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2024年02月21日  - No.2 - 3

カリフォルニア州、産駒数と競走数が減少する中で将来を模索(アメリカ)【開催・運営】


 カリフォルニア・サラブレッド馬主会(Thoroughbred Owners of California:TOC)の会長兼CEOであるビル・ネーダー氏は1月、州における産駒数減少とサラブレッド競走数減少の関係を示す一枚の憂慮すべき表をカリフォルニア州競馬委員会(CHRB)に提出した。

 州の産駒数減少あるいは競走数減少のいずれか一方の指標がもう一方に影響を及ぼしているのかどうかは明らかではないが、折れ線グラフにすると2つの指標がおおむね鏡のように互いを映し出している点は確かに興味深い。カリフォルニア州の2023年の産駒数は1,314頭で2005年から66%減少しており、2023年の競走数は2,780レースで2004年から42%減少している。

 経済学者のローレン・スティロー氏は、競走数とサラブレッド生産のあいだに同様の関係があると見た。そして2022年に米国ジョッキークラブの競馬の諸問題に関する円卓会議で、「競走数は時間とともに減少しています。産駒数減少と高い相関関係があり、そこにもっと豊かなストーリーがあるのは明らかです」と報告している。

 もちろん、カリフォルニア州が抱えている問題はこれまでもたくさん書かれてきた。検討に値する理由はいくつもあるが、問題の大半はゲーミングの追加により賞金や競馬場への資金を得られないことに起因すると言っても差し支えないだろう。それは全米の競馬界にとって進むべき道であったが、カリフォルニア州は逃してしまったのだ。

 ゴールデンゲートフィールズ競馬場は今年閉鎖が予定されており、カリフォルニア州はあらゆる選択肢を考慮している。

 ネーダー氏は1月18日のCHRBの会合でこう語った。「北カリフォルニアも南カリフォルニアも深刻な状況です。これが現実です。北は不安でいっぱいですし、南はきわめて脆弱です。賞金を増やす現実的なチャンスは、二次的な収入源から付随的な収入を得ることにかぎります。これは、思っていた以上に難しいことが判りました」。

 そのような資金追加のめどは立っていないため、ほかのアイデアが必要となる。そのアイデアのひとつが、ゴールデンゲートにいる馬を南カリフォルニアに迎えて統合することである。ネーダー氏はCHRBでのプレゼンでいくつかの新しいアイデアを提示した。TOCはこの統合計画が前進すれば南カリフォルニアの競馬と州内の生産が活性化することを期待している。北カリフォルニアの競馬が存続できるような計画が浮上すればTOCはそれを支持するが、そのような計画が発表されないのでTOCと南カリフォルニアの競馬場が計画を策定したと、ネーダー氏は指摘した。

 また、デルマー・サンタアニタ・ロスアラミトスの各競馬場、そしてサンルイスレイダウンズ調教センターの空き馬房は、ゴールデンゲートを拠点としていた馬を受け入れるのに使用できると述べる。

 南カリフォルニアで格下のクレーミング競走が追加的に実施されれば、ゴールデンゲート出身の馬にぴったりの出走機会が与えられるだろう。さらにネーダー氏は、ゴールデンゲートから南カリフォルニアへの馬の移動を容易にするために転厩手当を要求した。

 TOCは、ロスアラミトス競馬場がナイターレースを施行することを許可する法改正を要求した。それらのレースでは距離が4½ハロン(約900m)に制限されず、5,000ドル(約75万円)以下クラスのクレーミング競走出走馬が参戦しやすいものとなる。ネーダー氏は、そのようなレースはフェア(訳注:農業見本市。競馬も開催される)の日程と重ならないようにしなければならないと付け加えた。

 TOCの計画は、持ち回りで開催されるフェアとの関係を緊密なものとし、昔ながらの競走日程の規模を維持してしっかり開催していくことを求めている。
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By Frank Angst

(1ドル=約150円)

[bloodhorse.com 2024年2月6日「Dollars & Sense: Finding a Path Forward in California」]


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