの国では生産頭数が減少し、現役の競走馬も減っています」。

 「フランスでは競馬はまだ堅調に運営されています。これから数ヵ月のうちに何が起ころうとも、現時点でこのデモ行進の先頭にいる人々がこのスポーツを守り続けてくれることを願っています」。

 実際には深刻な時期を迎えている。当初の政府のプランでは、繋駕競走を含む競馬界の収益は年間2,000万~5,000万ユーロ(約33億~82億5,000万円)減少すると推定されている。

 いずれにせよ、このデモ行進はいかにもフランス的であるものの、競馬文化に深く根ざしたものだった。オフィスビルの建設作業員やレストランのスタッフは興味津々で首を伸ばして覗き込んでいた。デモ行進を率いていたのは2頭の漆黒の馬であり、一頭は騎乗され、一頭はシルキー(繋駕競走で使われる馬車)を引いていたのだ。そのあいだ、スピーカーからは近年のアメリカ賞(繋駕の最高峰レース)と凱旋門賞の実況が大音量で流れていた。

 トラックに積まれた拡声装置の電源が一時的にダウンしたとき、5人編成のブラスバンドが穴を埋め、粋な曲調の『ピンクパンサー』、そしてブラックユーモアたっぷりの『ミッション・インポッシブル』を演奏した。

 フランソワ・ロオー調教師は南西部の拠点であるポーから駆けつけた。そして、一日をこう総括した。「私たちは皆、同じ理由でここに集まりました。競馬はすでに良い状態とは言えません。この増税が"とどめの一撃"になるかもしれないのです」。

 「フランス全土から繋駕競走を含む競馬界の人々が集まっています。私たちが存在すること、そして生計を立てていかなければならないことを示すのは、本当に重要なことです」。

訳注:最終的にこの競馬賭事税引上げ案は撤回されることとなった]。

By Scott Burton

(1ユーロ=約165円)

[Racing Post 2024年11月7日
「French racing and trotting unite in opposition to tax threat as thousands take to the streets of Paris」]


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