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海外競馬情報
2024年02月21日  - No.2 - 2

欧州の重賞競走・リステッド競走が減少(欧州)【開催・運営】


 ヨーロッパ・パターン競走委員会(EPC)が2月13日にプログラム変更を発表したとき、ジェイソン・モリス委員長は注意を促した。2024年に欧州全体で施行されるブラックタイプ競走(訳注:セリ名簿の血統紹介欄に記載された馬名のうち、優勝または入着した実績を太字その他の書体により識別表示するための基準となる競走)の総数が826レースとなり、2023年の838レースから1.4%減少するのだ。

 2024年のEPC認定の重賞競走とリステッド競走はそれぞれ415レースと411レースであり、2023年の418レースと415レースを下回る。

 モリス委員長はこう語った。「EPCは、競馬界と生産界が欧州のブラックタイプ競走の質に最大限の信頼を寄せることができるように、国際的に認められる質を維持するために最も厳格な措置を取っています。しかし、今回の減少には欧州のブラックタイプ競走の憂慮すべき全体的なレーティング低下が影響しています。再検討を要するレースが増加していて、とりわけ多くの3歳戦が必要条件を満たすのに苦労しています」。

 「優良馬の海外流出の増加が伝えられていることが、EPCの心配の種になっています。欧州の主要競馬国は特にミドルディスタンスと長距離の分野に重心を置きながら、国内外の競馬番組を維持すべく十分に質の高い馬を継続的に生産して確保するために熱心に連携し合っています」。

 BHA(英国競馬統括機構)の平地パターン競走委員会は2競走をG1に昇格させようと試みたが却下され、不満を隠せない様子だった。

 ロングディスタンスカップ(G2 英国チャンピオンズデーに実施)とシティオブヨークS(G2 イボアフェスティバルに実施)の昇格について、EPCではそれを可能とする全会一致の支持が得られなかった。

 EPCのメディアリリースには、シティオブヨークSに関する決定についてこう記されている。「英国は長年にわたりこの7ハロン(約1400m)のレースのG1昇格を望んでおり、その願望はよく知られていました。それゆえ昇格が叶わなかったことは大変残念です」。

 BHAの国際競馬・競馬発展担当理事であるルース・クイン氏はこう語っている。「シティオブヨークSが英国初の7ハロンのG1競走となるように、10年以上もの歳月を費やしてきました。EPCからの公然たる後押しを受け、このレースは2023年に必要なレーティングを達成しました。しかし残念ながら、EPCは今回全会一致でこの昇格を支持できなかったようです」。

 クイン氏は、BHAは今後も2競走の昇格を求めるキャンペーンを続けていくと述べ、こう続けた。

 「BHAはEPCと協力していくことにまだ希望を持っています。私たちの願望が叶えば欧州のパターン競走に総体として利益をもたらす理由を証明していきます。また、ロングディスタンスカップが待望の末に大いに価値のあるG1競走となることを願っています。英国にいる私たちは、欧州のレースが国際舞台において連携を通じていっそう確固たるものになることを信じ続けているのです」。

 2024年のパターン競走プログラムで最も大きな変更は、サンタラリー賞(ロンシャン)がG1からG2に降格することだ。サンタラリー賞の過去4年の平均レーティングは108.43であり(コロナの影響を受けた2020年シーズンは除く)、3歳牝馬のG1競走に必要なレーティング111を2½ポンド以上も下回っている。この降格は全会一致ではなく過半数の賛成により決定した。

 フランスギャロ(France Galop)の副事務総長であるアンリ・プレ氏は、「とりわけサンタラリー賞のG2への降格にはがっかりしましたが、質を維持するためのルールは明確に定められています」と語った。

 これにより、ここ数年に十分なレーティングに到達していないリステッド競走や重賞競走を徹底的に見直す必要に迫られている。フランスギャロのギヨーム・ド・サンセーヌ会長は最近、フランスのリステッド競走と重賞競走について特別に審議する委員会の設立を決定した。

 英国のパターン競走プログラムで最も大きな変更は、ソヴリンS(G3 ソールズベリー)、ガントンS(L ヨーク)、スカーブラS(L ドンカスター)の喪失である。

 英国において2024年の施行状況次第で格下げの可能性があるレースは、コモンウェルスカップ(G1 ロイヤルアスコット開催)、テンプルS(G2 ヘイドック)、チェスターヴァーズS(G3 チェスター)である。

 クイン氏は優良馬が欧州から去ってしまうという懸念についてこう述べた。「EPCはより広範にわたる競馬戦略の中で多大な貢献をしています。特に国際舞台での地位を維持するために、十分に質の高い馬の継続的な生産と確保にインセンティブを与えている点で成果をあげています」。

 「特に、ミドルディスタンス馬とステイヤーに重心を置き続ける必要があります。私たちのパターン競走は依然として揺るぎないものですが、いくつかの分野では明らかにほころびが見え始めており、競馬界はいささか緊急にこれらに対処する必要があります」。

By David Carr/Racing Post

[bloodhorse.com 2024年2月13日「European Pattern Committee Makes Some Cuts to Stakes」]

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